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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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104食目、豆腐と醤油

今日から通常の更新頻度に戻ります。

また仕事都合上により更新が遅れるかもしれない時期がありますので、その時はお知らせ致します。

 大量に二種類の豆腐を作る中、料理長であるボーロに"寄せ"を叩き込んだ。料理長なだけあって呑み込みは早く、2~3回程自分で作ってみたら完璧に覚えてしまった。


「出来立てを食べてみるか?」

「よろしいのですか?」


 食べてみたらカズト作の豆腐とボーロ作の豆腐と比べたらボーロの方が何処か一歩足りない風に感じてしまう。別に不味い訳ではない。物足りないと思ってしまうのだ。


「…………やはり、"料理の勇者"殿には負けますな」

「ボーロの豆腐も旨いぞ」

「いえいえ、"料理の勇者"と比べると情けなくなってきます」


 そんな事はないと思うけど…………。ボーロみたいな料理人やよっぽど舌が肥えた貴族や美食家でないと、俺とボーロの豆腐の違いは分からないだろう。

 其れほどに些細の味の違いだ。


 バーン

「ちょ、ちょっと何で呼んでくれなかったの!」


 勢い良く開けられた扉を見るとシールが息を切らし厨房へ入って来る。怒り顔でこちらに近寄って来る様は、まるで般若のようだ。背後に怒りのオーラが具現化してる風に見える。


「約束しましたよね?出来たら呼んでくれるって!」


 それは約束したけども、俺的には豆腐自体ではなく豆腐を使用した料理を味わって貰おうと考えていたのだ。

 別にシールを除け者にしたかった訳ではない。王族の晩餐会にお出ししてから持っていく気だったのだ。

 その事を話すと納得したくれた様で背後の般若はいなくなっていた。


「そういう事でしたの」

「納得してくれたようで━━━」

「いいえ、その豆腐の料理を興味を注がれるのだけれど、豆腐自体も興味もあるわ。だから、ちょうだい」


 口をあーんと開けオネダリしてきた。これはずるい、ズルいと思ってしまう。マーリンの女性が着てる服というか水着か下着に近いせいか男にとって目の毒で、オネダリされたら変に意識してしまう。

 だけど、これは仕事と割り切り意識の外へ邪念を追い出す。スプーンを持ちプルンと豆腐を掬いシールの口へとインさせた。


「もぐもぐ…………ゴクン」


 咀嚼はしたが柔らか過ぎで溶けてしまったような……………口の中で瞬時になくなってしまった。

 それでいて、大豆の濃厚に圧縮された甘味と風味が鼻から抜け瞳を瞑れば青々と大豆が育ってる環境を思い浮かべてしまう程に美味しい。


「はっ!私は一体何を」

「ふぉっふぉっふぉっ、シール様もなりましたか。顔が余りの旨さに口角が上がっておられましたよ。その豆腐は"料理の勇者"殿が作られたものです。私が作ってもここまで美味しいものは作れません」

「二人とも、そのままでも美味しいですが……………これを掛けると更に美味しいですよ」


 カズトが取り出したのは、小皿に乗った〝醤油〟だ。ボーロとシールは見た事のない〝醤油〟を目の前に薄気味悪さ半分と好奇心半分が内心戦ってる。

 先に動いたのはボーロだ。やはり料理人として未知な食材・調味料には興味はあるのだろう。人差し指をちょこんと付け舐めた。


 ペロッ

「…………!!これは!しょっぱいが、後から何とも奥部下強い味わいが広がってくる……………東方の方で魚で作る似たような物が作られてると聞く。二回程頂いた事はありますが、それとは違い、クセがなく食べやすい」

「これは醤油と呼ばれる物だ。ボーロの意見で構わない。これを豆腐に掛ければ、どうだろうか?ニヤリ」

「……………!!」


 ボーロは豆腐の味と醤油の味を脳内で合体させ、豆腐に醤油を掛けた際の味をイメージした。

 絶対に美味であると確信し、豆腐に醤油を掛け食べた。これぞ、料理の革命だと思いで無我夢中に食べた。スーパーで売ってる大きさを1丁だと考えると、およそ5丁分を平らげた。


「ふぅ~、醤油の有り無しで大分変わりますな。これは料理に革命をもたらしますぞ」

「退く位食ってたわね。そ、そんなに美味しかったの?」

「……………食べてみれば……………判る」


 出来立ての豆腐と醤油の小皿をシールに渡し早く食べるよう促す。ボーロの言う通りに醤油を掛けスプーンで掬って食べる。

 口に含んだ瞬間、スプーンを落とし口角が上がりだらしない顔となっている。


「あの大豆とは大違いじゃない!こんなにトロトロプルプルに変化しちゃうなんて……………宮廷魔導師もビックリだわ」

「そうやろそうやろ。"料理の勇者"殿は天才やてぇ」


 ボーロが何故かエセ関西弁みたいになってる。

 これで豆腐作りに目処が立った。今日神樹の森フリーヘイムから来賓した森精族エルフは常日頃から森から出ずに暮らしてるという。その関係で動物系が食べられないベジタリアンだと話だ。だから、間に合って良かった。

 二人とも豆腐に驚愕してるようだけど、これだけで驚いてもらっちゃ困る。

 豆腐を使用した料理は数百種類位にのぼる程大量にある。その大量にある豆腐料理から晩餐会に出す〝豆腐のフルコース〟メニューを出すか考えてる最中だ。

 豆腐(大豆)一色にしなくても良かっただろうけど、こちらの世界ではどれも見た事のない料理ばかりだ。さぞ驚きの連続になるに違いない。


キャラクターの中で、魔神教会という者達が出て来ます。

そのキャラのコードネームにルビを加える作業を行ってる最中で、何話か手直し致しました事をここに報告致します。

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