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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS1-46、帝国の三勇者~マッサージその2~

「ふみゅ?もう朝?」


 いつの間にか寝てしまったようで、ドロシーに呼び起こされるも意識がハッキリと覚醒してない。

 目を擦りながら起き上がると、目の前にドロシーの顔がドアップでそこにあった。


「ギャァァァァ」


 ドスッ

「ゲフッ」


 つい、ドロシーの顔面を思いっきり陥没する位の強さで正拳突きを喰らわしてしまった。

 だけど、数分しない内にドロシーは起き上がる。カズトとパーティーを組んでいた事もあり、ステータスは高いようだ。


「リンカちゃん、痛いですわ」

「あっ、ごめん」


 寝惚けて強目に拳を振り上げてしまった。わざとではないとはいえ、悪い事をしたとリンカ反省する。

 武器は持たずとも、リンカの拳そのものが凶器と化す。低ランクの冒険者ハンターや一般人なら重症を負ってしまう。


「反省してますか?」

「んっ、してるしてる」

「本当にしてますの?私が障壁を張ったから良いものの、もう少し遅れたら危なかったのですよ」


 無詠唱でリンカの拳を防げる障壁を、あの一瞬で張る芸当を出来ると、リンカは内心で感心してる。

 だから、メグミ程じゃないにしろ戦いたくてウズウズする。


「ねぇ、頼みがある」

「はい、何でしょう?リンカちゃんの頼みなら何でも聞いちゃうなぁ」

「本当?」

「本当本当」

「じゃぁ、リンカと戦ってくれない?」


 心臓の音さえも失くなったかのようにシーンと静まりかえる。


 ゴクリ

「何を言ってるのかな?リンカちゃんは、お茶目だね。そんな冗談を言うなんて」

「冗談じゃない。誰だって強い者と戦いたいものだとリンカは思う」


 本気だとリンカの瞳を見たら理解してしまった。カズトの妹にケガをさせてしまったらカズトに顔を合わせられない。


「か、カズトに許可を貰えたらね」

「んっ、分かった」


 ホッとドロシーは安堵する。あの優しいカズトが自分の妹をケガさせるような事を許可するとは思えない。

 だけど、そんな安易な考えは直ぐに崩されるとはドロシー自身思いもしなかったのである。


「風邪引いちゃうから続きは、また今度ね」

「むっ、仕方ない」


 そういえば、自分は全裸だという事実をリンカは忘れていた。いくらこの部屋が暖かいとはいえ、衣服を着ないと風邪を引いてしまう。

 増胸するというマッサージは、また今度という事にして浴衣に着替えた。


「ねぇ、早速兄さんに許可取り行こう?」

「えっ!ちょっと待って」


 着替えてから次の行動が早い。ドロシーの停止の声も虚しく既にリンカはマッサージ室から出てしまった。

 急いでリンカを追い掛けると、カズトと話してる最中である。息を切らしながらカズトとリンカに合流した。


「ハァハァ、カズト」

「おぉ、ドロシーか。今、リンカと話してたところだ」

「ドロシー、兄さんがOKしてくれた」

「えっ?カズトは良いのですか?」

「安心しろ。リンカは強いぞ。俺の妹なんだからな」


 そうだった!リンカはカズトの妹であった。それは分かっていた。だが、ドロシーにとって多少かりに意味合いが違っていた。

 ドロシーにとってリンカは、夫の妹であり可憐で護ってあげてはならない大事な義妹だ。

 それを傷付ける行為は言語道断で、出来ればリンカに戦って欲しくない。

 

「ドロシー、これを見て」


 ドロシーに自分の冒険者ハンターカードを見せる。そこには、SSという文字が刻まれていた。


「SSランク?!」


 カズトと同じSSランクだという事実に目を丸くする。外見的には小柄でゴン達に護衛されながらココに来たと思っていた。

 それなのに自分よりランクが上だと頭が追い付かないでいる。


「俺も最近知ったばかりだ。向こうにいる俺が教えてくれた。向こうに勇者について詳しい奴がいてな。ほぼ全ての勇者の事情を把握していて、俺に教えてくれたんだ」

「わ、私にも教えてくれても良かったですのに」

「仕方ないだろ?俺も最近知ったんだ。教える前にリンカ達が来てしまったみたいだがな」

「むぅぅぅぅ」


 ドロシーの頬が風船のように膨れてソッポを向いてしまう。


「それにリンカと約束したのであろう?」

「そ、それは!」


 カズトに許可したら戦う約束をしたばかりだ。リンカの瞳がキラキラと眩しく、こちらを見詰めている。


「わ、分かりました。ただし、ケガしても知りませんよ」

「やった」

「俺からも礼を言うよ。ありがとう」

「いえ、これくらい」


 結局、戦う事になってしまったが、ドロシー自身口では否定してもカズトの妹なだけあってリンカと戦いたいとウズウズしているのであった。

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