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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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96食目、カズトの店は他国でも有名でした

「う~ん」

 パチクリと瑠璃は目を覚ました。瞼を開けて最初に目に飛び込んで来たのは、真っ白い天井。ここはカズトとレイラを案内した部屋である。

どうやら、自分が気絶したから技術スキルが解除されたようだ。それにあんなに苦しかった火傷と息苦しさはもうない。


「ルリ姉、大丈夫?」

 カズトは瑠璃の顔を覗き込み、顔色を伺う。

 その際にカズトと瑠璃の距離が数cmまで近付き、もう少しでキス出来るところだったのだが、瑠璃の顔が真っ赤に染まり硬直してしまう。


「か、かかかかかカズちゃん!ちょっと………顔が近い」

「あっ、ごめんごめん」

 カズトが顔を離すと、ホッとする気持ち半分とキス出来たかもしれないと残念な気持ちが瑠璃の内心で渦巻いている。


「カズちゃん、私負けたのね。カズちゃんより強いと思ってたのにな」

「いやいや、強かったよ。俺も本気出さないと、ヤバかった。本当は勇者なんか辞めて元の世界に帰ってもらいたかったけど、これでは帰れと言えないな」


 瑠璃の頭を優しく撫でながら、本音を語る。もしも、瑠璃が勇者として強さの基準を満たしてないと判断したなら本当に【異世界転移ワールドア】にて帰すつもりだった。


「カズちゃんの手………気持ち良い………」

 今度は気絶ではなく、眠ってしまったようだ。どんな夢を見てるのか?寝顔はニコニコ笑顔なので、瑠璃にとって良い夢ではあるはずだ。


「瑠璃様、羨ましい!カズト、私も膝枕しても良い?」

 本当なら女性が男性にするもんだと思うが、今現在俺の右太腿を瑠璃が占拠しており、残りは左側だが何気に人の頭って意外に重たい。


「えっ?!ルリ姉が今寝てるんだけど━━━」

「反対側を使えば良いじゃない?」

「それは流石に俺の足が限界というか」

「カズトは勇者じゃない。平気よ」

「いや、でも━━━」

「瑠璃様とイチャイチャしてた事、みんなにバラすわよ。ニコニコ」


 笑顔でトンでもない事を言いやがる。そんな事されたら俺が、どんな事されるか想像したくない。

 まるで浮気がバレて終始謝り続ける情けない夫みたいじゃないか。転生前の俺では考えられない人生だ。


「わ、分かった。ただし、ルリ姉が起きるまでな」

「それで構いません。はふぅ、久しぶりの膝枕です」

 スヤスヤとレイラも寝息を立てながら寝てしまった。そんなに俺の膝枕は良いものなのか?うーん、分からん。


「羨ましい限りですわ。瑠璃様のこんな姿………見た事ないですもの」

 ニーニエは俺の目の前に近寄り膝枕で床に座ってるのに合わせ自ら床に女座りで座った。本来なら王女であるニーニエが床に座るなんてあってはならぬ事だ。


「ニーニエ様、床に座っては━━━」

「今は無礼講ですわ。それとも私だけ仲間外れに致しますの?」

「それは…………」

 王女であるニーニエに、そう言われれば断れるはずがない。もし、断ったりしたらそれこそ不敬に囚われかねない。


「わ、分かりました。ただし、今回だけですからね」

 俺は勝ち目が無い事が目に見えて明らかだ。なので、俺は諦め引き下がった。


「うふふふふ、ごめんなさい。我が儘を言って、この二人が羨ましくて、ついね。我が儘を言ったお詫びに、何か願いありますか?」

 願いと聞いて一つだけ思いついた。料理人として興味があり、聞きたくても聞けなかった事を。


「なら、一つだけ質問宜しいでしょうか?」

「私に答えられる事の範疇であれば」

 よし、なら遠慮なく聞いてみる。


「ニーニエ様と今日初めてお会いしてから気になってる事がありまして。ニーニエ様から微かに香辛料━━━スパイスの匂いがしてます。魔法大国マーリンでは、スパイスが扱ってるのではありませんか?」


 ニーニエに会う以前に魔法大国マーリンへと入国してから匂いが漂って来た。匂いといっても本当に微かなもので、カズトが料理人だからこそ気付けたのだ。

 嗅覚が鋭い獣人系種族でも一回嗅げば分かるかもしれないが、初見では難しい。


 クンクン

「そんなに匂いますぅ?」

 と、自らの匂いを嗅いで首を傾げてる。匂いってもんは自分自身の匂いが一番解りずらい。


「いや、俺は勇者であるが料理人でもある。職業柄で分かっただけだ」

「もしかして………レストラン〝カズト〟?」

「もしかして、有名になってるのか?」

「有名も何も勇者がやってる"宿屋"として有名だもの」

 他の国にまで有名になるとは料理人として本望だが、本音でレストラン的な話として広まって欲しかった。

 宿泊も出来るから宿屋という認識でも合ってると言ったら合ってるが、料理人としては微妙な面持ちだ。


「スパイスは………この国が扱ってるというよりは………私が会長を勤めるスパイス研究会で扱ってると言って良いわね。でも、この事は国家の極秘扱いになってるわ。その意味は分かるわよね」

「あぁ、分かってるさ」


 スパイスは俺の故郷・地球でも昔は胡椒が金と同等の価値があったくらいだ。それにスパイスに限らず、食べ物は時に人々を魅了され、時代によるが戦争になったりする。


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