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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS8-10、スゥの1日~ライファン、ブランと商談をする~

少し遅れたようですみません。

 スゥがブローレ商会本店の地下にたどり着いた頃、ライファンはブランと商談交渉という名の脅迫を初めていた。


「これはガラスですかな?しかし、こんな綺麗なガラスは………………しかも、厚さも均等だと!こんな模様をどう描いたというんだ!実に素晴らしい」

「にゃふふふふ、やはりお主も根っからの商人にゃ。その素晴らしさに気が付くとは」


 ライファンによるブランの評価は、人間として最低辺のクズだが商人としてヤリ手だと感じている。

 そうじゃないと、国王御用達の商人にはなれやしない。それに目の前へ出した江戸切子のグラスの凄さを見抜けるはずがない。

 もちろん【鑑定】持ちだろうが、それ以前に商人ときての目利きがそこら辺の商人より段違いに鋭い。やはりSSランクまで昇格した事だけはある。


「それは、エドキリコというグラスだそうだにゃ。どうやら、カズトの母国での工芸品らしいにゃ」

「な、なんと!勇者様の国の技術ですか?!」

 

 はっきりとカズトから聞いた訳ではないが、ライファンの【鑑定】に江戸切子は工芸品と明記してあった。

 人々に得手不得手があるように、【鑑定】にも使用者によってどんなステータスが写し出されるか、レベルも関係あるが、使用者の育った環境も影響するらしい。

 ライファンの場合、その物の性質を見抜く。ただし、使用方法や細かい成分は無理。例えば、毒なら毒、魔道具なら魔道具と見抜く。

 ただし、毒ならそれがどんな毒性を持つかまでは分からない。魔道具なら使用方法までは分からない。


「次はこれにゃ」

「これは随分と大きいグラスですね。木製のグラスならありますが、これ程大きいのはないですな」

「それには【魔法付与】がされてるにゃ。魔力を流すと中が冷える仕組みにゃ」

「成る程、しかもこれも厚さが均等。これとこの作製者は相当な腕の持ち主だと感じ取れます」


 ライファンも見た感じガラスの厚さが均等だとは感じていたが、ここまで断言するとは!

 もしやブランの【鑑定】の特性とは?


「うっふふふふ、気になりますかな?私めの【鑑定】を」

「にゃはははは、バレてたか」

「えぇ、見目麗しい視線に晒されてる訳ですからね。私めでなくとも気付くでしょう」


 いやいや、そちらこそネットリと絡み付くような熱い視線を送ってきてるでないか。本当なら早く帰りたい気持ちが溢れてくる。

 だけど、カズトの頼みだから仕方なく、この豚の相手をしている次第だ。


「ライファン様が気になってるご様子なので、特別に教え差し上げましょう」


 別に気になってる訳ではないのだが、態々教えてくれるというのなら聞いておこう。

 まぁ大体予想は付くけど、黙って聞いてやる。


「私めの【鑑定】は、細かな材質の重さや厚さが解る訳ですな」

「ふむ、職人が欲しがるような【鑑定】だにゃ。ブランは、商人じゃにゃく職人にならなかったのにゃ?」


 商人よりも職人の方が大成しそうな【鑑定】内容だ。ライファンが不思議に思っても仕方ない。


「いくら【鑑定】がありましてもそれを成し遂げる技術が身に付けられないと宝の持ち腐れですな。私めには鍛治の才能は皆無でした」


 いくら重さや厚さを分かっても再現するのは別の話だ。

 それにライファンが思うに、熱意があった頃な兎も角として今の豚と成り果てた状態では到底無理だとライファンだけではなく端から見ても思ってしまう。

 それでも商人として飛び抜けた才能を持っていたのだから、今となっては豚だが見た目で判断してはいけない。

 

「そうにゃのか。にゃけど、今は商人として成功を収めてるにゃ」

「いやはや、ただ運が良かっただけです」

「運も実力の内と言うにゃよ」


 最強の商人は運も見方についてるモノだ。たまにリスキー商売もする事もあるだろう。

 そこで利益を出せないようじゃSSランクには上がれやしない。運を掴み損ねたら一生底辺の商人のままだ。


「話は逸れたが、またあるにゃ。お主もこれは好きじゃろう」


 酒瓶を数本テーブルの上に並べた。ライファンは中身が何か知ってるから中身の液体が揺れる様を綺麗に見える。


「これもガラスですかな?」

「流石にゃ。先ずはそこに目が向くとは。にゃけど、これは中身が驚く物にゃよ」


 ピンっと爪で器用にビール瓶の王冠を弾くように開ける。王冠も実は魔道具で瓶の淵に合うよう、その都度形を微妙に変え、開ける前と何ら変わらない状態になる。

 まぁ言うなれば、瓶を密閉するためだけの魔道具と言える。


「これはビールジョッキに注ぐにゃ」

「これはエール?いや、エールよりも泡の立ち方が多い。それに匂いも強い?」

「飲んで見れば解る事にゃ。あっ、ジョッキに魔力を注ぐのを忘れぬよににゃ」


 ブランは、ビールジョッキの取っ手を掴み魔力を注いだ。見た目では変化しないように見えるが、ビールジョッキの表面に水滴が付くのが見える。

 ビールジョッキが起動確認した頃合いを見計らい一気に生ビールを口に含んだ。

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