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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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105食目、獣妖族到着

「でも、これだけじゃ物足りないわよね」


 確かに美味なのは美味だけど、盛り付けが寂しいというかインパクトが足りない。

 だけど、そこはカズトの腕の見せ所だ。前にいた日本……………いや、日本を含めた数国で様々な豆腐料理がある。


「そこは任せろ。美味しい豆腐のフルコースを作ってやるからよ」

「「フルコース!!じゅるり」」


 コイツらから見たら豆腐は立派な料理に見えるかもしれないが俺からしたら……………まだまだ通過点(材料)なのだ。

 ボーロが是非勉強のため作るところを見せて欲しいと頼んで来たが…………却下した。ここからが企業秘密だ。


「そのフルコースとやら私も食べても…………」

「えっ…………豆腐食べましたよね?それが報酬の一つじゃ…………」

「そんな私も食べたい食べたい食べたいぃぃぃぃぃの」


 バタバタ

 シールが床に寝転びオモチャをねだる駄々っ子みたく手足をばたつかせてる。今の現状を見たら本当にこの人がブルー隊の隊長だとは思えなくなる。

 今から作るのは各国の王族とその近親者に加え特別に護衛の隊長と一緒に護衛任務に就いてる勇者がご相伴を授かる事になってる。それ故に今回ばかりは諦めてもらうしかない。


「はぁ、判りました。俺の店に来た時にでも召し上がって下さい。その時なら大丈夫でしょう。ただし、お金は払って貰います」

「そ、それで構わないわ」

「わ、私にも味見位は……………」

「ボーロも料理人ですから試行錯誤してください」


 ボーロがカズトの豆腐料理を味見したがってるが却下だ。

 豆腐を教えただけでも充分過ぎるだろう。知識は財産ってね、そう簡単に教えていては損するばかりで得がない。

 後はボーロが試行錯誤してる内にマーリン独自の豆腐料理が出来るかもしれないし、出来ないかもしれない。そこは運のところが大きいがボーロよ、頑張ってくれたまえ。


「くっ……………判りました。"料理の勇者"殿…………いえ、師匠がそう言うのであれば、やってやろうではありませんか」

「し、師匠……………まぁ良いか。だけど、試行錯誤するのは世界会議メープルが終わってからでお願いしますね」


 暑くなるのは良いが王様達に失敗作を出す訳にはいかない。私情事は仕事が終わってからだ。

 晩餐会までの時間はあるが豆腐は全然足りない。カズトによるボーロへの豆腐の作り方の教授はこれにて終了した。

 もう、俺がいなくても豆腐は作れるだろう。よって、ここからボーロとその部下に豆腐作りを任せ俺は城の廊下をブラブラしている。


「先輩じゃないですか。ちょうど呼びに行くところでした」

「うん?アシュリーか。俺に何か用事か?」


 同族の王様達の警護をしてなくても、大丈夫だろうか?まぁここは城の中だし、よっぽどの事がなけりゃ危険はないだろう。

 それに勇者の他にも警護に当たってる近衛兵を十数名連れて来てるはずだ。


「そろそろ今日到着予定の獣人国家アルカイナの方達が到着しますのでお呼びに。先輩も楽しみでしょう?ワタシ達の同胞の一人である"棍の勇者"工藤健彦先輩に会えるのを」


 俺とアシュリーは再び門の外出てから数分後、空から馬車らしき物が現れた。馬車には引いてる馬は存在せず、その代わりに車輪が燃え顔らしきものが付いてる。

 昔読んだ事のある妖怪を題材にした漫画に出てきた輪入道にそっくりだ。それにしても、どういう理屈で浮遊してるんだ?この世界には魔法があるから今さら驚かないけども。

 流石に妖怪は驚くわ。ファンタジーの世界で妖怪は出てくるなって思う。


「どうやら来たようね」


 やっぱり、あれがそうなのか!あれが獣人族一行なのか!

 カズトが驚愕の表情してる間に二人の目の前にて馬車が降りると輪入道からは炎が消え目映い光に包まれたと思うとそこには一人の50台程の和服が良く似合う男が立っていた。

 イケメンがそのまま年老いたと思える程の渋い和風老紳士だ。今日、初対面のはずなのに、つい尊敬の眼差しを向けてしまう。


「お二人さんも勇者のようですね。我々獣妖族のために出迎えご苦労である。儂は獣人族の王にて獣妖族の王で有らせられるフォルス・フェニックス様の一の家臣:輪入道一二三(ひふみ)でございます。お見知り置きを」

「これ、先に挨拶するでない」


 頭を40度傾け、こちらの労いと自己紹介を済ます。俺達も自己紹介しようとした瞬間、馬車の方から声がした。輪入道は自分の事を家臣と紹介していた事から恐らく王族の誰かだろう。

 カズトとアシュリーは自己紹介を忘れ馬車の方に注目する。馬車から降りて来たのは、大和撫子という言葉がぴったり合う見目麗しい女性であった。髪は燃え上がる炎みたくキレイな深紅で簪により団子状に纏めてある。

 着物と頭に刺さる簪が実に言葉に言い表せない程良く似合う。ここだけ日本に戻ったみたいだ。 

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