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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS1-39、帝国の三勇者~槍vs水熊~

「さぁ行くぜ。炎の聖槍グングリル【焔裂き】」


 ワータイガーの胴体目掛けて刃先に炎を纏わせ払ったが、途中で止まってしまった。ワータイガーの爪に受け止められている。



「巨大な岩をバターみたく切り裂く【焔裂き】が止められるとは」

「良くみりゃワータイガーじゃねぇ。ウォータイガーだ」


 ワータイガーの亜種の一つであるウォータイガー。ワータイガーが無属性だとするとウォータイガーは水属性となる。

 炎と水なら当然、水の方が強い。


「くっ、しょうがねぇ。雷の聖槍ゼウス」


 水なら雷が弱点なのは子供でも知ってる。ビリビリバチバチとゼウスの刃先に電気が走り、ウォータイガーは思わず爪を離した。

 雷属性の武器は技術スキルを使わなくても触れただけで麻痺を相手に付与してしまう可能性がある。

 だから、雷属性の武器を使う相手が敵なら受ける止めるのではなく回避が必須。金属製の武器なら電気が流れてしまう。

 ただまぁ速度が属性トップに速く回避も容易ではない。


「はぁぁぁぁぁおらおら」


 怒涛の突き攻撃でウォータイガーを追い詰める。ウォータイガーもゼウスの危険度を理解してか逃げの一手を取ろうとしてるが上手く行ってないようだ。


「速すぎて分からん。流石は勇者という事か、ルカは見えたか?」

「お前さんに見えないならアタイにも見えないさ」


 カズトのパーティーに入っていた経歴からステータスには自信がある二人だが、今戦ってるメグミを含め勇者に勝てるイメージがまるで湧かない。

 ここにいないカズトに関してゴンとルカールカは短い月日で分かっていた積もりでいたかもしれないと、メグミを見ると痛感する。


「あのウォータイガー、多少なりに知能があるみたいですね」

「うーん、あれは直感だと思うのです。直感で危険だと察知してるのです」

「リンカの姉御流石です。はい、お茶入りました」

「うん、ありがと。ごくごく、プハァ」


 メグミの戦闘を肴にユッタリとティータイムをしていた。流れ弾が来ないようココアが障壁を展開してだ。


「この場で良く飲めるものだねぇ」

「勝手に飲み食いして怒られないか?」

「大丈夫大丈夫。メグミは三度の飯より戦闘が大好きな戦闘狂だから」

「こちらにすら気付いていない。むしろ、ウォータイガーの方が可愛そう。同情する」


 ウォータイガーは体の大きさや年齢により討伐ランク変動する魔物モンスターの一つだ。

 今、メグミが相手してるウォータイガーはランクBかランクA寄りのランクBといったところだ。

 因みにワータイガーはランクCだ。魔法が使えないから低く設定してある。でも、体格はワータイガーと大差がない。


「おらおら避けんじゃねぇぞ」

『ガルッ!ガウギュル(【水鉤爪】)』


 魔法や技術スキルは種族の専売特許ではない。魔物モンスターももちろん使う。

 雷を帯びた槍先と爪の延長線上に伸びた水の爪が交差する。バチバチと放電するが一人と一匹は大してダメージを負ってない。


「お前やるな!」

『ガルッギュル(お前もな)』


 戦いの中で魔物モンスターと友情が芽生えてるように見える。


「ねぇ、アグドに魔物モンスターをティムってある?」


 リンカが疑問に思った事を素直に口にする。メグミが戦ってるウォータイガーを見て何となく疑問に思ってしまった。


「うーん、そうだな。調教師が使う【魔物使役】という技術スキルがあるな。でも、確か専用の道具が必要だったはずだ」

「そう」

「リンカはウォータイガーを仲間にしたいのですか?」

「うーん、分からない。それはメグミ次第」


 メグミは戦闘狂だけど、戦闘が終わった後で気に入れば仲間にしたがるかもしれない。

 誰かが言った。宿敵と書いてトモと言うと。


「はぁぁぁぁぁぁぁ」

『ギャルゥゥゥゥゥゥ』


 一人と一匹が交差する攻撃の余波に木々や草花が次々と薙ぎ倒され、日の光がその部分だけ射し込む。


「なぁ、アレを止めなくても良いのか?」

「ルカは不安症」

「あの間に入れるのならご自由に」


 リンカとココアなら楽々止められるであろうが、わざと止めない。いや、今止めたら後で面倒事になるから止めない。

 たまにストレスをガス抜きさせないと、メグミは暴れる。その尻拭いをするのは、リンカとココアの二人となる。


「あっははははは、楽しいな。おい」

「ギャルルルルル(楽しい楽しい)」

「そこで強欲の聖槍グリード」


 禍々しいオーラを放つ槍へと変化させた。だけど、ウォータイガーにとっては何故か心地好い。


「受け入れてくれるか?」

「ギャル(来い)」

「【俺の物は俺の物(ワールド)お前の物は俺の物(イズマイン)】」


 端から見ると、ただ一人と一匹がお互い見詰め合ったまま動かないでいる。

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