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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS8-8、スゥの1日~ライファンとブローレ商会会長~

「我の二つ名を良く知ってるにゃ。そうにゃ、我がお前と同じSSランク商人《招き猫》ライファンにゃ」


 普通、冒険者ハンターなら低ランクでもそれ相応の活躍・実績を積めば二つ名を得る事が可能だ。

 だが、商人は稼ぐ事が出来れば簡単に高ランクになる事は可能であるため、まず二つ名が付く事が珍しい。


「失礼、我輩がブローレ商会会長ブラン・ブローレでございます。どうぞ、お座りぐださい」


 ブランは、会長席から貴族か商人と交渉するためのテーブル席へ移動する。

 お互いに見詰め合うように着席した。ブラン側のソファーは自分の体型に合わせて特注したのか客側よりも数段大きく作られている。

 何度見ても本当に人間なのか?疑いたくなる体型だ。ライファンと比べると、およそ5倍程大きい。まるで子供と大人だ。


「おい、誰か茶を。それでライファン様、今回はどんなご用件でございましょうか?」

「ふにゃ、妾もお主に聞きたい事があるのにゃ」

「はて?私めは、ライファン様と初対面のはずでは?」


 ブランには、ライファンに質疑応答される心当たりがなく、首を傾げる。同じSSランクの商人だけに怒らせては後が面倒と考え、どうにか適当にあしらい帰って貰おうと頭を回転させる。


「剣の勇者は、ご存知かにゃ」

「グフィーラ王国にて知らぬ者はいない存在でしょう。その勇者が、どうしたのですかな?」

「妾と剣の勇者━━━━カズトとは友人なのにゃ。そのカズトにちょっかいを掛けたバカ共がいるのにゃ」


 グフィーラ王国にて英雄である剣の勇者に悪事を働く者は、高確率で死刑かそれに準ずる刑に罰される。運良くてグフィーラ王国永久追放になってしまう。

 それだけ勇者は国にとって戦力になるという事だ。とうの勇者達は、その事を自覚していない。


「ほぉ、その者達は捕まったのですかな?」

「実行犯は捕まったにゃ。だけど、黒幕はまだにゃ」

「して、何故その話を私めに?」


 本当に心当たりがないのか、またもや首を傾げるブラン。いや、考える素振りを見せてるだけだ。

 ブランの頭の中には、ライファンをどうにかして追い返すか?又は猫人族ケットシーのランファンをどうにかして手中に収められないか?しか頭にない。

 表向きは獣人族嫌いで通ってるブランだが、裏では獣人族が好きで仕方ない。


(ぐっふふふふ、どうにかしてライファンを手に入れないものか)


 だから、獣人族である猫人族ケットシーも大好きで、厭らしい目付きでライファンの体隅々まで見詰めている。


「にゃら、〝レストラン〟カズトは知ってるにゃ」

「えぇ、リサーチ済みですな。古都にて流行ってる宿屋でしたかな?」

「そうにゃ。商人だから調査しただけと言いたげだにゃ」

「それ以下でも以上でもありませんよ。まさか、私めが黒幕と仰りたいのですかな?」


 ブランは、現在滅多に王都から出ない。諜報活動を得意とする部下から情報を仕入れた事があるため、もちろん知っている。


「その宿屋が、勇者がやってると言ってもにゃ?」


 ピクッ


「〝レストラン〟カズト………………剣の勇者カズト……………はっ!まさか………………そんなバカな」


 やっと気付いた様子だ。絶対にやってはいけない事をブランはやってしまった。もしも、この事がグフィーラ王の耳に入れば打ち首確定だろう。

 だけど、この事実を知る者は黒幕であるブランとライファンの二人だけと思い込み、ライファンをこの場で殺せば済むと殺気を漏らしてしまう。


「そういえば、カズトの嫁さんに姫さんがいたにゃ」


 レイラ?ライファンが口にした名前に聞き覚えがあった。というかグフィーラ王国民なら知らない方がおかしい。


「まさか、レイラ様ですか?グフィーラ王陛下の…………」


 王城を度々訪問するブランは、もちろんレイラにも会った事がある。顔を会わせた事は一度や二度ではないため、顔は覚えている。もちろん、レイラもブランの顔を覚えてるだろうと推測が出来る。

 そんな事実に顔面蒼白になりつつあった。ライファンを排除か洗脳又は奴隷にする事は出来てもグフィーラ王の娘であるレイラに手を出すのは悪手中の悪手だ。

 八方塞がりになってるブランにライファンが、とある提案を差し出した。


「我も鬼ではないにゃ。そこで、土産を持って来たにゃ」


 カズトから手渡された品々をアイテムボックスからテーブルに並べた。

 その品々を見たブランは、一瞬で商人の瞳へと早変わりする。これは良い品物だと、これをブラン商会にて売る事が出来れば、儲かる事間違いだと一瞬で見抜いた。


「これらの品物は、どうしたのですかな?」

「こちらの品々は、カズトからの土産となりますにゃ」


 なに!こんな素晴らしい見た事のない品々を、刺客を送ってしまた相手からの頂き物だというのか。

 ブランは、到底信じられなかった。宿屋の件は部下を通して知ってる。だけど、商人として扱う品々が砂糖や胡椒だけではなかったという事に、ブランは危機感を覚えたのである。

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