SS7-11、女婬夢族ジブリールの居場所~冒険者ギルドの酔っ払いを瞬殺する~
「ぎゃっはははは、良い女がいるな。おいっ!そこの女、俺にお酌しろよ」
酒に酔ってるのか?筋肉モリモリの筋肉隆々男は明らかにジブリールに言ってるようだが、当のジブリールは聞こえないフリをして無視を決め込む。
そんな様子に酔いで怒りの沸点が低くなってるらしく、こちらに近寄って来る。ジブリールの隣にいる《正義》に気付いていないらしく、相当酔っ払ってるみたいだ。
《正義》は、カズヤという偽名で冒険者ギルドに登録しており、今現在9人しかいない最高ランクであるSSランクである。
因みにSSSランクまであるが初代勇者の名にあやかって欠番状態で、実質SSランクが最高ランクとなっている。
「何かブタがブヒブヒと五月蝿いわね」
「こういう輩は、何処にでもいるものだ。無視するのが一番だ」
テンプレの一つとして冒険者ギルドでは必ずと言って良い程に初心者に絡む者達が出て来る。でもまぁ、そういう輩は絶対に初心者に殺られるのがオチである。
ジブリールに絡んで来た酔っ払いもジブリールの腕を掴もうとした途端にひっくり返り天井を見上げていた。
やられた酔っ払いと酒場にいる連中には何が起こったのか理解出来ないだろう。
底辺の魔族である女婬夢族であるジブリールも普通の人間冒険者のステータスの2~3倍は高い。負けるはずもない。
それが魔神教会に所属し、《恋人》の技術によってステータスが更に数倍に跳ね上がってる。
今のボッキュボンのジブリールに人間が勝てる要素はない。パンチ一発でKOだ。
例外として今のジブリールに勝てる者がいるとすれば、《正義》はもちろんの事、現勇者だろう。だけど、それは例外中の例外だ。
「偉そうな事を言ってた割には弱いのね」
「こいつらも弱過ぎだが、お前も強くなったんだ」
「そう言われるとジブリール嬉しい」
《正義》にジブリールは腕を組む。顔には出さないが、《正義》は腕を組まれてる事に対して羞恥心で死にそうな程に内心ではテンパってる。
相棒になる前なら振りほどいてるが、教祖であるカリンに頼まれてしまったからには、相棒解散という命令が下らない限りは我慢するだけだ。
ただし、夜這いやベットに潜り込んで来たら容赦なく痛い目に合わせてもらうつもりだ。
「お待たせ致しました。登録試験を始めたいと思います」
「あれは良いの?」
ジブリールが返り討ちにした酔っ払いを指す。今だに延びてるようで一向に起き上がる気配がしない。
「あぁ、グリーさんですね。えぇ、絡まれた一部シーンは皆さんが目撃してますし、後で処罰を下しますのでご安心を。おそらく最低でもCランクから格下げか最悪冒険者ギルドから追放という形になるかと」
どうやら初心者に絡むのは、これが一度でないらしい。注意はしてたらしいが、そこそこ腕が立つもんで強く出られなかったとか。
だけどもジブリールが返り討ちした事で、処罰を下す切っ掛けが出来たという訳だ。
「そうか、こちらに何のおとが目無しならそれで良い。早く試験を始めてくれ」
「では、こちらへどうぞ」
「頑張って来るわね」
「あぁ、行ってこい」
受付嬢の背後をジブリールが着いて行く。階段を降りたどり着いた先は、テニスコート三面分程ある訓練所であった。
上の建物は年期が入ってるのに、地下にこんな広々とした空間があるなんてジブリールは驚きを隠せないでいる。
「こちらで試験を行って貰います。試験管は、あちらのAランクでありますゴートさんが、今回の担当になります」
「紹介を携わったゴートだ。それにしても、えれぇ別嬪さんだな。そんな成りで戦えるのか?」
「問題ありません。上でCランクでありますグリーさんを数秒で倒されておりましたので」
「何だ?アイツ、また懲りないで絡んだのかよ。絡み癖がなけりゃぁ、Aランクになってもおかしくないのに、勿体無いな」
あの酔っ払い、そんなに強かったのかと衝撃の事実を知った。Aランクは、化け物揃いだと呼ばれる事が屡々あり、単独でドラゴン一頭なら互角以上に渡りあえる実力を持ってる。
「それで、どんなヤツに殺られたんだ」
いや、殺した訳ではないですけど。
「こちらのジブリールさんです」
「本当なのか?」
「えぇ、本当ですわよ。あのブタがブヒブヒと五月蝿くて、こう殴ったら気絶しちゃいまして…………おっほほほほほ」
「そ、そうか」
もう苦笑いしかない。ジブリールもまさか、こうも簡単にベテラン冒険者がぶっ飛ぶとは思いもしなかったのだ。
手加減しないと試験管も一発KOをしちゃうかもしれないと内心焦ってる。
まぁやってしまったものはしょうがない。これから手加減の仕方を覚えていけばいい。




