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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
1章グフィーラ王国・古都

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ss2-2、アリスのレストラン暮らしその2

 シャルの猛特訓でつけられた傷を癒すため、普段貴族しか入れぬ風呂………否、温泉とやらに入浴中なのじゃ。妾が知ってる風呂とは全然違う。

 広さも形も何もかも違うのじゃ。妾も一応貴族の端くれじゃから、数える程であるが入った事はある。あるのじゃが、ここまで気持ちいい良いものではなかった。

 それに、ここのルールとして身体を洗ってから入るのが決まりらしく、他の客らは例外なく洗ってから湯に浸かっておる。妾も慣れない内は洗う事を忘れてしまう事はあったが、今はちゃんと洗ってから湯に浸かっておるのじゃ。



 身体を洗う際に使用する石鹸の泡が気持ち良くてしょうがない。石鹸はもちろん知ってはいるが、妾が知ってる石鹸はここまで泡立ちはせぬし、汚れも落ちぬヒドイものであった。

 じゃから、自然と身体を洗うという習慣が身に付いた訳だ。だが、まだ頭を洗うのが苦手でシャルにお願いしてるのじゃ。あの目に入って染みるから苦手じゃが、ルールだから仕方なくやってる訳じゃ


「はふぅ、やっと入れるのじゃ」

 ルールの二つ目として、髪を湯の中に入れてはダメらしくシャルが妾の髪を纏めてくれたのじゃ。


「姫様、お疲れ様でした。こちらをどうぞ」


 おっ!あれはレイシュではないか!ここのサービスの一環らしく、温泉に入ってる客に酒とオツマミを無料で提供してる。

 今回の酒はレイシュなのじゃぁぁぁぁぁ。温泉で身体を温めながら、シャルが注いでくれる冷たいレイシュでクッと飲む。なんて贅沢な一瞬なのじゃ。この瞬間のために妾は生きてるかもしれない。


「今回のオツマミはクリームチーズのシュトウアエだそうです」

 うむ、名前が長くて覚えられないのじゃ。

 でも、味の方は………これぞ、大人の味というヤツなのじゃ。これをシャルに言ったら「ふっ、姫様は私から見たらまだまだ子供です」と嫌味たらたらしく、言い放って来やがったのじゃ。

 絶対いつかはシャルをギャフンと言わせてやるのじゃ。そう思うのも束の間、この温泉の気持ち良さにほんの数秒でどうでも良くなっていた。


「実に今回の酒とオツマミは当たりじゃったな」

 湯船に浸かってから20分後に出、日本古来の服・浴衣を着用しシャルに頭をドライヤーで乾かしてもらっている。


「えぇ、ここの料理には驚かされるばかりです。それに見た事のない魔道具もあり、来た当初は驚愕至極でございました」

 シャルが今手に持ってるドライヤーもその一つ。地球ではありふれた機械の一つだが、カズトが【異世界通販ショッピング】で取り寄せ、ミミの手によって電気の代わりに魔力で動くよう改良したのだ。


「姫様、出来ました。今日の姫様も一段と可愛くございます」


「そうであろうそうであろう。あっ、そうじゃった。あれを忘れるところであった」


 アリスが向かうのは、更衣室にある周囲をガラスで出来た箱━━━中が見えるようミミがカズトの記憶を参考にして自作した冷蔵庫だ。

 その中にあるのはガラスビンに入ってる乳白色の飲み物、そう温泉といえば"牛乳"だ。それも三種類あり、シンプルで"牛乳"、ピンク色の"イチゴ牛乳"、一見泥水のような"コーヒー牛乳"がある。


「やはりイチゴギュウニュウじゃのぉ」

 ビンの紙蓋をポンっと取り、腰に片手を当てながらグイグイと飲み干す。これがカズト様の故郷の習慣の一つらしいのじゃ。

 確かに温泉後のギュウニュウは格別じゃのぉ。


「シャルよ、いつもの()()をやるかのぉ」


()()ですね。今度こそ勝ちます」


 更衣室から出た二人は遊戯室に来ていた。そこには、ここにしかなさそうな遊具が溢れかえっている。

 二人のお目当ての物は、これも温泉後にやると良いと勧められた"卓球"である。つまり日本でも少なくなってきてる"温泉卓球"だ。


「先行は姫様からでよろしいです」


「良いのか?負けても知らんぞ」


 先行はアリス、右手にラケットを握り左手にピンポン玉を乗せ………天井に向けて投げた。しかも、天井スレスレの高さまで。このサーブは名付けて━━━!


「喰らうのじゃ。必殺【ドラゴンサーブ(アリス命名)】」

 所謂ただの"ハイトスサーブ"だ。シンプルに高く上に投げ落ちて来たところを打つサーブ、落下速度に加え自らの打撃スピードを上乗せするシンプルだが、効果的なサーブだ。

 だからこそ難しい。バランスが崩れれば空振りに終わる。集中力がいるサーブでもある。


「姫様、甘いです」

 スピードがあり重い玉だが、サーブだけに軌道は分かり安い。それに必殺技を持ってるのはアリスだけではない。


料理長シェフ殿直伝………【ループドライブ】」

 強烈な上回転トップスピンを掛け、弧を描くように飛んで行くがパウンドする際に鋭角になりスピードが増す。大抵の相手はオーバーミスをしやすい。もし打ち返せても高く打ち上げ安く相手にチャンスボールを与え安い。


「くっ!しまったのじゃ」


「これでおしまいです。スマッシュ」


 高く上がった玉を想いっきりバックハンドで振り下ろす。普通ならフィニッシュになるような玉だが、それは人間での話だ。この二人は鬼人族オーガで人間より遥かにステータスが高い。


「甘いのはシャルなのじゃ。伝家の宝刀【雷帝の鉄槌(アリス命名)】」

 所謂、ただのスピードドライブだ。ただし、スピードは段違いなのだが、弱点がある。もし返されると、そのままのスピードで返ってくる。

 つまり、超スピードのラリー合戦の始まりの幕開けであった。


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