100食目、妹も実は来ていた
「判明してる事は以上でございます。また、何か聞きたい事がおありでございましたら、ご遠慮無く仰ってください」
確かに人間でない者も混ざっている。それよりもカズト的には気になってる箇所が一つあった。それは━━━
「な、何で俺の妹が入ってるんだ?!でもまぁ、ルリ姉も来てるから………頭の隅で来てるのではと思っていたが、まさか本当に来ているとは!」
それと所持してる聖武器がヤバい。
リンカの聖武器━━━聖拳星砕きはガントレットとソルレットがセットになってる聖武器であり、リンカと相性が抜群だ。
日本での学生時代、一緒に道場へ通い武術を習っていた。だけど、リンカは直ぐに天才という頭角を表したのである。
素手で行う武術全般(空手・柔道・テコンドー・ボクシング等々)の試合に出ては総嘗めにした。実家には飾り切れない程のトロフィーがある。
だからこそ、こんなにリンカと相性が良い聖武器なんて他には無いだろう。
「カズトも、やっはりそこ気になっちゃうか?僕も自分の目と耳を疑がったよ。今すぐに会いたいと問われれば、僕ならノーと答えるね」
「いや、会いたいという気持ちに嘘はないが………自分の命の方が大事だ」
本音では会いたくない。
リンカは技の実験台として実の兄を使っていた。カズトも武道を習っていたお陰で、どうにか受け身や急所を反らす事にひやひやしながら毎回成功を成し遂げていた。
もし、武道を習ってなかったら毎回病院送りになっていたはずだ。
「リンカちゃんに真っ先に目を奪われ勝ちだけど、他の奴らもここに来る予定だね」
えっ!なにそれ、聞いてないんだけど………!
王族の護衛として一緒に来る予定らしい。だけど、護衛として来てるので、会えるかどうかは別問題だ。
「なら、凛花もく、来るのかな?」
実妹にビビりながら凛に訪ねる。
「いや、それはないと思うぞ」
凛花が所属してる帝国ブレインズは、自国の技術を外部に漏らさないため鎖国状態なのだ。それによって四年に一度の世界会議メープルは毎回欠席してる。
「はぁ~、助かったぁぁ」
「お前なぁ、実の妹にビビり過ぎじゃないか」
「だって、凛も知ってるだろ?俺がどんな目に合っていたのかを」
昔の事を思い出したのか?凛は冷や汗を流し苦笑を溢す。
たまにだが、カズトの身代わりとして凛が凛花の実験台になっていた。カズトよりかは軽目に技を極めていたようで、病院送りには辛うじてなっていなかった。だけど、数日は痛みを引き摺っていたらしい。
「「本当に妹が帝国で良かった」」
天井を見詰め、カズトと凛は神に祈った。祈った瞬間にカズトの頭にダ女神の声が響いたような気がした。
「さてと、僕の依頼は後日で大丈夫かい?明日頃まで世界会議メープル参加国が集まるまで時間掛かるけど、いくつかは着く頃合いだ。もうそろそろ戻った方が良いだろう」
「今日は楽しかった。何時でも良いから呼んでくれ」
凛の技術によりカズトとレイラは王様がいる部屋へと送られた。突然と現れた俺達に王様は驚愕してたが、それが勇者の力という事で納得したようだ。
今日着く予定の国は森精族の国である神樹の森フリーヘイム、そして様々な獣人族が混在している国…………獣人国家アルカイナである。
「良いところへ来た。儂の可愛い娘であるアテナが到着する頃だ。ついて参れ」
「はっ!仰せのままに」
森精族とは直接会った事はないが、王様の娘であるアテナの嫁ぎ先の種族だ。森精族の王が来てるなら一緒に来てるはずだ。
そんな理由からか王様の足取りが心半ば徐々に早くなり城の門へと向かう。
「神樹の森フリーヘイムから森精族の王………フレイ様がご到着されました」
ユニコーンと思わせる一角馬に牽かれてる馬車から降りて来たのは、一人の森精族の男だ。森精族の特徴である耳はトンガっており、男性なのに肌は西洋人形みたく真っ白だ。20代や30代と言われても信じてしまう程に外見的は若い。
それに王の威厳を放っており、一般市民ならその姿を見るやいなや誰でも膝を付き頭を垂らす事間違いない。
「よくぞ参られた、森精族の王よ。さぞ、旅の疲れが溜まってる事でしょう。お部屋はご用意してますので、休憩なさって下さい」
城の給仕長が出迎え、客室へと案内する。
森精族の王の次に馬車から降りて来たのは、森精族の王妃だ。王と負け時劣らず、その美貌は種族が違えど見惚れてしまう。王の側について離れずの距離を保ちながら歩いてる。
王妃の次に降りたのは、森精族の王子とアテナだ。おそらく、あの王子にアテナが嫁いだのだろう。王子は遺伝なのかイケメンでアテナより一回り若く見える。だが、森精族の年齢は外見で判別不可能だ。
聞いた話によると、人間で言う100~200歳でも20代と変わらない外見をしてるらしい。
「あっ、お父様!もう、着いてたのね」
「アテナも元気そうで安心したぞ」
アテナが先にこちらへ気付き近寄って父親である王様に抱きついた。王子もアテナを追って来ると、俺と目が合う。




