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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS1-45、帝国の三勇者~マッサージ~

 リンカから見たドロシーは、スタイル抜群だ。それに比べ自分は、ちょっと捕まる処はあるがまな板だ。


「ねぇねぇドロシーも兄さんの嫁?」

「えぇそうですよ。リンカちゃん、私の義妹になるのですからお義姉ねぇちゃんと呼んでも良いのよ?」

「それは却下」


 そう呼んだら何か負けた気がしてリンカは普通にドロシーをドロシーと呼ぶ。


「もうリンカちゃんいけずねぇ。そうだわ、ここまで来るのに疲れたでしょ?私がマッサージしてあげるわ」

「いや、いい」

「遠慮しないで。カズトに教わったのよ」


 兄さんに教わった?!それはつまり、カノン姉のマッサージ技術だということ。

 リンカ自身、それがどれだけ気持ち良いか理解している。地球にいた頃、さんざんマッサージの実験台にされたのだから。

 だけど、カノン姉はリンカ達家族を壊した張本人。家の全財産を持ち逃げし、借金を押し付けて逃亡した。

 そんな姉を今だに許せないでいる。見つけたら半殺しにしたい気分だが、この世界に来ているか分からない。

 本当ならカノン姉の事を思い出すからカノン姉直伝のマッサージを受けるのは本心では嫌。だが、身体の方は求めてしまっている。


「…………お願いする」

「はい、承りました」


 湯船から上がった後、リンカは温泉の旅館で着る浴衣を着用した。ココアとメグミは、まだ入っていると別れた。


「ここがマッサージ室となります」


 地球で見たマッサージのCMで出て来た部屋に似ている。アロマの匂いだろうか?仄かに良い匂いが漂っている。


「良い匂い」

「あら、分かります?カズトが教えてくれたアロマオイルを炊いてるのです」


 この匂いだけでも気持ちがリラックスしてくる。それに何だか眠くなってきた。


「さぁさぁ浴衣を脱いでくださいね」

「水着は?」

「ないですよ。女同士なんだから良いじゃない」


 何だか全裸のままで良いかという気持ちに不思議となってくる。ドロシーの言う通りに浴衣を脱ぎ捨て、枕とシートが敷かれた作業台にうつ伏せで横になる。


「少しヒンヤリするかもしれませんが、我慢してくださいね」

「んっ、分かった」


 マッサージオイルを両手にたっぷりと含ませ、リンカの背中からマッサージを開始する。


「んっふわぁ」

「どうですか?」

「とても気持ち良い」


 全身が蕩けるように筋肉が解れる。あまりの気持ち良さに思わず声が漏れてしまう。これだけはカノン姉に間接的に感謝だ。


「お胸にもやりますと増胸の効果があるとか」


 なんですと!それは女としてやらない訳にはいかない。今のリンカは、ほぼまな板で年中無休成長する様子がない。

 ココアとメグミにバレない様に一人でいる時に何回か自分でも胸を揉んだ事がある。だげど、効果は出ない。


「それは気になる」

「うふふふふっ、それでは後で試してみます?」

「ぜひっ」


 ヒャッホゥ、拳を握り締め内心歓喜極まっている。やっと希望が見えて来た気がした。

 これで兄さんをメロメロにしちゃう。それでリンカも嫁として、兄さんのハーレムに加わるんだから。


「んっはぁん」


 流石、カノン姉直伝のマッサージテクニックである。我慢出来ずに声が出ちゃう。

 まだ背中だけで、こんな気持ち良さなのだ。他の部分もマッサージしたらどうなってしまうのか?リンカ自身、分からない。


「次は太腿から脹ら脛をやりますね」


 背中から手の平が離れると、内側からもポカポカと暖まって来た。そこまで熱くないが、自然と汗が排出されてくる。

 ヤバい、眠くなってきた。最初こそ声が出ていたが、ドロシーのテクニックに慣れて来たようで、瞼がゆっくりと閉じていく。


「グゥグゥスゥスゥ」

「あらっ?寝てしまいましたか?」


 スヤスヤ

 ドロシーが何か言ってるようだが、リンカには聞こえていない。三大欲求の一つである睡眠には勝てない。


 スゥスゥ

「クスッ、本当に寝てしまったようね」


 この可愛い寝顔を見ると《武神》と呼ばれてる風には全然見えない。

 思わずリンカの肌がスベスベで思わずイタズラをしたくなる。だけど、リンカの強さはドロシーの耳まで入ってきてる。

 だから、イタズラしたいけど躊躇しちゃう。したら自分が死ぬ。寝ていながら殺気が漏れているのだ。


「こんなに可愛い顔をしてるのに強いとかギャップ萌えだわ」


 大人しく太腿と脹ら脛を揉み解した後、中々起きないリンカを起こすのであった。

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