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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS1-38、帝国の三勇者~森の変遷~

 ツノウサギを解体し始める三勇者とその仲間達。ツノウサギを簡単に解体出来ないようでは冒険者ハンターは勤まらない。

 それ故、冒険者ハンター初心者が最初に阻まれる壁といえよう。


「よし、こっちは終わったぞ」

「こっちも終わったぜ」

「終わりました」

「リンカの姉御、こっちも終わりました」

「よし、ここらで休憩にするか」


 ツノウサギのツノと毛皮は冒険者ハンターギルドに売れる。冒険者ハンター初心者にとって一番の稼ぎ頭となる。

 それに肉は小振りながらも美味しい。普通に焚き火による丸焼きが冒険者ハンターの中で定番中の定番で肉汁が芳ばしく香り食欲を祖剃る。

 一口ガブッとかぶり付くと、口の中で肉汁が溢れジュースのように飲めるという。


「火を起こしました」


 夜営で火を起こす事は、地球でなら時間が掛かり素人には難しい。だが、この世界は魔法が使える。

 魔法が苦手な勇者であるリンカ達でも初級炎魔法【少火炎ファイヤ】を使える。

 特に敵を倒す訳ではないので、これで事が足りる。簡単に焚き火が起こせる。


「リンカの姉御、串に刺しました。これで焼けます」

「んっ、ありがと」

「リンカの姉御が俺にお礼を!俺、感激です」

「はいはい、それは良いです。早く準備をするのです」

「す、すみません」


 薄暗い森の中で焚き火の明かりが加わると、何処か安心出来る。

 地球では一時期ソロキャンがブームになり、一人でも簡単に焚き火が出来る焚き火台に灯る火を身体を包み込むような折り畳み式のヒーリングチェアに座りながら、ジッと見るのも乙なものがある。

 まぁここでは、そんな事をする暇はない。ツノウサギの丸焼きを食べてる間も魔物モンスターが襲って来ないか、周囲に神経を集中してる必要がある。

 ただ、ここは初心者用のエリアだ。そうそう強い魔物モンスターは現れないはずだ。


「ふぅ食った食った」

「普通は夜営で、こんなに食える事はないからな」

「見張りはどうします?」

「俺がやりますぜ。リンカの姉御」


 リンカ的にはやらせても良いが、帝国みたくブラックな関係にはなりたくない。


「交代で。まだ森の中が続きますから」

「リンカのお嬢ちゃんの言う通りだな。この森を甘く見てるとエライ目に合うぞ」


 話し合いの結果、今夜の見張り番はジャックとゴンが交代でやる事になった。

 簡易的なテントを張り、他のみんなは休む事に。ジャックとゴンのお陰で女性陣は十分に休めた。

 森の中では昼間も関係なく薄暗く、時間感覚が狂ってしまう。それを防ぐための魔道具がある。

 大雑把だが、太陽が昇ってる時間帯と沈んでる時間帯が分かる【太陰石】というものがある。

 これにより昼間と夜が薄暗い森の中でも分かるという寸法だ。


「さてと出発だ」


 朝食は軽く干し肉と硬い黒パンを食べた。昨日食べたツノウサギと比べると質素で味気ないが、これが冒険者ハンターとして普通の食事風景だ。


「こっちで合ってる?」

「あぁそのはずだ…………が」


 案内役のゴンも何か違和感を感じ始めた。昨日より比べると明らかに周囲の魔力の質が違い、初心者のエリアから外れてしまった感覚を肌で感じてしまっている。

 何処かで道を逸れてしまったのか?いや、今まで別れ道は無かったし、そもそも態と道を逸れない限り迷う要素は皆無である。


「なら何故、目の前にワータイガーがいるの?」


 ワータイガーという魔物モンスターはB級に属する二足歩行する虎型の魔物モンスターだ。

 絶対に冒険者ハンター初心者が相手する魔物モンスターでない。瞬殺されるのがオチで、逃走も先ずは無理。


「考えられる理由は一つしかねぇ。〝変遷〟が起こったという事だ」


 変遷とは、ダンジョンで起こる現象だ。定期的か不定期なのか定かではないが、ダンジョン内が地形・天候・魔物モンスターの種類や配置等々一斉に変化する事がある。

 それが変遷だ。洞窟型や遺跡型等の階層があるダンジョンは、階層事に変遷があるが、シャングリラの森みたいな森林型や砂だらげの砂漠型等、一見ダンジョンに見えないエリア事に別けられてるダンジョンは、エリアの配置が変わる。

 よって、安心安全だと思っていたエリアが急に高難易度に早変わりなんて珍しくない。その結果、目の前のワータイガーという魔物モンスターの出現だ。


 ペロッ

「久し振りの強敵だ。オレが殺る」


 邪悪な表情で舌先にて唇を舐めると止める間もなくメグミは飛び出した。

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