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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS6-6、赤薔薇隊隊長ライラのスローライフ~遊びのツケ~

 レストラン〝カズト〟から王城へ帰宅したライラに待っていたのは魔物モンスター討伐や隊の訓練ではなかった。

 隊のトップになったからには事務処理もある。という事で、自分の机に書類の山が出来上がっていた。


「ライラ隊長、こちらを今日中に目を通してください」

「シャルロット、少し休憩を」

「遊び行っていたツケです」

「ぐっ、それは」


 レストラン〝カズト〟が心地良くて、つい本来の仕事を放置して帰りたくなくなる。

 金さえあれば、ずっといれる。地下で訓練を続ければ、豚みたいに肥る事は先ずない。

 それにレストラン〝カズト〟には、友達とお姉様がいる。元々行かない選択肢なんてライラにはない。


「手伝ってくれても」

「それはダメです」


 赤薔薇隊新人のリーダーを努めていたシャルロットは、まだ新人にも関わらず隊長の補佐として副隊長に昇進していた頼もしいルーキーである。

 前隊長であるユニにライラを厳しく接するようにと頼まれていた。おそらく、ユニがいないという事でサボるだろうと見越していた。


「ユニ前隊長にライラ隊長をよろしく頼むと言われておりますので、厳しくさせて頂きます」

「お姉様のためなら」


 隊長として赤薔薇隊の訓練風景を拝見しに行くがシャルロットが指導をするため特にやることはない。

 部屋に戻り秘密で画家に描かせたユニの人物画を見ては事務作業を頑張るが、流石に5徹ぶっ通しだとタフなユニでも魂が抜けるように倒れてしまう。

 気が付いた時には自室のベッドの上で寝ていた。それに事務作業時とは着てる衣服が違う。

 誰かが着替えさせてくれたのか?まぁあの部屋に入れるのは赤薔薇隊の誰かとメイドしかいない。

 

「隊長、お目覚めになられましたか?お体のお加減はいかがですか?」

「私は大丈夫だ。着替えさせてくれたのは、お前か?」

「いいえ、それはメイドが。部屋に運んだのはアタシです」


 冷静に保ってるが、シャルロットの目頭に涙が貯まってる。よっぽど心配したのが手に取るように分かる。


「済まない、心配を掛けてしまったようだな」

「……………!!」


 普段見せないライラの笑顔にキュンキュンとシャルロットの心奥底に突き刺さる。


(隊長が可愛い。女であるアタシが見惚れそう)


 前隊長は、そこら辺の男よりも格好良い。我々の前では常に強くあろうとした。いや、本当にそこら辺の冒険者ハンターよりも強い。

 だけども、何処か近寄り難い雰囲気を醸し出していた。所謂、高嶺の花だった。他の隊長と比べても互角以上に渡れる程である。

 それが剣の勇者カズトが経営してるレストラン〝カズト〟に通い積めてる内に丸くなったようで、高嶺の花という雰囲気は緩和された。

 時間の問題であったが、剣の勇者カズトの所へ嫁に行ってしまわれた。今現在は、レストラン〝カズト〟で働いている。


 そして、赤薔薇隊現隊長であるライラ隊長は、前隊長から隊長の任を引き継ぎ現在に至ってる。

 前隊長の事を赤薔薇隊の中で一番慕っており、度々レストラン〝カズト〟へ隙を見つけては抜け出し訪問してる。

 それにレストラン〝カズト〟には 友達が出来た。赤薔薇隊を尊敬する者はいるけれど、友達になろうとする者はいない。

 ライラにとって鬼人族オーガの姫であるアリスは大事な友達だ。どうにかして、抜け出せないかと思案してる。


「なぁ」

「許可します」

「何も言ってないのだが」

「行きたいのでしょ?ただし、週一回に行って三日間で帰ってくる事。確か、レストラン〝カズト〟に限定して転移出来る魔道具があったはずです」


 えっ?そんなの知らない。聞いてないよ?!それならもっと頻繁にレストラン〝カズト〟へ行き来が可能ではないか?


「隊長、もしかして魔道具があれば、レストラン〝カズト〟へ頻繁に通うと思っていません?」

「そ、そそそそそそんな事思ってない」


 内心思ってる事を言い当てられ動揺しまくる。心臓の音が余計にうるさくなる。


「ここにレストラン〝カズト〟へ転移する魔道具があります」

「なっ?!何故持ってる!」


 シャルロットが懐から取り出したのは先程話してた魔道具だ。お守り型をしており、持ち運ぶには便利な形態だ。


「前隊長に渡されたのです。後で隊長に渡すようにと」

「お、お姉様が私に!」


 ライラにとって、こんなサプライズは中々ない。おそらく、生涯で一番のプレゼントだ。


「ただし、制約があります。週に一回につき三日間行けるという制約が。これ以外だと発動しないか、強制的に戻されます」


 喜んだのも束の間、奈落の底に落とされた気分となった。

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