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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS8-15、スゥの1日~スゥ、攻撃を全て回避されてしまう~

明けましておめでとうございます。

今年最初の投稿でございます。

今年もよろしくお願いいたします。

「コレナラドウ?【スゥの両手は散弾銃(アクアガトリング)】」


 スゥの【分身体】の一体が両腕を前に突き出した。十本の指先全てから水の弾丸が一斉に射出され、それが数秒関続いた。

 どんなに素早く動けようとも普通なら風穴が数十ヶ所あく事になる。

 たけど、信じられない事が起きた。全ての水の弾丸は、ジョルだけではなくアゲハ隊全員を避けるような軌道を描き後方の壁に風穴を開ける。

 普通ならあり得ない。ここは屋内で風も吹いていない。

 いや、風が吹いていても水の弾丸を反らす程には至らないはずだ。台風や竜巻程の強風なら話は別かもしれないが。


「コレガオマエノスキルマタハマジック」

「流石に分かってしまうか」


 だけど、それがどんな技術スキルや魔法を用いてるのかは分からない。

 風魔法で反らしたなら音がするはず、水魔法で水の弾丸を操作したと言うなら相当な腕の持ち主だ。

 相手の魔法で産み出した物体を操作すると、相手以上に魔力操作に長けてないとならない。

 つまりは、現実的ではない。それに物凄く魔力量が予想以上に喰われる。まぁ燃費が悪い魔力の使用方法の一つだ。

 魔法に長けてる者ほど常識的に考えてやるはずがない。 だとすれば、技術スキルしか考えられない。

 だが、それだとどうやって水の弾丸の雨を有らぬ方向へ導いたのかスゥには検討がつかない。まだ魔法の方が解りやすい。

 技術スキルは、その個人特有のモノが多く千差万別だ。


「お前達は手を出すなよ。ここはワタクシが一人で片付ける。獣人達に飛び火しないよう気を付けろ」

「はっ!了解であります」


 アゲハ隊は、ジョルの指示により奴隷の獣人に危害が及ばないような配置につく。

 ジョルは懐からナイフを6本取り出し、それぞれ両手の指の間に挟み込み構えた。


「さぁ踊り狂え【回転ロータリー】」


 一旦腕を胸前でクロスさせてからナイフを投げた。そうすると、ナイフ自体に意思があるように回転始め、空中を飛びながらスゥへと向かっていく。


「コンナナイフゴトキニ」


 殺られる訳がないと言おうとした途端にスゥの死角から回転してるナイフの内一本が、スゥの左腕を切り落とす。


「悪いが、それはタダのナイフではない。魔道具で雷属性の魔石を仕込んである。普通なら切れ味を増すだけのナイフだが、お前らには効果抜群だろ?」


 粘体族スライムであるスゥなら腕を切り落とされた位では、切り口から腕を生やすこと等容易い。

 だが、何時まで待ってもスゥの【分身体】の腕が生えてこない。どうやら雷属性の魔力により再生が阻害されてるようだ。


「オジサンスゴい。スゴイヨ」

「そんな呑気な事を言ってても良いのか?」


 スゥの【分身体】は、切断された腕をスルーしジョルの技術スキルに興味津々みたく見詰めている。もしも、黒い瞳があったならキラキラと輝いていたに違いない。

 そんな様子のスゥの【分身体】に、残りの【回転ロータリー】を掛けた電気ナイフが次から次へと襲い掛かる。

 他の種族とは違い、骨を持たない粘体族スライムは、普通なら回避不可能な隙間でさえも難なく体を伸び縮みさせすり抜けいく。


「なら、これならどうですかな?【回転ロータリー:飛び回る雷蜂(サンダービー)】」


 ジョルは、更にナイフの本数を倍に増やし、合計12本となる。


「ほらほら、どうした。動きが遅くなってるぞ」


 直撃は避けられるが、回避を取る度にナイフから発生してる電気が微かにスゥの体へ当たってる。

 それが塵も積もれば山となるという諺があるように、少しずつスゥの体の中に電気が蓄積し、動きを鈍らせていく。つまり麻痺状態になっている。


「バチバチデ、キモチワルイ」


 水属性魔法は、攻撃だけではなく回復も出来るが多少と切り傷や打撲程度しか直せない。

 状態異常なら専ら光属性魔法の専門といえよう。ただし、光属性魔法は神様やその眷属とされている種族である天使族エンジェルが得意とした魔法だ。

 それ以外に光属性魔法を使える種族や個人がいたなら、それは【神様の加護】か【神様に愛されし者】という隠しステータスを所持していなきゃならない。


「お前らの目的は何だ?正直に話すなら見逃してやろう」

「ダレガハナスカ。バーカ」

「ウン。バカダヨネ」

「ハナスワケナイノニネ。バカマルダシダ」


 他の【分身体】も共鳴するかのようにジョルを罵倒する。普段から冷静なジョルの額に血管が浮き出ては、頬を赤く茹で蛸のように染め上げ、ギリギリと歯軋りを鳴らしている。


「はぁ、良いでしょう。生かしてやろうと思ったが、もう面倒だ。一瞬で終わらせます」


 そうジョルが呟くと、いつの間にかスゥの【分身体】の一体の背後へ回っていた。

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