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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS8-16、スゥの1日~スゥの置き土産~

「これでお仕舞いだ【回転ロータリー:捻れる身体(デス・サイクロン)】」


 グルリっ

 ジョルが、スゥの【分身体】に触れると、お腹の当たりから捻れ数回転した後に切れて真っ二つに床に落ちた。

 これぞ、【回転ロータリー】の真骨頂。物を回すだけの【回転ロータリー】だが、生物の体に触れてから使うと見た通りに捻れる。

 物理耐性がある粘体族スライムでも、弱点である雷を体内に蓄積されては、それも叶わない。


「ユダンシマシタ」

「そんな状態でも喋れるのか。他の仲間もこの通りだ」


 他の【分身体】も無残に捻切られ、上半身と下半身とで分かれてしまってる。

 これでは動けない。スゥの負けと言えよう。だけど、完璧とないにせよ、スゥの任務は果たした。

 それに本体は店にいるから、ここからでは本体の場所を知られても流石のジョルにも何も出来ない。

 まぁ【分身体】は本体の場所を話す訳もない。態々弱点を話すバカはいない。


「ウゴケナイ」

「ヤラレタ」

「マケノヨウデス」

「まだ話せるな。では、尋問をしようか」


 ジョルは【分身体】の一体、その上半身へと近寄り、掴もうと右手を【分身体】の額に触れようとした瞬間、それは起きた。


「これは!」


 溶けるように【分身体】は水になった。他の【分身体】も水になり、床が水浸しになる。


『ザンネンダケド、バイバイ』

「これは念話!」

『ダケド、サイゴニオキミヤゲ』

「置き土産だと?!」

『ワタシタチノワルアガキ』


 そう念話から聞こえると床に出来てる水浸しに変化が起こる。


氷突起刺アイスニードル


 意思があるように水が動き出し、突起物へと変化。ジョルとその部下達に襲い掛かる。


水散弾アクアショット


 ジョルから数m離れた箇所では、小豆サイズの水の弾が無作為に床の水浸しから放たれた。


酸散弾アシッドショット


 もう一ヶ所何も起こってなかった水溜まりでは、透明な水が緑色に変色し、小豆サイズの弾が同じく無作為に発射された。


「くっ!間に合え【確率変動ラッキーセブン:不運のサイコロ】」


 スゥの【分身体】達が置き土産として置いていった魔法は、全て外れるか、不発として終わった。

 これぞ、本来のジョルの能力。因果率を操り、0%より高いなら、どんな結果でさえ掴まえる事が出来る。

 ただし、その結果までたどり着くまでの過程で、どんな事が起きるのかは分からない。

 それにこの技術スキルを使用するためには、〝運〟のストックが必要となってくる。

 その副産物として自分自身と他人の運が、どれだけあるのか目に見えて分かってしまう。

 そして、他人の運を奪う事により自分へとストック出来る訳だ。

 達成困難な結果であればある程に使う運の量は多くなるが、勝利確定の結果を掴む事が出来れば、必ず勝てるというハイリスクハイリターンな技術スキルとも言える。


「全員無事か?」

「はっ、死傷者いません」

「そうか、ここの片付けは任せた。ワタクシは、ブラン様にお伝えに行って来る」


 部下と獣人の奴隷達に地下室の片付けを命じ、ジョルはブランの報告のため、この場を後にした。


 コンコン


「ブラン様、ジョルでございます」

「うん?なんだ、入れ」


 ジョルが入ると、ブランはランファンから貰った酒を楽しんでいた。

 薄暗い中で見てもブランが頬を赤く染め酔っ払ってる事が、ジョルじゃなすても分かる。


「実は━━━━━」


 かくかくしかじかで、地下であった出来事を事細かく説明した。その間、ブランの顔色が赤から青ぽくなっていく。


「このバカ者ぉぉぉぉぉ。お前という者がいて、何をしておるのだ」


 手元にあった酒瓶をジョルの頭目掛けて投げた。酒瓶は、見事にジョルの頭に当たり木っ端微塵に割れ、ジョルの頭はびしょ濡れになっていた。

 ジョルの額から赤い血が垂れ、ポタポタと床に赤いシミを作るが、ジョルは微動だにしない。


「あそこが知られては、あの方達にどう言い訳をすれば良いのだ!」

「誠に申し訳ありません」

「謝って済めば、憲兵はいらんのだ。どう責任を取ってくれると言うのだ」


 パリンと又もやテーブル乗ってる皿やグラス等を床にぶちまけ更にブランは荒れている。

 誰がグフィーラ王国一の商会であるブローレ商会に侵入すると予想出来たものか。

 ブローレ商会に敵が多くとも態々侵入するバカはいない。其ほどにブローレ商会は巨大で逆らってはダメな代名詞となっている。


「お任せください。あの方には、ワタクシが謝罪をしておきますので」

「ふん、何を当たり前の事を。我輩に飛び火しないよう弁明するのだと、良いな」

「はっ!了解でございます」


 ようやくブランの癇癪は収まったようで、ジョルは奴隷達に片付けを命じブランの部屋を後にした。

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