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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS1-44、帝国の三勇者~温泉~

 鱈腹食べたリンカ一行は部屋へ案内された。もちろん男と女を別々の部屋だ。


「わぁ素敵な部屋ね」

「フカフカのベッド」

「久し振り気持ち良く寝れそうね」

「何だ?!この柔らかさは!まるで王族・貴族が使ってるベッドじゃねぇか」

「喜んで貰えて何よりです」


 部屋へ案内したドロシーは、ニコニコと満面笑顔で自分の事のように嬉しく見詰める。

 特にカズトの実妹であるリンカを愛しく見てる。ドロシーにとってリンカは、義理の妹に当たる訳で、今日出会えた事に内心ではハイテンションになっている。


「あっ、そうです。この後、お風呂なんかどうですか?立派な露天風呂があるのです」

「「「露天風呂?!」」」

「露天風呂って何だい?名前からして風呂のようだが?」


 風呂は基本的に王族・貴族や大商人のようにお金持ちのところでないと中々見られない代物。

 大抵、桶に貯めた水かお湯でタオルを濡らし体を拭く程度だ。湯船にお湯を張り浸かるなんて娯楽の何物でもない。

 だから、リンカら三人が驚愕してる理由がルカールカには理解出来ないでいる。


「直ぐに入りたい」

「本当にあるのか?今更ウソなら許さねぇぞ」

「うふふふふっ、この肌に艶が戻るかしら」

「三人のテンションが何か怖い」

「ルカも見れば分かる」


 ドロシーの後を着いて行くと日本風に漢字で男と女と書いてある暖簾が掛かってる扉の前に到着した。


「おっ、お前らも来たのか」

「ゴンも来たのです」

「リンカの姉御、俺らもいますぜ」

「ご主人様、背中をお流しします」

「おい、お前はこっちだ」


 アクアの首根っこを引っ張られ、ゴンに連れて行かれた。まだ魔物モンスターなら女風呂でもOKだったが、獣人となったからにはアウトだ。


「はふぅ、生き返るぅぅぅぅ」

「骨身に染みるぜ」

「今までの苦労が報われますわ」


 リンカら三人共々露天風呂によって蕩けてる。そんな様子に勇気をもって初めての露天風呂に入るルカールカ。

 入ったら一瞬であった。リンカ達と同じように蕩けるよう浸かり抜け出せなくなっていた。


「ふにゃぁん」

「ルカが蕩けてる」

「分かるわぁ。その気持ち」

「くくくくくっ、これでルカも温泉の虜だな」


 この瞬間五年間、帝国で任務をし続けていた甲斐が報われるというものだ。


「熱燗でもどうですか?」


 いつの間にかドロシーを湯船に浸かっており、熱燗とお猪口を乗せた桶が浮かんでいる。


「熱燗?」

「ルカ、エールと同じお酒です」

「そりゃぁ、ええじゃないか。湯に浸かりながら飲む酒も格別だろうな」

「どうぞ、グイっといってください」


 ルカールカのお猪口にドロシーが熱燗を注ぎ、それをクイッと一気に流し込んだ。


「プハァー、エールとは違って体の芯から温まるねぇ」

「良い飲みっぷりなこと。どうぞどうぞ、当店のサービスですので」

「そうかい、なら飲み明かそうじゃないか」


 ドロシーが注ぐ度、一気に飲み干すルカールカ。土精族ドワーフのため滅多に酔う事はないが、珍しく酔っ払いの爺さんみたく陽気に笑っている。


「……………」

「えっ?驚いたのです。いつの間に」

「……………君がカズトの妹?」

「そうです。カズトはリンカの兄です」

「そう。ミミはミミ。カズトの嫁の一人」


 いつの間にか隣にいた自分とそう背丈が変わらない女の子が急に兄の嫁と言われて驚く者はいない。

 リンカは、咄嗟に後ろへ後退し戦闘体制に入る。気配を悟らせず近くまで寄って来るとは相当腕が立つと判断した対応だ。


「そう警戒しないで。あなた達の敵じゃない。むしろ、仲間?義理の妹となる相手が気になるのは当たり前」

「まさか本当に?兄さんの」


 ミミを隅々まで見渡すリンカ。体型は自分と同じでスレンダー体質で、気配を察知されずに自分へ近寄れる強者の匂いがする。


「そうなのです。ミミはカズトのお嫁さんなのです。ニヤリ」


 ムカッ

「今、勝ち誇った笑みをしました?」

「気のせい。カズトの妹なら大歓迎。そのお仲間さんも歓迎する」


 絶対に勝ち誇った笑みをしたとリンカは心の奥底からそう思ってる。

 だけど、ここで怒ったら相手の思うツボ。それに兄の結婚相手にケンカしたと知られたら兄に嫌われてしまうかもしれない。


「なぁ噂に聞いたんだけどよ。リンカの兄さんって、嫁が複数いるって話だよな」

「なっ!」


 一人だけではなかったのか?!いや、確かミミが最初に嫁の一人だと言っていた。

 ということは、つまりミミ以外にもいるというなか!そこで怪しいのは、ルカールカにお酌してるドロシーというウェイトレス。


「ねぇミミ」

「なーに?」

「あのドロシーも兄さんのお嫁さん?」

「……………それは本人に聞いてみて?」


 一瞬考える素振りを見せるミミだが、敢えてここは答えを教えてあげない。その方が色々面白くなりそうだから。


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