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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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97食目、カズト研究会に誘われる

 ガシッと何故か俺の右手を両手で骨が悲鳴を言わないまでも少々痛みを感じる位に強く握られている。


「ねぇ、私の研究会に入らない!剣の勇者(カズト)様………あなた、スパイスに詳しそうだし、スパイスの研究が一段と捗ると思うのよね」

 料理人として魅惑的な提案に心が揺さぶられるが、俺には俺を待ってる人達がいる。

 ニーニエのキラキラと期待の眼差しを向けている。眩し過ぎて断りずらいが断らなきゃなりない。俺には待ってる人達がいるのだから。でも、断ったら不敬罪にならないよね。


「残念だけ━━━━」

「ニーニエ様、カズちゃんはスパイス研究会に入りません」

 俺が断る前にいつの間にか起きてた瑠璃が断ってくれた。俺が断るより円満に諦めてくれるだろう。魔法大国マーリンの勇者なのだから。


「カズちゃんは、私の勇者研究会に入るんですから」

 あれぇ~?何かおかしい方向に話が行ってないか。変な話になる前に俺がキッチリと断らないと。

 馬車の中でレイラが言ってた勇者研究会に入ってる勇者は瑠璃だったのか。まぁ興味あるしスパイス研究会共々後で顔を出して見るか。

 それよりも、早く断らないと。と思い表面を見ると━━━━。

 瑠璃とニーニエがいがみ合い、その間に入るのは相当勇気がいる。勇気がある者が勇者なんだ。俺がビビってどうするんだ、断るんだ断るんだ。よし、言うぞ。


「あの、二人とも━━━」

「ニーニエ様に瑠璃様、カズトには大切な者達が待ってるのよ。自分の都合を押し付けちゃ、カズトに迷惑掛かるじゃないの」

 いつの間にか目を覚めてたレイラがニーニエと瑠璃の二人に説教をしてる。流石は俺の嫁だ。料理はダメダメだが、ここぞという時に頼りになる。


「「で、でも」」

「でも、じゃありません。カズトは王国ウチの勇者であり、私の………夫でもあるんですから。そんなの認められません」

 あっ!一瞬だけどレイラの頬が赤くなった。

 まだ新妻みたいなものだから、みんなの前で"夫"と呼ぶのは恥ずかしいらしい。


「じゃぁ~、私もカズちゃんの国に行くって言うのは━━━」

『瑠璃、それはダメだよ。お前は、この国の勇者であり、勇者研究会の一員なんだから』

 急に頭の中に声が響いて来た!これは俗に言うテレパシーというやつか。カズトは召還されてからテレパシーを初体験した。

 ファンタジー物のラノベや漫画では良くあるけど、実際に体験すると不思議な感覚である。頭に声が直接響く事なんて地球にいたら絶対に体験出来ない事だ。


「まったく、遅いと思ったらここに居たんだね」

「あははははは、リンちゃん…………ごめんなさい」

転移テレポート】だろうか?いきなり現れたのは、白髪で爽やかイケメンという言葉が似合いそうなカズトと同年齢の男だ。

 カズトは、リンちゃんと呼ばれた男をジッと見ている。何処かで見た事があるような………そんな既視感デジャブを感じたからだ。


「ニーニエ様、ミーヤ様がお探しであられました。もうそろそろお戻りなられた方が宜しいかと」

「えっ!姉様が!分かったわ。剣の勇者(カズト)様、先程の話まだ諦めた訳じゃありませんから」

 強気な声と仁王立ちでそう宣言された後にそそくさと返事を待たず部屋から出て行ってしまった。

 まだ諦めてないニーニエに、どう説得して諦めてもらおうかと考えるが良い案が思いつかず、問題を後回しにするのは嫌だがしょうがない。


「瑠璃遅いから迎いに来たよ。それに僕の事は会長と呼びたまえ」

「えぇぇぇぇぇ、リンちゃんはリンちゃんだよ。それに会長と呼ぶと………ぷっくくくく、笑いが込み上がって来るから無理」

「全くもう…………お見苦しい姿をお見せしてすみません」

 リンちゃんと呼ばれてる男がこちらを向き謝罪の言葉を口にする。まるで貴族の所作そのものだ。だけど、何処か似合わないと思うのは俺だけだろうか。容姿は何処かの貴族の御令息みたいだが、その雰囲気が合ってない。

 その様子に俺はポカーンと口を開けたまま固まっている。


「ぷっくくくく、そこまでにしたら?カズちゃんが対応に困ってるじゃない」

「あぁ、悪い悪い。つい、久し振りに会ったもんだから、からかいたくなったのだよ」

 うん?何処かで会った事あるか?このエセ貴族の爽やかイケメンは初対面のはずなのだが…………。

 俺は一生懸命に思い出そうとするが、ちっとも思い出せない。記憶力はある方だと自負するが、ダメだ。第一印象がかなり濃いから一度見たら忘れないと思うのだが。


「えっ!分からないのかい。僕、悲しくなってきたよ」

 天井を見上げ目を右手で覆い悲しい素振りをする。

 そういや、日本にいた頃クラスメイトにこういう話し方するヤツがいたような気がする。従姉であるルリ姉と一緒に遊んでる記憶には、いつもアイツがいた。

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