164食目、料理大会イン魔法大国マーリン
そして、四人の料理対決が決まった翌日、何故か各々の王達までも集まっていた。会議は良いのだろうか?
「こんな楽しい行事を見逃す我々ではないわ」
「むしろ秘密にしていたら不敬にしていたところ」
「余の娘が出るのだ。見ない訳にはいかないだろ」
森精族の王であるフレイ王は、自分の自慢な娘であるフゥの輝かしい姿を見るため、今日の会議は急遽中止という提案をした。
その提案は、ものの数分で受け入れられ今に至る。王達も普段は政で王城から滅多な事では出られない。
下城する時は専ら国を挙げた行事や凱旋しか城を出る事を本来ない許されない。
だから、王達は色々とストレスを抱えており、たまに祭事でストレス発散をしたいのだ。
「妾のリリシーも負けてませんことよ」
樹精族の女王であるルルシーは、自分の事のように細身の体を仰け反り無い胸を張る。
「ニーニエ、そなたも参加したらどうだ?そなたの研究が活きる時ぞ」
「か、母様!」
マーリン女王に唆され、ニーニエは俺と実母であるマーリン女王をキョロキョロと向後に見詰める。
どうやら出るのか迷ってるようだ。それをマーリン女王は、知っており敢えて背中を押してる感じなのだろう。
「ニーニエ、自分の好きな方を選ぶと良い。昨日やると決まったばかりだ。他にも参加希望の方がいらっしゃえば、誰でも参加を受理しよう」
俺からの提案にガヤガヤと騒然となる。俺の舌を唸らす事が出来れば、お近づきになれるかもと各々の王・女王のご息女全員が参加する事になった。
「おっほほほほ、ニーニエ頑張るのよ」
「はい、お母様」
迷っていたようだが、ニーニエは出る事を決めたようだ。そして、今現在の参加者は次の通りだ。
第一回魔法大国マーリン料理大会参加者名簿
・魔法大国マーリン代表:ニーニエ・マーリン
・獣人国家アルカイナ代表:九尾タマモ
・神樹の森フリーヘイム代表:フゥ・ニブル
・樹界マトリョーシカ代表:リリシー・ドルン
・グフィーラ王国代表:レイラ・グフィーラ
・巨人大国クルセイナ代表:シャルロット・セークス
以上が参加者となる。
場所は魔法大国マーリンが誇る闘技場を借り、ちょうど真ん中にキッチンが人数分設置されている。
そして、壁際をグルッと埋め尽くすようにあらゆる食材が鎮座されている。
昨日の今日やると決まったばかりなのに観客席は満席に埋まっている。
「おっほほほほ、他の王族を見たさにチケットは完売しましたわ」
いつの間に!それにしても予想以上の賑わいだ。ほんの一時間くらいしかなかったと思うのだが、マーリン女王はスゴい行動力だ。
そして、俺は今何処にいるかと言うと観客席のVIP席にいた。そこの一部を解説席として改良してある。
そして、この解説席を映し出すように闘技場中央に映像を映し出す魔道具によってデカデカと映し出されている。
『今回解説を担当する〝剣の勇者〟ことカズトでございます。では、今回のルールを説明致します。材料と道具は、こちらでご用意致します。調理時間は二時間。料理ジャンルは自由。審判は私、カズトが担当させて頂きます。では、初めて下さい』
時間になりカズトはマイクを片手にルール説明と号令を発した。俺が、はじめと言った途端に参加者は走り出し、先ずは材料の確保だ。
いくらこちらで用意すると言っても自分のキッチンへ運ぶのは何気に時間掛かるだろうし、良い食材は早い者勝ちだ。
『えぇ、私と一緒に解説をして下さる方を紹介致しましょう。私の左にいらっしゃるのは、魔法大国マーリンの女王であらせられるマーリン女王陛下でございます。マーリン女王陛下、皆様にご挨拶を』
『ご紹介頂きましたマーリンで御座います。此度は記念すべき第一回料理大会にお集まり頂き感謝致します。我が娘もご参加されてますので、どうかお楽しんでくださいませ』
『マーリン女王陛下ありがとうございます』
一旦、間を開ける。
『そして、私の右隣にいらっしゃるのは遥々巨人大国クルセナからご来賓なされました巨人族の女王:シャルラ・セークス女王陛下でございます。シャルラ女王陛下、皆様にご挨拶をお願い致します』
『妾が巨人族の女王、シャルラ・セークスである。此度は、みんなの検討を祈る。因みに妾の娘も出場してるので、応援を頼む』
『シャルラ女王陛下、ありがとうございました』
解説席から二人の女王の挨拶は無事に終わった。二人に挟まってるカズトにとっては落ち着かない。




