SS7-14、女婬夢族ジブリールの居場所~冒険者登録テスト合格~
「ただいま」
「あぁ、おかえり。結果はどうだ?」
「ふふぅん、この妾が落ちる訳ないのよ」
的当ての結果は、見事全部的中。
ジブリールが使用した魔法は、炎属性の中で最も命中精度が高いとされる【炎の矢】だ。
しかも独自性を加えて放った。【炎の矢】に"貫通力"と"燃え易さ"を加えた。
それにより見事、的に貫通する程に突き刺さり、その後で的は燃え上がり溶けた。
その結果を見たリリーヌは「信じられない」と呟き茫然自失となってしまった。
試験結果は、もちろん合格。だが、試験管二人をノックアウトしたせいで、ジブリールの冒険者ランクをどうするか冒険者の上層部で会議されてるらしく、もう少し掛かるそうだ。
「《恋人》ならCかBではないか?」
「妾を買い被り過ぎですわよ。Dじゃないかしら?」
「ジブリールさんはいらっしゃいますか?」
ドタドタと受付嬢が慌ただしく駆け付けジブリールを探してる。どうやら結論が出たらしい。
「妾がそうじゃが?」
「ジブリールさん!あなたをAランクへ任命します。これがギルドカードとなります」
「おぉ、予想よりも上じゃったか」
「試験管であるAランクのお二人が、茫然自失になる程の結果を出されては、特例としてジブリールさんをAランクに任命する決断を上層部がなさりました」
銀色のギルドカードが光を照らし悠然と輝いている。これでいきなり、ジブリールはベテラン冒険者の仲間入りとなった訳だ。
一方の《正義》のギルドカードは、金色でSランク以上の証だ。因みに銅色は、C~Eとなっている。
「良かったじゃないか。これで高ランクのクエストにも行けるな」
「まさか、こんな結果になるとは思わんだが、これで《正義》と肩を並べて行けるってものよ」
銀色のギルドカードを見詰め、ジブリールの口角が上がりニヤニヤが止まらない。
これでジブリールも魔神教会の関係者と疑われ難くなる。そもそも入ったばかりというのも合間って疑う者は皆無だろう。
「あの掲示板にクエストが張り出されている。当たり前だが、クエストのランクが高いもの程に報償金が高くクリア難易度も上がっていく」
低ランクのEなら薬草の採取や街中の手伝い等の簡単なものになっている。高ランクになると、魔物の討伐やダンジョンの探索等々幅広いクエストがある。
「最初のクエストは、どれが良いと思います?」
「これなんかどうだ?」
《正義》が、ビリッとクエストが書かれてる紙を破りジブリールに手渡した。
その紙にはこう書かれてる。
・Sランク
・クエスト名:森の夜盗賊団の討伐
・クエスト内容:森の盗賊団の壊滅もしくは盗賊団の頭の捕縛
・クエスト報酬:成功報酬・金貨1000枚、団員一人につき金貨1枚追加、頭なら金貨50枚、国から金貨2000枚
「良いじゃない。初クエストは、ド派手にね」
「これを頼む」
「受付完了致しました。こちらが出没するであろう地図と追加情報です」
受付嬢から手渡された二枚の紙。ここら辺を綿密に書かれた地図と森の夜盗賊団の頭と幹部の名前や人相が書かれた紙だ。
「ほぉ、地図なんか高価なものとこんな詳細な情報を渡すなんて大盤振る舞いだな」
「誰もクリア出来た事ないクエストを受けるのですから当たり前です。なんせ、このクエストは、ドブクエストなんですから」
ドブクエストとは、誰もが挑戦するも長年クリア出来ずに放置されているクエストの事。
そのせいで、報酬がつり上がり誰もやりたがらない。やるのは、高ランクに上がったばかりの冒険者か一部の物好きだけだ。名前の由来は、ドブさらいのように誰もやらたがらない事からきているらしい。
「ドブクエストという事は、相当な手練れと人数がいるのだろう」
「えぇ、王宮でも度々討伐対隊が編成されますが、その都度返り討ちにされてます。森の夜盗賊団の人数は、およそ千人はくだらないかと。幹部には、黒森精族や漆黒土精族がいると情報がありまして………………」
それは人間の冒険者では苦戦するというか、まずほぼ100%勝てない。
黒森精族は、魔法だけでなく剣も得意な種族で解り安く言うと魔法剣士と説明した方が良いだろう。
剣に、その都度に別々の魔法を付与する戦い方のため人間では対応しにくい。武器が互角でも魔法の付与により武器を破壊されてしまい、はっきり言って人間の冒険者では相手にならない。
漆黒土精族については、グフィーラ王国にはほとんど情報が入って来ない。ただ一つ分かってるのは好戦的だという点だけだ。
何処かに集落があると噂があるが定かでない。




