SS6-9、赤薔薇隊隊長ライラのスローライフ~トレーニングルーム~
カツ丼を食べ終わった後、私はアリスが泊まってる部屋を訪れた。
「おぉ、ライラではないか」
「アリス、今戻ったぞ」
ガシッと包容した。ライラよりも小柄なアリスは、スポッと収まる。可愛い物好きなライラにとって何時までも包容していたいが、アリスの従者であるシャルがずっと見ている。
「ゴホン」
「城での仕事が忙しくてな。この一週間程抜け出せなかったんだ」
「大変じゃのぉ。妾の父上もいつも仕事で妾を構ってくれないのじゃ」
それは国王だからではないだろうか?国王という立場だと、自らの子供でも中々会って話す事も難しい。
「姫様、ライラ様にあそこを案内すると楽しみにしておいでではなかったですか?」
「そうなのだ。ライラ、着いて参れ。まだ、レストラン〝カズト〟で入った事のない部屋へ案内しよう」
えっ?地下にある訓練所には行ったし、レストラン〝カズト〟自慢の風呂にも入ったし、これ以上何があるというのか?
アリスとシャルに着いて行く事、ほんの2~3分程度でそこに着いた。
「ここなのじゃ」
「ここは!」
ズラァァァァァッと見た事のない器具が並んでいる。見た事はないが、それらが何をするためなのか?瞬時に理解出来る。
「トレーニングルームじゃ。ここでダラけた身体を引き締めるのじゃ」
「素敵ですね」
「そうじゃろうそうじゃろう」
トレーニングルームを見た途端にライラは運命を感じた。まるで、ここは遊園地だと。
遊園地は、勇者の故郷にあると言われる仲間と共に遊び尽くすところだと聞いた事がある。まさにそれだ!
「お主も体を動かすの好きじゃろ?」
「えぇ大好きですわよ」
だけど、何れから始めるか悩む。どれも筋肉に良い刺激を与えてくれそうで、目移りしてしまう。
「始める前にこれを着るのじゃ」
「それは!」
ビキニアーマーよりは露出少ないが、普段着で着るとなると露出が多目な衣服だ。
上がタンクトップ、下がショートパンツで、身体のラインがハッキリと分かる仕様だ。
「勇者様が広めたらしい運動するための聖なる服なのだそうじゃ」
「勇者様が?」
直に触ると見た事のない素材から出来ている事が分かる。それだけで勇者が広めたという話に信憑性が増してきた。
「分かった。着れば良いのね」
着てみると、体にフィットしてピッタリだ。まるで事前にサイズを測ってたように体に張り付いてくる。
それに着てみれば分かる。植物の繊維が飛び出ておらず、ザラザラしていない。サラサラして着心地が半端ない。
アリスも着たようで、鬼国シェールの衣装とは、また違い女性同士なのに目のやり場に少々困る。
「姫様、ワタクシも着ましたが、どうでしょうか?」
「「………………」」
うん、あのタユンタユンと揺れるメロンを見ると女としての自信が失くなる。自分自身もそこそこある方だと思っていたが、上には上がいるという事か。
つい、自分の胸に手を添えシャルの方を見てしまう。アリスも同じ事を考えたようで同じ仕草をしている。
「シャルよ」
「はい、姫様」
「これはどういう事かのぉ」
「ひ、姫様お止めください」
アリスがシャルの背後から手を伸ばしメロンを揉み解す。タユンタユンと形を変える。それを見てるライラは女同士でありながらも喉をゴクンと鳴らした。
「ふぅ良い運動になったのじゃ」
「姫様、酷いです。ヒクヒク」
「それでどれから始めるのが良いかしら?」
「これなんかどうじゃ?」
シャルを無視してアリスが指差したのはランニングマシーン。恐る恐るライラは、レールの上に乗り慣れた手つきでアリスが速度を調節してくれる。
ライラには読めない文字で勇者の世界の文字なのか?アリスによると、やはりそうらしい。
「アリスは、勇者の文字が読めて凄いな」
「鬼国シェールにある文献に似たような文字が出て来るのじゃ。もしかしたら鬼国シェールの建国に勇者が関わっておるやもしれぬ」
そんな話、初めて知った。いや、過去に勇者が呼ばれた記録はあるけれど、その勇者達が何を成したまでは記録が一切ない。
誰かが自己的に勇者の記録を抹消してる節があるが、それが誰かまでは長年不明だ。
「ほれ、始まるぞ」
レールが徐々に速くなって行き、少し物足りない程の速度だ。ただし、長時間やる分にはちょうど良い。




