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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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112食目、森精族の部屋に訪れる

 無事に世界会議メープル前日の晩餐会は終わり、出席者全員がカズトの料理に満足してくれたようだ。

 参加者全員を見送った後、カズトは片付けをしようとした途端に声を掛けられた。


「"剣の勇者"殿、いやはや見た事のない未知の料理ばかりで感激致しました」

「いえいえ、我が国……………いや、私の元々いた世界の料理なんで満足して頂けたら幸いです」


 社交辞令として頭を下げお辞儀をする。フルーイ殿下はフレンドリーな方で、不敬とか気になさらないだろうが、何処に誰かが見てるかもしれない。



「それで"剣の勇者"殿、今お時間のほどよろしいか?部屋に戻っても退屈でね。少し頼みを聞いて頂けないだろうか?」


 他国の王子様から頼み事をされては、断れる者は指で数えられる位しかないだろう。

 フルーイ殿下に関しては、フレンドリーに話し掛けて来るもんだから、余計に断り難い。それに下手に拒否したら、不敬になりかねない。


「俺でよろしければ、何でしょうか?」

「フゥの話相手になってくれないか?」


 フルーイ殿下の妹気味だったか。神樹の森フリーヘイムの王・フレイ陛下一行が魔法大国マーリンに到着した時に挨拶程度口を交わした位だ。

 俺のファンで森妖族エルフの事だけはある。幼い雰囲気は残すも可憐で街を歩いていたら十中八九、男共を振り向かせる魅力や美貌を感じさせていたと覚えている。

 だけども、いくらフルーイ殿下の頼みでも他国の王族の部屋を訪れるのは憚れる。自国のグフィーラ王のところなら護衛として怪しまれる事はない。


「……………俺は構いませんが、他国の王族の部屋に訪れるとなると……………」

「あぁ、それは大丈夫さ。私もいるし、父上と母上も一緒だ。"剣の勇者"殿と話したいと申されてね。フゥと一緒の部屋にいるんだ。

 同じ勇者であるアシュリーとも話したい事は山程あると思うけど、護衛の任務中でね。今回は諦めてくれないか?」

「それは大丈夫です。同じ勇者であるなら、また何処かで会えますから」


 勇者の本能か運命かは明らかでないが、勇者同士は何処か引き合うらしい。別に勇者を探知が出来、何処にいるか分かる訳ではない。

 何らかの重力や磁力みたいな作用が働いてるらしいが、カズトも何となくそう思ってるだけだ。何となくそういう感覚をたまに感じるらしい。


「さぁ、この部屋だ」


 フルーイ殿下の案内で、神樹の森フリーヘイムの王族一行が揃ってる部屋にたどり着いた。

 扉の前には、弓の勇者である傍ら神樹の森フリーヘイムの勇者であるアシュリーが仁王立ちで立っている。


「お疲れ様です。フルーイ殿下」

「そちらこそお疲れ様。何も異常はないね」

「はっ!部屋の中にて陛下がお待ちでございます」


 アシュリーが扉を開け、俺とフルーイ殿下が入っていく。入る際、俺とアシュリーは会釈をし一瞬だが見詰め合い『後は頼見ました。カズト先輩』、『あぁ任せろ』と視線だけでお互いに伝え合った。


「フルーイ来たか!待ってたぞ」

「お待たせ致しました。父上」


 ソファーにフレイ王とララ王妃が並んで座っており、フゥ王女がララ王妃の前に座ってる。俺は、フゥ王女の隣に座るよう席を薦められ着席した。

 フルーイ殿下は、俺とフレイ王の側面に座る形となった。もう一席空いてるが、アテナは実の父親であるグフィーラ王のところへ行ってるらしい。

 後は周囲の世話をする使用人が壁際に立ったまま大気してる位だ。いつでも命令を聞けるよう、耳を傾けてる。


「そなたが"剣の勇者"殿ですかな?余は神樹の森フリーヘイムの王……………フレイ・ニブルである」

「お初にお目にかかります。私が"剣の勇者"でありますカズトです。お会い出来、光栄に思います」


 ガシッと握手を交わした。やはり一族を統べる王だ。握手をしただけで、その威厳や貫禄がびしばしと伝わって来る。

 ここに到着した時に会ってはいるのだが、あの時は目も合わせてはくれなかった。貴族か王族しか興味がないのか?

 まぁしかし、これで縁が出来たし今後は公平にお付き合いが出来ることだろう。


「今回の晩餐会の志向の数々、真に美味であった。あれらを作りおったお主に話をしたいと思うてな。こういう場を設けさせてもらった次第だ」

「お褒めに預り光栄至極であります」


 マーリン女王や獣人国家アルカイナの八王の二人とは別の威圧感や緊張感により、掌に冷や汗が掻いてくる。

 上手く口で説明出来ないが、奥深い森を一人で何も準備せずに放り込まれた……………そんな感覚がフレイ王から伝わってくるのだ。何も訓練してない兵士や冒険者がフレイ王の前に立ったら、数分間身が持たず泡を吹いて気絶するに違いない。


「父上の【森の気】に触れても平気とは!"剣の勇者"殿さすがです」

「【森の気】?」

森精族エルフでない者が知らないのも無理はありません。【森の気】とは、森精族エルフのみが使える魔法と言いますか、自然に存在する精霊を利用する魔法なのです」


 精霊は森精族エルフしか認識出来ない。よって、【森の気】とやらも森精族エルフしか扱えない。通常の魔法とは違う事が出来るという認識だけで良い。


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