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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
1章グフィーラ王国・古都

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24食目、新たな仲間スゥ登場

「私は、ミミの意見に賛成ね。このままでは失敗する可能性があるもの」


「ドロシーまで!~~~~あ~んぅもう、しょうがないから、次に進めるわよ」


 レイラ的には、隊長とカズトのやり取りを聞き問い出したいところだったが、二人が抜けた事で早急に頭を切り替え、二人の方針に沿う事にした。まぁ単純に仲間外れは嫌だっただけなのだ。


「カズト、私達に許して欲しかったら"契り"を結びなさい」


 契り、正式名称:婚姻契約と呼ばれる契約魔法の一種だ。異世界アグドでは、契りをする事が結婚すると同じ意味を持つのである。

 契りをすると、お互いの利き手の甲に"契りの模様"と呼ばれる独特な模様が浮かび上がる事で契りは完了となる。

 ここで注意事項が二つある。

 第1、契りの模様ある者と性行為や奴隷商に奴隷として売る行為をやったとされる模様がない者に天罰がくだるのだそうだ。

 第2、契りを解消をするのは魔法的に不可能とされる。なので、一回契りをすると一生解除出来ない。ただし、例外は存在する。


「あぁ、良いよ。それでどうすれば良いんだ?」


「………ミミが出来る」


 流石、二つ名:万能と呼ばれる魔法使いだ。

 女神には及ばないが、人間━━━━いや、全生命最強と言われる魔法使いである。普通は"契り"を行えるのは神官のみ。


「………この魔法陣に入って」


 ミミに言われた通りに入る。全員入ったのを確認すると、ミミは呪文を唱え始めた。


「………女神の名の下に、カズト・スメラギを夫として、レイラ・グフィーラ、ドロシー・オーロット、ミミ・オキニスを妻として契りの祝福と御加護をあらん事を………婚姻契約発動」


 呪文が唱え終わり、魔法陣が目が開けられない程光り輝いた。光が止むと全員の利き手の甲に独特な模様が記されていた。その模様の周りには、契りを結んだ者の名前のイニシャルが異世界アグドの文字で書かれている。


「これで完了か?」


「………成功なの。ふぅ、私は疲れたから寝る」


 ミミは世界最強の魔法使いかつ魔力量も世界一であるのだが、一気に四人の契りをやったせいか十分の一程の魔力を持っていかれたそうだ。

 十分の一って言っても、その量は半端ない。恐らく、カズトとレイラとドロシーの三人を合わせても、ミミの十分の一には届かない。それほどの魔力を一気に持っていかれ、それが疲労という形で出たという事だ。

 しょうがない。まだ、片付けと仕込みは終わってないが代わりにやっておくか。


「さーてと、私も休むわね」


「そうね、お風呂入って寝るわ」


「おい、待て。片付けくらい━━━」


 ビューンと二人は逃げ出し厨房には、カズト一人だけ残された。


「あ、あいつら逃げ足だけは早いのな。後でお仕置き確定だな」


 カズトが止める前にレイラとドロシーは、厨房から居なくなっていた。しょうがないので、一人きり皿を洗おうとしたところ洗い場に何か動くものがいる。

 エクスカリバーを構え近付くと、正体が分かりエクスカリバーを置いた。


「これは珍しい。粘体族スライムじゃないか!」


 ただし、ファンタジーのRPGゲームでお馴染みである雑魚モンスター:スライムではない。

 異世界アグドでは、大きく分けて二種類の生物がいる。それは、魔物モンスター種族タイプに分けられる。

 魔族と人間だけは種族しかいない。他は魔物と種族の二種類いる。

 スライムも魔物と種族の二種類いて、魔物の方はゲームと同じく雑魚だ。

 種族の粘体族スライムは人間の言葉を理解出来るし、人の形を取れる。しかも、めっちゃ強い。そんじょそこらの冒険者じゃ太刀打ち出来ない。同じ名前でも全然違う。


「それにしても、何でここにいるんだ?」


「ウーン、ワカラナイ。ダケド、ココノオイシイ」


 うぉ!ちゃんと言葉通じるな。勇者であるカズトでも粘体族スライムは初めて見る。


「気にいったか?」


「ウン、キニイッタ」


 嬉しいのか人の形を取り、感情を表現する。人の形を取っても半透明で、向こうが透けて見える。しかも女性で胸がそこそこある。半透明じゃなかったら目が離せなかっただろう。


「おい、これを着ろ。さすがに目のやり場に困る」


 カズトは異世界通販ショッピングで防水性のレインコートを着させた。防水だけであって、粘体族スライムの水は染み込まない。


「ニンゲンハヘン」


「そう言うなって、俺は男なんだ。そんな魅力的な………いや、何でもない」


 危ない危ない。粘体族スライム相手に何を言おうとしてたんだ。粘体族スライムは、確かに知識はあるが人間で言うところの十代半ば位程度だ。そんな相手に俺は本当に何を言おうとしたんだ。


「フゥン………ネェ、ココニスマワセテヨ。ヤクニタツヨ」


 粘体族スライムの横には、洗われた食器類が置かれており、どれも汚れ一つ付いてない。ピカピカツルツルの状態である。

 まさか、これ全部コイツが洗ったのか?それが本当なら水と洗剤を節約出来るってもんだ。


「これ全部洗ったのか?」


「ウン、ソウダヨ。スゴイデショ。シカモ、ウマカッタナ」


 確かにこれなら役に立つかな。コイツの紹介………って名前聞いてないな。


「名前は何て言うんだ?」


「ナマエ?ナマエハナイ。アナタガツケテ」


 名前がないのか。うーんそうだな、粘体族スライムだから━━━


「スゥはどうだろうか?」


「スゥ………スゥキニイッタヨ」


 新しい仲間、粘体族スライムのスゥが加わったのである。


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