表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

231/551

124食目、朝食ビュッフェ

 ふぅ、何とか朝食の準備は終わった。後は、王族達が来るのを待つのみとなった。

 魔法大国マーリンの王城に仕えてる執事やメイドが各王族やその護衛を先導し、ビュッフェ会場へゾロゾロと入って来た。


「これはこれは中々壮観じゃな」

「貴族のパーティーでも、ここまでのものは中々ないぞ」


 貴族のパーティーは、料理よりもお披露目や跡継ぎの結婚相手を探す事が優先度が高い。いわゆる婚カツパーティーと言った方がしっくり来るであろう。


「皆様おはようございます。世界会議メープルが終わるまでの間、朝食はビュッフェ形式を取りたいとおもいます。好きな料理を皿に盛り付けご堪能して下さい。食べたい料理の前には料理人スタッフがいますので、料理の説明や盛り付けをご指示をお願い致します。私からの説明は以上になります」


 カズトの説明が終わるやいなや、それぞれの料理が並ぶテーブルに行列が出来た。

 ポーロを含め部下達は、懇切丁寧に料理の説明と盛り付けをこなしていく。無くなりそうな料理が出そうになると、先読みしてるかのように古い残り物から出来立てを交換する手際の良さ。

 これもカズトが、この数時間で教え込んだ賜物だ。


「これは、お店で見た事ありませんわね。何ですの?」

「これはレイラ様、こちらは〝エッグベネディクト〟でございます。マフィンと呼ばれるパンの上にポーチドエッグ━━━━お酢を入れましたお湯に生卵を入れ、数秒茹でたものを乗せた料理です。白身を割ると中の白身がトロトロに蕩けるような味わいで、こちらのソースとの相性が絶品でございます」


 ゆで卵よりも早く仕上がり、最小限の調理で済むため最も栄養が壊れにくく一番理想的な卵の調理法と呼ばれる事もある。

 その代わりに、数秒という時間制限のため白身が固まるまでに形を整えるられるかは腕の見せどころだ。

 お湯という安定しない不安定な中で成形しないといけないため、なかなかコツがいる作業となる。


「そうですわね………………〝ポーチドエッグ〟とやらを単品には出来ませんの?」

「はい、こちらの皿にて盛り付けてあります。ナイフで割ってからお食べください」


 マフィンから外せばポーチドエッグなので、簡単に対応出来る。これと同じ様な対応で量の匙加減や盛り付けのご要望を可能な限り叶えられるよう教え込ませた。

 いつも決まった量を出す宮廷料理人からしたら慣れない作業であるが、みんな呑み込みが早く教えるのが楽であった。

 流石は、エリート揃いの宮廷料理人だ。まぁもしもカズトに宮廷料理人にならないかとお誘いがあったなら丁重にお断りするつもりだ。そうしないと、おそらく国同士の戦争へと発展しかねない。

 カズトは、争いにならないようグフィーラ王国に在籍してるが、基本的にレストラン〝カズト〟という中立を保ってる。


 一方玉子料理のテーブルからパンのテーブルを見ると森精族エルフのフゥが悩んでいた。


「これはパン?白いパンなんて初めて見ました。しかも軟らかそう」

「これはこれはフゥ様、白いパンは"料理の勇者"様の功績でございます。"料理の勇者"様が、この場にいないと実現出来なかったでしょう」

「まぁ"剣の勇者"様は、凄すぎですの。本で読み耽り直接お会い出来た時には、ドキドキしてまともに話せませんでしたが………………予想以上に偉大な方でしたのね」


 大抵パンというのは、黒くて硬いパンを指す。スープの中に漬け軟らかくしながら食べるのが常識で、庶民ならまだしも貴族や王族の食卓に出されたらため息を出してしまう。

 だけども、この世界にも白いパンを作れる者は存在する。なのだが、白いパンを作る方法を【白の秘技】とか【小さき技】とかと名付け秘匿してるので中々市場や貴族・王族の食卓には出回らない。

 もし出回っても一斤につき白金貨数枚は飛ぶ事になる。流石に庶民には、手が出せない。


「フゥ様、どれになさるかお決まりになりましたか?」

「種類が多くて迷います」


 白いパンの後ろにある魔道具でしょうか?白いパンに関係してるのでしょうが、気になって仕方ありません。

 それに白いパンの前には、野菜を始めチーズ・ゆで卵の輪切りが並び、見た事のない入れ物にソースらしき物が入ってる。

 そのどれもが普段は淑女らしく大人しいフゥでも好奇心旺盛となり、ワクワクドキドキが止まらない。

 どんな味がするんだろう?どんな感触なんだろう?と、本来の森精族エルフらしい探求心が止まらない。まるでカズトの冒険譚が記された本を見つけた時みたいだと瞳を輝かせている。


「ならば、先ずはシンプルにどうですか?」

「シンプルにですか?」

「えぇ、先ずは何も付けずに、そのままお食べになさり本来のパンの味を楽しんで下さい。その後に焼いたり、この〝ジャム〟や〝マーガリン〟等をお付けになってはどうでしょう」

「良い考えですの。その様にお願い出来ますか?」

「かしこまりました」


 白いパン━━━━食パンをバリエーションを変え、てんこ盛りに皿へ積んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ