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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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152食目、カレーのお約束

 カズトは約束通りにキューティーの隣に座る。約束通りに隣へ来てくれた事にキューティーは満面な笑顔だ。

 腕と腕が触るか触らない程に近く今まで気が付かなかったがキューティーから良い匂いが漂い鼻に付く。これは香水でもつけてるのか?


「あらカズト様、ワタクシに何か?」

「いえ、キューティー女王陛下から良い香りが漂ってきまして」

「まぁカズト様、良くぞ気付いてくれましたわ。今、流行の香水がありまして貴族達の間で流行ってますのよ」


 意外だ。本能で強さを追及する種族のトップでもある龍人族ドラゴノイドが美容に気にかけるとは予想外だ。


「カズト様、今バカにしませんでした?」

「し、してないしてない」

「気のせいかしら。それよりもワタクシの事を呼び捨てにしてちょうだい。ワタクシとカズト様の仲じゃありませんこと?」

「あっ、カレーが来たぞ」


 良いところにスパイシーな匂いが近付いて来る。自分で作ったとしても自分の頬が綻ぶ様が良く分かる。

 早く食べたいと本能から訴え掛けてきてる。


「キューティー……………女王陛下とブラディーさんのカレーは、ビーフカレーでございます。キューティー女王陛下は中辛、ブラディーさんは辛口となっております」


 脳を刺激するスパイシーな香りに二人ともゴクンとノドを鳴らす。やはり世界が変わっても万国共通でカレーが嫌いな者はいない。


「今回は、ご飯(ライス)に掛けてありますが、ナンという名のパンに浸けても美味しいです。それと衣服を汚してはいけないと思いまして、こちらをご用意いたしました」


 カズトがまだ日本にいた頃、とあるレストランで油が跳ねやすい料理を提供された時にサービスとして渡されたのが、この紙ナプキンだ。

 大抵がエプロン型で真正面の衣服全面をカバー出来る。

 カレーが飛び、もしもドレスにシミが付いたら落とし難い。この世界ではまずカレー汚れを落とすのは無理に近い。


「これは紙なのか?」

「えぇ、着けて差し上げます」


 ほんの数秒で着け終わったのだが、なにやらキューティーの顔が赤い気がする。


「カズト殿、おそらく知らないと存じるが我ら龍人族ドラゴノイドの風習で、異性から何かを首筋に巻かれるのは婚姻の証なのです」


 はぁっ?はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!えっ、それ初めて聞いたのですけど。

 という事は、俺は知らず知らずにキューティーにプロポーズをしていたのか?!


「知らなくてすみません」

「ちっ、ブラディー何でバラすのですか!」

「龍姫様に忠誠を誓ってますが、女達の戦いに巻き込まれて死ぬのは末代の恥でございますので」


 うん、気付いていた。俺がキューティーの隣へ座った途端に四方八方から殺気染みた視線がずっと俺とキューティーのテーブルに注がれている事に。

 歴戦の猛者の一人であるはずのブラディーですら、この視線に耐えられずに龍人族ドラゴノイドの風習をバラしてしまった。


「何時か龍の渓国ドライアーに行きますので、それで許してくれませんでしょうか?」

「はぁー、まぁ良いでしょう。その時はカズト様を国を挙げて歓迎致しますわ」


 俺とキューティーの話が聞こえてか?大分殺気染みた視線はなくなった。


「では、頂きましょう。食べ方は、俺の真似をしてください」


 ただスプーンでご飯とカレーを一緒にすくい上げ口に咥えてるだけだ。だけど、カレーの色合いが初見だと、アレの色に似てるせいか抵抗する者もたまに現れる。

 しかし、このスパイシーな匂いには抗われずに結局口へ運んでしまう。

 俺がカレーを食べる様を見て食べる者の方が多い。料理の第一人者であるカズトが食べるなら間違いないと。


「辛く感じましたら迷わずにご用意致しました飲み物を手に取って構いません。これは〝ラッシー〟と言いまして牛乳とヨーグルトを3:1で混ぜた飲み物です。辛さがマイルドになり、いっそうカレーが進みます」


 いわゆる飲むヨーグルトだ。明確な違いはないが、カレーの本場であるインドではラッシーと呼ばれている。

 そこにフルーツやハチミツを加えるのは個人の自由だ。カズトは、数滴ハチミツを垂らして入れてある。


「カズト殿、こんな美味しいモノ初めてでございます。ただ、我輩には辛さが足りない気が」

「なら、試して見ますか?それより上の辛さをご用意致してありますが」

「うぉぉぉぉ、ぜひお願い致します」


 俺とブラディーの話を聞いてか?ボーロの部下が颯爽と駆け付け激辛のビーフカレーをご用意した。


「パクっ。か、辛ぁぁぁぁぁぁぁ」


 それを食べるやいなや漫画で良く見る辛い食べ物を食べると炎を吐く場面シーンそのものでブラディーの口元から天井まで届きそうな炎の柱が飛び出している。


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