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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS8-14、スゥの1日~スゥ、アゲハ隊隊長と戦う~

遅れてすみません。

 最初に仕掛けたのはジョルだ。一番近いスゥの【分身体】へ迷いもなく距離を詰めていく。

 お互いの距離がゼロになった時、ガキンと金属音が響き渡った。ジョルのナイフと【分身体】が粘液で形作ったナイフぽい武器が交差したのだ。


「ほぉ、武器を作り出せるのか」

「ソンナノシラナイ。アナタコソハヤイ」


 剣道でいうところの鍔迫り合いで、お互いの力は拮抗している。押し返し押し返されを繰り返し中々二人の距離は離れない。


「【粘弾ムーケスショット】」


【分身体】がジョルの顔に向けて粘着性のある透明な液体を口から飛ばした。

 だけど、ジョルの咄嗟の反射神経でリンボーダンスのように腰から体を『つ』の字に曲げて回避した。

 その際の勢いでバク転を2回ほどした後、後退してしまう。


(これは粘着性のある液体ですか?これを出来るのは、もしや!)

「アタッタトオモッタ。ナラ、コレナラドウ?【酸弾アシッドショット】プップップッ」


 今度は緑色の液体を玉状にして飛ばした。明らかに毒々しい色合いにジョルは防御ガードするよりも、アレはヤバいと回避行動を取る。


「床が…………壁が溶けただと!」


 白い煙が上り、所々の壁や床が何かで抉れたように溶けた。ジョルの判断は間違っていなかった。

 もしも、防御ガードしていたなら、自分もあのようになっていたかと考えると、顔や口には出さないが内心ドキドキしている。


「やはりお前は粘体族スライムか?」

「ウン、ソウダヨ」


 スゥの【分身体】が肯定した事によりジョルの冷や汗が頬から床に伝い落ちる。

 魔物モンスターのスライムならEランク、新人冒険者ルーキーでも簡単に倒せる。

 だが、種族の粘体族スライムは軽く見積もってもAランクは下らない。先ずは物理攻撃が完全無効にする【物理完全無効】という永久技術バシップスキルを所持している。

 ただし、その代わりに特定の属性魔法には極端に弱いという弱点がある。それ故に魔法使いがいないパーティーでは、全滅もあり得る。


(ここでは炎は使えない。他には雷が有効だと記憶しているが、私は使えない。土もこの床では然程効果は期待出来ない。さて、どうしたものか?)


 粘体族スライムは、水属性を得意とするため同じ水では効果がない。風属性も切り刻むだけで、これも効果が薄い。

 水を蒸発させるとこらから炎、水を吸収するとこらから土、水を感電させるところから雷が有効とされる。

 ただし、場所が問題だ。ここは地下で炎属性だと空気が失くなり窒息する恐れがある。

 土属性も場所を選び、土の表面が露出していないと十分な効果を発揮出来ない。残るは雷属性だが、雷はジョルに適性がなく使えない。


(仕方ない。本当は、こんなところで使いたくなかったが)


 ジョルは手袋を外した。右手の甲には、ギリシャ数字で10という文字が書かれている。


「アレハ!マジンキョウカイノシンボル」

「ほぉ、これを知っておるのか。左様、ワタクシは魔神教会の幹部、No10《運命の輪(ルーンフォーチューン)》ジョル。ここで会ったのは何かの縁。貴様は強い、我々の仲間にならぬか」

「オコトワリ。アッカンベー」

「そうか、なら殺すしかないな。稀少種族である粘体族スライムを殺すのは忍びない」


 まさかココで魔神教会の幹部と会うとは誰が思っただろうか?本当に【分身体】を送り込んで正解だったか。

 スゥ本体が侵入していたとしたら、いくらAランク以上と言われていても部が悪い。


「センテヒッショウ【水鉄砲】」


 低学年までの男児が良くヒーロー物等のごっこ遊びで、人差し指と親指で銃の形作って遊んだ人いるだろうか?

 あのように銃の形作り、指先から大豆程の大きさの水玉が発射された。

 だけど、真っ直ぐには飛ばず妙な軌道を描き向こう側の壁に当たった。銃並みの威力はあるらしく、壁に楽々穴を開けた。


「ヘンデスネ?ヘンナホウコウヘマガリマシタ。アナタナニカシマシタネ?」

「さぁ?何の事やら?(危なかったですね。もしも、当たっていたら頭貫通していました)」


 見た目以上に速度と威力がある。強クラスか下手したら極クラスに該当する水属性魔法だ。

 見た目に油断したら死亡するところである。それに詠唱を破棄しているところから初見では回避は至難の業だ。

 だけど、命中しなかったのはジョルの技術スキルに他ならない。

 ジョルが魔神教会に入ってから取得した能力、《運命の輪(ルーンフォーチューン)》は云わば運命を操作する技術スキル。まぁそれだけではないが。

 もっと簡単に言えば、この世のあらゆるモノの確率を自由自在に変化させられる。

 ただし、使用する時には自分の運を使用しなければならない。

 スゥの【分身体】が放った【水鉄砲】の当たる確率をほぼゼロとしたのだ。

 どんなにあり得ない事でも確率を弄れば、過程はどうであれ結果として現れてしまう。それがジョルの能力よ一部分だ。

これで今年の更新は終わりです。

また来年よろしくお願い致します。

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