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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS1-40、帝国の三勇者~槍は水熊をティムする~

 メグミを技術スキルを発動すると、メグミとウォータイガーを含む周囲数mだけ世界が変わったと表現すれは良いのか分からないが、それが一番しっくり来る。

 メグミとウォータイガーを含む周囲数mだけ世界から色を失った風に見える。だけど、それも数秒で収まる。


『ギャル(ご主人様)』

「よし、上手くいったようだな」


 ウォータイガーがメグミに対して騎士のように片膝を付き頭を垂れている。

 獰猛なウォータイガーが懐くなんて前代未聞だ。ティムの成功例は、ほんの数例程度だろう。


「よし、頭を上げても良いぞ」

『ギャルル(了解した)』


 端から見ると、メグミの言葉を理解し忠実に行動している風に見える。明らかにティムが成功している。


「おいおいウソだろ!」

「言う事を聞いてる」

「ふむ、時間以内ですね」

「リンカ、モフモフしたい」

「流石はリンカの姉御のお仲間だ」


 各々感想を述べてると、強欲の聖槍グリードを解除したメグミと大人しいウォータイガーがお茶をしてる皆のところへやってきた。


「ところで名前は付けたのですか?」

「名前?」

「方法は違うけれど、ティムしたのですから名前を付けるのは当たり前でしょ」

「そうかぁ、名前かぁ」

『ギャルル(ワクワク)』


 メグミに期待の眼差しを向けるウォータイガー。名前がティムした魔物モンスターの最初で最高の贈り物となる。

 それを本能か直感で分かってるのか、キラキラと期待の眼差しが一層強くなる。


「こういうの苦手なんだよな」

「ティムしたのはメグミなのですから頑張ってください」

「ワクワク」

『ギャルル(ワクワク)』

「リンカまで、そんな瞳で見詰めるな」


 腕組みをし、その辺をグルグルと歩きながらウォータイガーの名前を考える事、十数分。


「うん、決めたぜ。お前の名前は今日からアクアだ」

「アクア、単純ですが良い名前ですね」

「アクア今日からよろしく。単純だけど良い名前」

「俺もそう思いますぜ、リンカの姉御。単純だけど」

「単純だが、良い名前だな」

「まぁ良いじゃねぇの。単純の方が良い時はある」

「お前ら、わざとやってねぇか?!」

「「「「「別にぃ」」」」」


 示し合わせたようにメグミ以外のメンバーの声がハモる。その一方で、メグミの瞳に涙が浮かんでいた。


「お前らなんか大嫌いだ。グスッ」

「ご主人様、オレは何時でもご主人様の味方であります」

「えっ?アクア……………えぇぇぇぇぇぇぇっ?!」


 隣にいたはずのウォータイガーのアクアが、何故か人間……………いや、外見が獣人へと進化していた。

 アクアの【鑑定】の結果、魔物名から種族名となっており〝水熊騎士族ウォータイト〟となっていた。

 外見は、腕が指先から肘までウォータイガーの毛皮に覆われ、頭上に被り物みたいな毛皮が帽子みたく乗っている。

 足元も同様で指先から膝まで毛皮が覆われている。そして、お約束としてメグミはアクアの下半身へと目をやる。


「あれ?履いてる」

「ご主人様、何処を見てるのですか?」

「あっ、ごめんごめん」


 獣人へと進化したばかりで産まれたままの姿かと思いきや、自分の毛皮で編まれたようなズボンを履いている。

 ただし、上半身は裸で筋肉好きな女子が見ると嬉しい悲鳴を漏らす程の筋肉粒々で種族名に恥じない。


「アクア何だよな?」

「はい、アクアでございます。この身、ご主人様に捧げます」


 モフモフ感は半減したけど、筋肉粒々のイケメンが爆誕した。


「なぁ」

「はい、何でございましょう?」

「肉球触らして」

「はい?えぇ肉球でございます」


 アクアの掌には人間とは違い肉球があった。そこにメグミは顔を埋めるように堪能する。動物好きなら堪らない。


「ほわっ、すげぇ。プニプニだ」

「リンカも…………リンカもやりたい」


 アクアの右手にメグミが、左手にリンカがそれぞれ顔を埋めている。


「ゴンさんとルカさん、今まで魔物モンスターが獣人━━━いえ、種族になったと聞いた事は」

「ないに決まっておろう。魔物モンスターなら魔物モンスター、種族なら種族の上位になる事はあっても魔物モンスターから種族にはなれんぞ」


 そうすると、初めての実例が目の前にいるという事になる。切っ掛けとして、メグミのシリーズ系七つの大罪の一つ強欲グリード技術スキルによるティムと名前を付けた事だろう。

 そもそもティムする事が初めてで憶測の域を出ない。


「あのぉ、ちょっとくすぐったいのですが」

「もうちょっと」

「もう少し」


 考えるのは後にして、ココアもアクアの肉球を触りたくてウズウズしている。



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