SS1-18、帝国の三勇者~ゴンと鍛冶屋が仲間になる~
「メグミが寝て静かになったところで、ゴンさんにお願いがありますの」
「な、なんだ?!」
メグミがゴンにとある提案を申し入れた。
その提案とは、パーティーを組まないかという事だ。カズトとパーティーを組んでいたから強さには申し分はない。
それに、カズトがいるというグフィーラ王国まで道案内も出来るだろう。それと、女性三人組のパーティーでは絡まれるのもあるので、その対策としてだ。
「俺が、パーティーにだと?!」
まさかパーティーの勧誘されるとは思わず、驚愕したまま固まった。
憧れの勇者(女性とは思わなかったが)からパーティーに誘われるなんて誰も思わないだろう。
「あっ、悪い。いきなりの話で驚いていた」
「無理もありません。ゴンさんのご都合とおありでしょうから、いきなり返事をしなくても構いません。どうか、お考えてくれませんか?」
「俺で良いのか?」
正直に言って勇者三人がいるパーティーには誰でも入りたいに決まっている。しかも三人とも美女なのだ。お近づきになりたい者は後を知れずだろう。
「ゴンさんなら、私達のパーティーへ入っても強さは申し分もないと思います」
「まぁオッサンとは、一回戦ってみたいし」
「オジサンオジサン、カズトの話聞かせて」
「お嬢さん達が良いって言うなら引き受けよう。ただし、条件がある」
「条件ですか?」
ゴンも男だ。きっとエロイ要求して来るに違いないとリンカとメグミの二人は、後ろの壁へ後退した。
「このオッサン、やっぱりエロいんだ」
「オジサンオジサン、リンカ達とエロい事するの?」
「違うわい!もう一人誘いたいヤツがいるんじゃ」
案内するから着いて来いとゴンの後ろを着いて行く。ゴンが案内して着いたところが、一件普通の鍛冶屋だ。
ここは土精族の国なので、どの他国よりも数十倍鍛冶屋は多い。地球で例えると、コンビニ並みに多い。
「鍛冶屋?」
「ここに誘いたいヤツがおる」
「もしかして、土精族?」
土精族は、小学低学年ほどの身長しかなく最も鍛冶が得意な種族である。
この世界の常識として鍛冶屋に連れて来られれば、誰だって土精族だと考える。
「そんなに悪いヤツでないから安心しろ。むしろ、カズトの事なら積極的に手伝ってくれるだろうな」
ガラガラと無愛想な表情で鍛冶屋の門扉を開ける。
内装は、様々な武器や防具が無造作に置いてある。受付の奥からはハンマーで鉄を打つような甲高い音が五月蝿く響いてる。
「ルカ、いるか?いるなら返事しろぉ」
「五月蝿いね。また斧の整備かい」
鉄の打つ音が鳴り止むと受付の奥から出て来たのは、小学低学年ほどしか身長しかない、どうからどう見ても見た目は子供しか見えない女の子だった。
鍛冶で暑いからか?ほぼバックレスの服を着用し、腕や顔が薄汚れている。
「か、可愛い!」
「ですです、抱いても良いですか?」
「……………撫でても良いか?」
三人ともゴンにルカと呼ばれた土精族の容姿にメロメロで、相手が答える前に抱いたり、頭を撫でていた。
一瞬の出来事で土精族のルカ?は、数秒茫然してる中で、ハッと気が付き抵抗する。
「何だ?お前らは!ちょっ離せ。何処を触ってるんだ」
土精族の筋力は、女性でも種族の特性と鍛冶が得意な事が相まって種族の中で上位に位置するはずなのだが、三人の腕を振りほどくまでには至らなかった。
「満足だわ」
「ハァハァ、リンカの妹にならない」
「リンカ気持ちは分かるが、容姿と年齢合ってないと思うぞ」
「じゃぁ、お姉さん?」
三人に触り捲った土精族のルカ?は、受付に引っ込みガクガクブルブルと震えてる。
その事に全く気が付いてない三人。何処か肌に艶とハリが出てるのは気のせいか?
「あぁ~、ごほん。すまん、ルカそこから出て来てくれないか?こいつらは、別に悪い奴らではないんだ」
「本当?その人達、怖くない?」
「怖くない怖くない」
ゴンの説得に受付から出て来た土精族のルカ?は、まるで幼児退行でもしたかのように汐らしくなってる。
ゴンの裾を掴みながら背後に隠れ三人の様子を伺ってる。その様子に、また抱きたい衝動に駆られる三人は、今度は我慢した。頭を掻きながら反省してるポーズを取る。
「ごめんなさい」
「ごめんなさいです」
「……………ごめんな」
「……………お姉ちゃん達、謝ったから許すです」
お姉ちゃんと呼ばれ、またもや抱き締めたい衝動に駆られるが、唇を歯で噛み抑える。
数分後、ルカ?の幼児退行は戻り口調も元通りになった。三人は残念がるが、自分達が悪いので何も言えない。




