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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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111食目、豆腐のフルコースを披露

 まだ到着してない各国には悪いが、今夜は主催の魔法大国マーリン、獣人国家アルカイナ、神樹の森フリーヘイムの三ヶ国のみの晩餐会を開催する事になった。

 参加者は、三ヶ国王族全員と護衛として一緒に着いて来た勇者二人。魔法大国マーリンの勇者二人は出席せず、カズトは晩餐会に出す料理のセッティングをボーロとその部下達に指示していた。

 三ヶ国の各王族達と勇者二人が席に着席し、その同時にドリンクと前菜が各参加者達の目の前にサーブされる。


「先ずは前菜であります〝冷奴〟とドリンクであります〝豆乳カクテル〟であります」

「〝冷奴〟は、最初に何も漬けずに一口食べてもらい、後に小皿でご用意致しました黒いソース〝醤油〟へと漬けご賞味くださいませ」

「〝豆乳カクテル〟は、成人の方には()()を、未成年の方には、アルコールは入っておりませんので、ご安心を」


 ボーロがカズトに念入りに説明された文言を一門一句間違えずに料理の説明をする。

 獣人国家アルカイナと神樹の森フリーヘイムの勇者は前に出された品に驚愕していた。

 ドリンクの豆乳カクテルに使用されてる豆乳と冷奴に醤油(黒いソース)は、どう見ても日本の食材であり、この世界には存在するはずはないと思い込んでいたらしく、正に念願が叶った瞬間である。

 勇者二人は、この後も驚愕の連続だとは思いもしなかった。


「おや?勇者様方は、これが何か知ってるようですな」


 神樹の森フリーヘイムの王、ニブル王フレイ陛下が勇者二人の様子に気付き、聞いてきた。


「知ってるも何も」

「これらは、ワタシ達の……………日本の料理です」


 これらを作ったのは間違いなく、カズトだと宣言出来る。日本出身者で旨い料理を出せる人と考えると、カズト以外だと二人とも知らない。

 それに、席が一ヶ所空席のままだ。


「流石は勇者様。ご紹介致しましょう。これらの料理を調理してくださいました。料理の勇者様こと剣の勇者……………カズト様であります」


 ボーロの紹介により、みんなが注目してる中で出て来たのは料理人の格好をしているカズトであった。コック帽子を胸元前で持ち直し、頭を垂れると一言挨拶をした。


「この度の晩餐会の料理をご用意致しましたカズトと申します。まだ前菜とドリンクのみですが、これから料理をご用意致しますので、お楽しみして頂ければ幸いです。

 それと、この度の料理には、一つテーマを設けてあります。それは、材料が大豆だという事です。大豆の変幻自在な料理を味わってください。私からの挨拶は以上になります」


 カズトの挨拶が終わると、パチパチと拍手が響き渡り、それが合図となったのか、残りの料理が次から次へと運ばれてくる。


「本当に、あの豆粒から出来てるとは信じられん」

「本当よね。これ程の料理が出て来るなんて信じられないわ」


 今日集まった四ヶ国の王族の中で一番カズトの料理を食べて来たグフィーラ王と王妃でも、大豆で作られた料理達は見た事も聞いた事もない。

 今回カズトが初めて披露した料理だから、しょうがない。どれも手間暇掛かり、今の現状レストラン〝カズト〟で出すにはほぼ不可能に近い。

異世界通販ショッピング】で買い置きしておけば解決しそうなものだけど、カズトのプライドが許さない。

 だから、ボーロの豆腐作りが軌道に乗れば買い付け、店のメニューに載せようかと考えてる。


「私は、このお稲荷さんがお気に入りなのよ。何故か本能的にビビっと来たのよ」


 タマモは、他の料理一皿しか食べてないのに対して〝稲荷寿司〟に関してはお代わりをご所望している。

 フルコースの形を取ってはいるが、お代わりが出来るよう多目に作ってある。王族や貴族がやる立食形式のパーティーはあるが、フルコースという概念はまだない。

 つまり今この時にカズトが、この世界で初めてフルコースを披露した事になる。まぁ変わり種なのは、しょうがない。


「これタマモよ。そればかり、食い過ぎでないか」

「だって、モグモグ……………止まらないのよ。フォルちゃんだってトウフハンバーグばかり、食べてるのよ」

「それはアレじゃ。あの豆粒から、こんな肉が作れるなんて信じられないからな。正体を探ろうとしてるのじゃよ」


 獣妖族の二人共に負け時劣らず、まるでフードファイトしてるかの様に、タマモは稲荷寿司を、フォルスは豆腐ハンバーグを他の料理には目を向けず食べ続けてる。

 一見、王族に相応しくない食べ方に見えるが、皿を積んでる事以外は料理マナーが守られている。あんなに乱暴に食ってる風に見え、実はテーブルや口回りにはソースのシミ一つでさえついてない。



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