SS7-19、女婬夢族ジブリールの居場所~風の上位精霊~
上位森精族のミスティーナと同一人物なのか?それを考えるのは後回しだ。
今のミスティーナも相当に強い。油断したら、こっちが殺られる。流石は、ドブクエストには目を瞑ってもSランクだけの事ある。
「さっきのお返しよ。【流星17連激】」
ミスティーナが17人に見える。だけど、本物は一つだけ。後は速すぎて残像を残してるにすぎない。
普通ならコレを喰らったら最後。突き刺しで死ぬだろう。だが、この技を攻略する方法はある。
一つ目は、完璧に見切り回避する事。二つ目は、ミスティーナの技に合わせコチラ側も同様な速度によりピンポイントで突きを突き出し防ぐ。
後は、周囲に障壁を張るのも手だが、無詠唱ではない限り間に合わない。因みに俺は、魔法の類いが苦手だ。
「ほぉ、流石に速いな」
「なら、諦める?」
「馬鹿を言え。【水刃烈波・水手裏剣】これで防ぐ」
《正義》の周囲に水で出来た十字の刃が浮遊してる。それが回転を始め、自由に動き始めた。
端から見れば、無造作に動かしてる風に見える。だが、ミスティーナにバレないよう軌道上に密かに設置してる。
【水刃烈波・水手裏剣】の数個は、囮としてミスティーナを追いながら、本命の防御に使用する分がバレないよう陽動をかける。
技術や魔法の最使用にはタイムラグが生じ直ぐには使えないものだ。それが強力なモノ程に謙虚に現れてくる。
よって防ぎきれば、ミスティーナに隙が生じるはずだ。そこが狙い処だろう。
「くすっ、遅いですね」
どうやら【水刃烈波・水手裏剣】が、自らの攻撃を防ぐ事とは思いもしないようだ。
初見では、ただ単にゆっくりと動く水の塊程度にしかとらえてないようだ。
「なら、やってみるといい」
「くすっ。えぇ、あなたを串刺しにして差し上げますわよ」
流星の如く、一斉に残像のミスティーナも含め降り注ぐ形で《正義》に向かっていく。
ガキン
「なっ!ふ、防いだですって!」
案の定、《正義》の作戦勝ちということだ。見事に【水刃烈波・水手裏剣】に阻まれ、ミスティーナの細剣は届かない。
それどころか、ミスティーナの残像が消えていき一人となった。まだ同じ技術を使おうとするが、その隙は《正義》は見逃さない。
「あまい。【風走り・旋毛】」
《正義》がフウジンを振るった軌道上に緑色の線が走り、ミスティーナへ到達すると緑色の線から緑色の刃的なモノが飛び出した。
緑色の刃がミスティーナを襲うが、自慢の速さでギリギリの紙一重で回避される。
「これは、またもや風属性の………………属性を2つ同時に使いますか」
「おしゃべりする時間はないぞ【風走り・カマイタチ】」
ミスティーナに攻撃を与える隙を作らせないように次から次へと緑色の軌道を作り出す。
それと同時に【水刃烈波・水手裏剣】を、ミスティーナの技術を防いだ時と比べようもない速度で放つ。
「『風の精霊よ、我の名に応じ顕現せよ。我の魔力を喰らい、敵を屠るが良い』【召喚・風の上位精霊】」
戦乙女風な鎧を着込んる外見の上位精霊がミスティーナの前に出現した。
上位精霊が2m及の大剣を一振り一閃すると、《正義》が放った技術全てが無残にも散った。
その影響か、《正義》が持つ双剣にヒビが入り砕け散った。
「ハァハァ、間に合ったわ」
相当無理をして召喚したらしく、ミスティーナは胸で呼吸をしフラフラである。典型的な魔力欠乏症の症状が出ている。
まだ軽い症状だが、重症化すると気絶し最悪の場合命を落とす事がある。
これ以上は魔法を行使するとミスティーナの命が危ない。だが、それ以上に呼び出した精霊は凶悪に仕上がってる。
「これはまた、面倒くさいモノを呼び出してくれたな」
「クスッ、これでアナタは終わりよ。キャハハハハハ」
ミスティーナは、強がってるが明らかに地面に伏して動けない状況だ。
たげど、風の上位精霊が主であるミスティーナを守護するよう風魔法の障壁をドーム状に張る。
障壁を張り終わると、上位精霊は《正義》に向けて殺気を放つ。上位ということもあり、殺気だけでビリビリと鎧の上からでも肌が擦れるみたいに痛い。
まるで日焼けでもしたみたいだ。
「これまた、スゴい殺気だな。離れていても痛く感じる」
「クスクスッ、上位精霊なんて人間様が勝てる相手じゃないのよ」
実質その通りだ。
上位精霊は、属性関係なく【完全物理無効】という常時技術を持ってる。
名前の通り、物理攻撃が全く通用しない。ただし、属性付与されてる武器なら通用する。
しかし、それも生半可な付与では、やはり焼石に水。弾かれてダメージを与えられない。
魔法も人間が使用する程度だと効き目は薄い。のが、この世界の常識の一つだ。
だから、もしも人間が上位精霊に出会う事があれば、逃げる事が鉄則だと言われている。




