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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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131食目、勇者達の軽食

「ガッハハハハハ、勇者カズト殿の飲み物のお陰で、足取りが軽いわい」

「そ、それはよろしゅうございました」


 無事に何事もなくビュッフェ形式の朝食会は終わった。

 終わった直後、会場から出てから直ぐの廊下で王様に呼び止められた。どうやらカズトが独自に配合したウコン入り飲料は効果覿面らしく酔っていたと思えないくらいに王様の足腰が軽い。

 むしろ、朝食を取る前と比べても段違いに違う。子供のようにスキップが軽く出来、腕力が上昇してるからか、さっきから背中を叩かれ痛い。

 王様の様子を見るにウコン入り飲料の配合には成功したが結果的には失敗したかもしれない。余計な成分を入れたかも?しれない。

 しかし、念のために王様へ出す前にカズトが鑑定をしたが何の変哲もない〝ウコン入り飲料〟であった。念入りに調べたが、カズトの鑑定では二日酔いが治る程度しか解明出来なかった。


「こんな気分が良いのは何時振りか。後で部屋に来い。オセロをしゃれこもうぞ!」

「はっ!仰せのままに」


 グフィーラ王国内なら断る事も出来ようが、ここは他国である魔法大国マーリンの城内だ。

 大勢の目があり耳がある。内心では面倒臭いが断れば、不敬になりかねない。


「ふぅ、取り敢えずは無事に乗り越えて何よりだ」


 これが後、一週間程続くとなると普通の者ならば精神的に消耗し廃人と化すかもしれない。ボーロ達、城内で働く者達はそんな精神的に鍛え上げられた猛者達なのだ。

 だけど、カズトは楽しくてしようがないのだ。他国の王族に自分の料理が何処まで通用するのか試してみたい。

 それに世界に認めさせたい欲求が体の奥底から次から次へと湯水のように湧き出て来るのだ。

 女神シロが認めてくれた時点で世界に認めてくれたと同義だと思うが、女神シロはアレはアレでお子ちゃまなところがあり何とも言えない。


(女神シロがお子ちゃまだと、口が言えても言えない)

『聞こえてますよ』

(ギクッ!)

『剣の勇者カズトよ、罰としてお供え物をご用意しなさい。そうすれば、あなたの罪がなくなるでしょう』


 そういえば、心を読めるのであった。


(分かりました。女神シロ様、うーんと美味なお供え物をご用意致しましょう)

『待っておりますよ』


 急に来るから心臓に悪い。俺にしか聞こえないから、変なリアクションを取る訳にもいかず、めっちゃ困るものだ。

 仕事が増えてしまったが、その仕事が料理に関する事なのでカズトは苦痛とは思わない。むしろ喜びだ。


「さてと、俺も腹減ったし飯を食おうかね」


 会場から誰もいなくなったのを確認し、カズトはとある部屋へ足を延ばした。

 王族の近親者達が朝食を取ってる頃、その護衛達は近くの部屋にずっと待機していた。その部屋にカズトは来たのだ。


「おっ!みんな揃ってるな」

「カズト!」

「カズト先輩!」

「勇者殿!」


 タケとアシュリーの勇者二人にグフィーラ王国に仕えてる四つの騎士隊の一つである青龍隊を任されている隊長ビィトがいる。

 それに獣人国家アルカイナからいらした輪入道一二三が日本人特有の座り方・土下座にて椅子の上に鎮座してる。


「カズトが来たから、やっと食えるな」

「何を言ってるの?ワタシ達は、護衛として付いてきてるのです。そんなヒマはないのです」

「でも、ちょっと位は食べる時間はあっても………………」

「ダ・メ・で・す」


 アシュリーの気迫に男であるはずのタケが負けてる。同じ男であるカズトは、情けないと内心で感じるが自分も人の事を言えないので口に出さない。


「アシュリーもそんなに強く言う事はないだろ?」

「カズトぉぉぉぉぉ」

「先輩は甘いですね」

「まぁまぁそんな事を言わずに、直ぐに食べられるように軽食を作って来たから」


 カズトは、アイテムボックスから人数分のランチボックスを取り出した。その中身は軽食らしく色とりどりなサンドイッチを詰め合わせた。

 サンドイッチなら片手で食べられる上に、手元を汚す心配もない。それにパンであるため、直ぐに胃袋へ吸収されやすくエネルギーに変換されやすい。

 だが、その反面、吸収される時間が早いため腹が空く時間が早いデメリットがある。

 あるはずなのだが、こちらの世界で作ったサンドイッチとご飯物等の食物繊維が多い食物と比べてもサンドイッチの方が腹持ちは十分にあり、これだけで一日中活動出来る程だ。人によっては、一週間近く活動出来るという。

 他のパンでは、そういう現象は起きず、何故かサンドイッチ限定だ。カズトの鑑定でもおかしい箇所は見つからず作った本人が頭を抱えている。

 でも、味は本物で美味だ。


「輪入道さんもお一つどうですか?」

「これはこれはカズト殿、儂の事は一二三と呼んでくれても構いません」


 椅子の上で器用に土下座にてカズトに挨拶をする。膝が痛くならないのだろうか?


「それじゃぁ、一二三さんもどうぞ」

「おぉ、噂に違えぬカズト殿の料理を食べられるとは、この一二三嬉しゅございます」


 大袈裟だと感じるが、自分の料理で喜んで貰え心の奥底から嬉しさが溢れて来る。


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