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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS8-17、スゥの1日~スゥ、カズトに知らせる~

 ブローレ商会にてスゥの【分身体】が全滅した事は、本体のスゥにも直ぐに知る事となった。


「カズト、イイシラセトワルイシラセガアリマス」

「うん?なんだ?」

「イイシラセハ、コレガ【分身体】カラオクラレテキマシタ」


 スゥから手渡された物体を見てカズトは驚愕を覚える。何故なら、それは異世界アグドに存在する物ではなかったからだ。


「これは拳銃だと」


 戦争とは無縁の日本で育ったカズトでさえ、その形状は写真やニュース等で見た事がある。

 その無機質な物体は間違いなく拳銃だ。弾は入ってなく使えないが、これをブローレ商会が作っていた事実に額と掌から冷や汗が滲み出る。


「これは一大事だ」


 だけど、誰に言ったら良いのか検討が付かない。もしも、これが広まったら根本的な戦い方が変わるだろう。

 弓矢よりも威力は高く射程距離が長い。魔法よりも早く、物によるが魔法よりも高火力が見込める。

 問題は薬莢だ。紙薬莢ならまだそこまでの威力や距離は出せないが、金属薬莢を開発されていれば、どうなるか分からない。

 弾の種類によっては、とんでもない被害が及ぶ。正に悪魔の兵器の一つだと言っても過言ではないだろう。

 これがあれば、非戦闘職の人でも簡単に相手を殺せる事になる。


「取り敢えずは、俺の本体にも知らせるしかないだろう」


 今、レストラン〝カズト〟にいるカズトは双児宮の聖剣ジェミニの技術スキルによって産み出された分身。

 分身といえ、本体と繋がっておりケガをすれば本体もケガをする。ただし、視覚や聴覚と五感も共有してるので、遠くの景色や音もリアルタイムで認識が出来る。

 それゆえ多少なりに視覚や聴覚といった一部の共有をONとOFFが自由に出来る。

 そうしないと、二人分の感覚が一人の体にのし掛かり、いずれパンクしてしまう。

 だから、携帯で連絡を取るように分身から念波を本体に送り、連絡を取る事も可能である。


『そっちで何かあったか?』

「大変な物を見つけてしまいました。実は━━━━」


 事細かにブローレ商会の出来事を話した。


『そういう事があったのか。ブローレ商会と言えば王国一の大商会じゃなかったか?』

「えぇ、その通りです。ですが、おそらく裏で魔神教会に操られているのでしょう。ブラン会長は、その事とは露知らずに」


 スゥの【分身体】達が戦った相手は魔神教会の幹部の一人。まさか、こんなに近くにいるとは思いもしなかった。

 まさに灯台元暗しとは良く言ったものだ。それに、その幹部はブラン会長の右腕としての立場もあるらしい。

 大物の影に隠れて自分は、ヒソヒソと魔神教会の仕事を行っている。

 この拳銃を証拠として持って行き、悪事を暴いても良いが、製造工場らしき場所は商会本店の地下にある。どっちみちシラを切られて終わりになる。


『では、こちらにいる勇者達にも知らせよう。だから、その拳銃を一旦アイテムボックスに入れてくれ』


 アイテムボックスも本体と分身とでお互い共有となっており、所謂生物以外のアイテムの転送ワープみたいな事が出来る。


「届いたか?」

『あぁ受け取った。視覚を共有しているとはいえ、こう実際に見るまで信じられないものだな』


 拳銃が存在している事実から考えると、過去の勇者か転移者又は転生者が、この世界に伝えた事になる。

 科学よりも魔法が発展してる世界では、まず拳銃等の科学兵器は自力で開発はほぼ不可能だろう。

 それに非戦闘の者まで武力を与える事は、貴族社会がそれを許さないはずだ。何故なら、自分の領地が脅かされるからだ。


『弾はないようだな』

「他のところで作ってるか、ブローレ商会の地下にまだ奥があったかだな。スゥの【分身体】は、それを回収して直ぐに来てしまったという話だからな」

『どうにかして調べられる方法はないだろうか?』


 おそらく一回侵入された事により既に警戒されてるだろう。いくらスゥが隠密に長けようとも難しい。

 隠密系の魔法や技術スキルを破る感知系という反魔法や反技術(スキル)も存在する。

 相当手練れな感知系の使い手でないと、スゥの発見は難しいが、何か違和感を覚えるくらいならカズトの経験からソコソコいるだろうと推測出来る。

 それにブランの右腕としての立場に就いている魔神教会の幹部も相当な感知系を持ってると推測出来る。

 それに厄介な能力を持ってるようだ。スゥの話によると超絶希少な〝因果操作系〟だという。

 そいつに相対した時にカズトは果たして勝てるのだろうか?ハッキリ言って自信はない。

 カズトも一応因果操作系の技術スキルを持ってたりするが、それを瞬時に使えと言われても直ぐには使えない。

 それも相手も同じだろう。スゥの話によると最初から使って来なかったらしい。もし、使っていたなら圧倒的な速さで決着は着いていた。


「今の段階では分からないと言いようがない」

『そうだよな。よし、この件は俺が一旦預かる。お前は、店の事を頼むな』

「それは任せとけ」


 店にいる分身には判断の仕様がない。それに他の勇者がいる本体に任せた方が良いだろう。

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