SS7-23、女婬夢族ジブリールの居場所~悪魔のステータス~
さてと、クエストをどうするか?ミスティーナを、このまま仲間に加えるとクエスト失敗になってしまう。
だが、先ずは確認しないといかない案件がある。それは、ミスティーナのステータスだ。
「ミスティーナよ、早速だがステータスを確認させてもらうぞ」
「えぇ、良いわよ。命の恩人と言ったら可笑しいだけど、似たようなモノだしね」
「《正義》に色気使わないでもらえます?このアバズレ」
「なによ、そっちこそカズヤに色気ムンムンで気を引こうとしてるじゃない」
バチバチとミスティーナとジブリールの間で火花が散る。早くもケンカしそうな雰囲気にため息を吐く《正義》。
「二人ともケンカは止めろ。《恋人》は煽るな。ミスティーナ、ステータスを見るぞ」
「はいはい、どうぞ」
不機嫌そうに自分のステータスを解放する。元のステータスは分からないが、《悪魔》の能力が加わった事により大幅に上昇してるみたいだ。
それに加え、下記の技術・魔法が新たに使えるようになった。
《悪魔》の技術・魔法
・6属性魔法(光は除く)
・6属性魔法絶対耐性(光は除く)
・精神魔法
・精神魔法耐性
・肉体改造
・記憶操作
「うわぁ、《悪魔》に相応しい能力ね。それにしても強く成りすぎてない」
「それでも弱点がない訳じゃないけどな」
「…………………」
《悪魔》の当の本人であるミスティーナは無言のまま自分のステータスを見詰めている。
まぁ無理はない。こんな馬鹿げたステータスに対応出来るのは、もはや同じ教祖様に加護を授けられし者か勇者以外考えられない。
「そんなに呆けてどうした?」
「………………どうしたじゃないわよ!なにこの出鱈目なステータスは!」
「それが我々の仲間に証の一つだ。ほれ、右手の甲を見てみろ」
ミスティーナの右手には、《悪魔》の絵とNo15という数日が出現していた。
「それが仲間としての………………魔神教会の幹部の証。幹部一人一人にナンバーと役職が与えられる。俺はNo8《正義》で、こいつがNo6《恋人》という訳だ。数字は特に序列じゃないから安心してくれ」
《正義》とジブリールはそれぞれ手の甲を見せた。
《正義》の言う通りに数字の大小で序列は決まっていない。ただし、やはり能力の強さは存在する。
《悪魔》のステータスは世間的に見れば強い方だが、魔神教会内で見ればそうではない。やはり、《悪魔》よりも強い者はいる。
そう、目の前の《正義》とか。強者は上がいる。
「《悪魔》のステータスを確認した次はクエストをどうするかだが………………」
《正義》は、考える素振りからミスティーナを見詰める。
「……………なによ……………」
「お前の元仲間は何時戻るんだ?」
「順調に行けば、明日の昼頃の予定よ?」
それが何?と言いたげに《正義》を睨むミスティーナ。だけど、そんなミスティーナをお構い無しに話を進める。
「よし、それまでに盗賊の討伐証明として、こいつらの首を切り落とす」
「はぁぁぁぁぁ!ワタシもやるっていうの?!」
「そうだが?」
何を言ってるんだコイツという表情でミスティーナを見詰める《正義》。
「嫌よ。あんなクズの首を切り落とすなんて絶対に御免よ」
「嫌ならお前の精神魔法で嫌悪感を失くせば良いだろう」
「……………それだわ!!」
だけど、危険もある。精神魔法の中には長時間掛けると相手は廃人となる可能性の魔法が存在する。
「こうかしらね。精神魔法【屈強な精神】」
自分自身の体が光っただけで端からどう変化したのか分からない。まぁそもそも精神魔法自体が第三者から見ると非常に変化が解り難い。
「どうだ?何か変わったか?」
「うーん、多分解体しても平気になったかも?」
まぁ実際にやらないと平気になったかどうか分からないし、いつまで効果が続くかなんて不明瞭だ。
各自それぞれナイフを手に持ち、ミイラ化した漆黒土精族の死体から胴体と首に別ける。
ミイラ化となってるせいか血液は一滴も出ず、ほぼ皮と骨だけですんなりとナイフが通る。だけど、普通の死体とは違う独特な匂いで獣人でなくとも鼻が曲がりそうだ。
「なんだ、平気そうじゃないか」
「それは魔法を掛けたからです。おそらく魔法を掛けてないと吐いていたでしょうね」
嫌悪感が無くとも匂いで気持ち悪くなるが、これは常日頃の慣れだ。冒険者をやってると段々と慣れてくる。




