123食目、朝食の準備をする
フォルスとタマモの部屋から退散した後、朝食の準備を適当に済ませ自分の部屋で寝る事にした。
なんだかんだ濃い一日だったような気がする。時計はないが、おそらく日付が変わったあたりだろう。
カズトは、眠気には勝てずベッドに入ると、ほんの数秒で深い眠りに入った。タイムスリップしたのかと錯覚する程に、いつの間にか朝日が窓から射し込んでカズトの顔を照らす。
「うぅ~ん、もう朝か?」
まだ眠いが、重たい瞼をゴシゴシと擦ると………………俺の衣服が乱れており、隣にはレイラが寝ていた。
掛け布団から、チラリと見え隠れするがバッチリと見えた。レイラもカズトと同様衣服が乱れており見えちゃいけない箇所まで見えそうになってる。
昨日は、確実に一人で寝たはずだ。俺の記憶が、そう告げてる。
だけども、今の現状を見れば…………………誰だって昨日は、お楽しみだったのだと勘違いされる。
「もしかして、これはやっちゃったか?」
全然思い出せない。
「ふあぁぁぁぁ、カズトおはよう」
「レイラおはよう」
乱れたシャツの隙間からレイラが動く度に胸が見え隠れする。店なら良いが、ここは他国の王城だ。
いくら夫婦だからといって、やってはいけない境界線は護らなくてはいけない。
「あのレイラに聞きたいんだけど、昨日って…………………」
「あっ!ごめんなさい。勝手に入り込んでしまって。最近カズトと寝るのご無沙汰だったから」
よし、一つの問題は解決した。
ご無沙汰と言っても魔法大国マーリンに向かってる最中の一週間程だ。レストラン〝カズト〟では、俺の嫁と毎日交代で寝ている。
「もう一つ…………………俺とレイラの衣服が乱れてるのは?」
「それは…………………」
「それは?」
「それは、カズトエネルギーを充填しよう思いまして…………………それで……………」
カズトエネルギー?!
初めて聞いたが、それが何なのか聞くのが恐ろしい。
「いや、待て。何となく理解した。レイラは、何も言わなくても良いんだ」
「あっ、はい?分かりました」
一応問題解決としとうこう。俺は、何も間違いはしていない事が分かったところに安堵する。
朝日が射し込んで来ても、まだ外は薄暗い。夜遅くから警備をしてる衛兵隊に朝が早い商人や宿屋の女将以外は、まだ眠ってる時間帯だ。
まだ皆が眠ってる頃合いを見計らいレイラは、衣服を整え自分の部屋に戻って行った。
俺は、朝食の準備に取り掛かる。前日にポーロと打ち合わせをしてるので、然程やる事は少ない。
「まだ来るのに時間が掛かる。それまでに準備を済ませるんだ。料理の説明や魔道具の取り扱いは頭に入ってるな?」
「「「「はっ!」」」」
「それじゃぁ、取り掛かれ」
カズトの号令により、ポーロとその部下はそれぞれの配置につき朝食の準備の最終段階に入る。
世界会議メープルが終わる間は、様々な料理を楽しめるようビュッフェ形式を取り入れた。
ビュッフェは、簡単に言うと食い放題と説明された方が解りやすいかもしれない。
自分で皿を持ち、好きな料理を好きな量を皿に盛り付け食べる。朝から重いかもしれないが、この世界の住人(カズトも含む)は、カロリーを魔力に変換するそうで其ほど太らないらしい。個人差は、もちろんある。
「もう少しで主賓達がやって来るぞ。急げ、お前達」
「「「「はっ!」」」」
テーブルにシワ一つないクロスを引き、椅子を人数分セッティング。テーブルと椅子は、王族御用達の高級品で値段は怖くて聞けない程に高い。
料理は、ジャンル事に並んでおり━━━━サラダ・卵料理・炒め・揚げ物物・スープ・パン・ドリンク・デザートが並んでいる。
どれもカズトが監修して作らせた物ばかりで、どれも一級品と言っても過言でない。
その代わりに、味見のし過ぎで腹がパンパンに膨れて腹いっぱいだ。今日は、作るのは良いが食べたくない。動くのも少し辛い。
味見役には、今後ポーロにお任せしよう。
「超料理長、テーブルのセッティング終わりました」
「よし、スープがまだ手間取ってるようだ。そっちを手伝いに行ってくれ」
「超料理長、サラダ・卵料理の準備整いました」
「了解だ。炒め物を手伝ってくれ」
何故かいつの間にか『超料理長』と呼ばれるようになっていた。料理長は、あくまでポーロであり、その料理長よりも上の存在という認識をされてしまい『超料理長』と呼ばれている。
カズト的には、止めて欲しいと何度かお願いしたが、それが逆効果となり定着するスピードが増しただけであった。
職業:超料理長を手に入れました。
おい!マジかよ。職業にも加えられちゃったよ。そんな不名誉な職業はいらない。




