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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
2章魔法大国マーリンへ行こう

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87食目、魔法大国マーリン行き五日目~テレビを見る~

「ムッフフフフ、騎士までも美味しいそうなもの食べて、実にムカつきますね」


 《星》と呼ばれてる男は、常にカズトが乗る馬車との距離をほぼ2kmを保ち光学照準器スコープで監視を続けてる。その隣で《戦車》と呼ばれてる少女は眠そうに横になってる。


「おい、《戦車》働けよ。俺ばかり監視させやがって」

「ふわぁ~、ワタシの仕事は…………《星》の護衛…………グゥ~スピィ~」


 眠たそうな重い瞳がとうとう完璧に閉じ《戦車》は寝息を立て夢の中に飛び立った。呼吸する時に胸と腹が動くだけで微動だにしない。

 だが、一応相棒である《星》の男は《戦車》の少女が完璧に眠ったのに起こさず黙ってカズトの監視を続ける。相棒だからこそ知ってる━━━いや、魔神教会の仲間だからこそ知ってる。

 《戦車》の少女は起きてる時よりも寝てる時の方が恐ろしいというか、強いという事に。その理由が…………

 《戦車》の少女の良く言えば長所、悪く言えば悪癖であるのがスキル【夢遊病】だ。これは自分の意思とは関係なく発動し、このスキルの所持者は常に眠たそうにする困った副作用があり、眠ると何かが切っ掛けで、そのまま行動してしまう。

 《戦車》の少女の場合は、スキル【夢遊病】で完璧に眠ると一応味方の区別はつくようだが、殺意を持った者が攻撃しようとすると立ち上がり、まるで起きてる風に眠りながら戦うのだ。この状態の《戦車》の少女は魔神教会の中でトップレベルで近接戦闘に強い。

 無理矢理にでも起こそうとした場合にも、攻撃されるので注意が必要だ。だから、《戦車》の少女が眠ってからは《星》の男は黙ったまま監視を続けてる。

 多分、カズトでも眠り状態の《戦車》の少女に苦戦…………勝てるかは五分五分だ。


「グゥ~スピィ~グゥ~スピィ~」

「…………(超怖ぇぇぇぇ!早く起きてくれ)」


 《星》の男が監視場所を移すため移動する時も、《戦車》の少女は寝ながらついて来る。まるで、とあるホラー映画みたく《星》の男からついて離れずでついて来るのだ。

 ホラーという言葉は知らなくても、幽霊系魔物を除けばこんな怖いと思う事はそうそうない。


「ピクッ…………ふわぁ~、おはよう…………ここは………何処?」

「おせぇよ、さっさと移動するぞ」


 《戦車》の少女は移動しながら器用に寝ていたのだが、自分のスキルに慣れているからか、自分の体が勝手に動いても特段驚きはしていない。

 むしろ、何も考えていないと言った方が良いかもしれない。


 ☆★☆★☆


 カズトの体内時計では、もうそろそろお昼時になる頃だ。でも、こちらの世界には昼という言葉はない。敢えて言うなら軽く軽食を食べる位だ。


「暇じゃのぅ。あぁ~あぁ~暇じゃのぅ。何か無いものか?チラっチラ」

「そうね、こう移動してるだけでは暇ねぇ。チラっチラ」


 何かを期待してるのか、俺をチラ見してくる王様王妃様。

 俺の【異世界通販ショッピング】を用いれば、娯楽をいくらでもは言い過ぎだが産み出せる。というか、引き寄せられる。


「トランプとかオセロは飽きたのですか?」

「同じ相手で何度もやれば、飽きるってもんだろう。マーリン女王やその他貴族とやれば話は別だがの」


 王様の気持ちは分かる。同じ相手でプレイしても手の内が丸分かりになって、これ程つまらないものはそうそうない。


「はぁ~、分かりました。何か考えてみます」


異世界通販ショッピング】から何か暇を持て余す王様王妃様が楽しめられるものは……………うん、あれを試してみるか。


「これなんかどうですか?テレビです(しかも50インチだ)」

 馬車に入るギリギリの大きさがこのサイズだった。転生前のカズトでも、こんなサイズのテレビは大きな電気屋でしか見た事ない。


「これは一体なんじゃ?見たことない魔道具じゃのぅ」

「何に使うのか見当つかないわ」


 ポチッとな、カズトがテレビの電源を入れ適当にリモコンでチャンネルを回した。レストラン〝カズト〟でもそうだが、地球での電化製品はこちらの世界では魔力で動くのだ。


『今日のお天気は━━━━』

「な、なんと!箱の中に人間がおるわい!」

「ねぇ、この箱の中にいて大丈夫なの?死んじゃわない!」


 予想はついたが、初めてテレビを見る人の反応だ。カズトの故郷・日本では例えで、そういう人の事をまるで原始人みたいだと揶揄されたものだ。


「これはテレビという俺の世界の道具になります。あ~何て説明すれば良いか」


 困った、超困った。

 微分積分で一桁の掛け算割り算を小学生に教えるかの如く、魔法が浸透してるこの世界で、科学をいくら説明しても理解してもらえない。というか、難しいだろう。

 だから、俺はほぼ説明を放棄し、俺の世界の事が分かる魔道具の一つという事にした。俺が発明した訳じゃないし、どういう仕組みで動くのか俺に説明出来る訳がそもそも無理な話だ。

 それにどういう理屈か電波はないはずの、この世界にテレビが映ってるではないか!

 つい出してしまったが、テレビの日付を見てみると…………俺の記憶が正しいなら、こちらに転生してからの日数を計算してみると、ぴったり一致する。つまり、今流れてる映像は現在進行形での…………現在の地球での映像という事になる。

 もしかしたら地球に戻れるかもと、ふと頭を過ったが今の俺には嫁がいるし、自分の()を持ってるし戻る気はさらさらない。

 そういえば、取得してからずっと使用してなくて忘れていたが俺の技術スキル:異世界移動ワールドアを用いれば、直ぐにでも戻れる可能性があるが、ミミの話によれば異空間移動系の魔法・技術は失敗すると異空間に閉じ込められ、ほぼ出てこれないという。

 ミミから聞いてから超怖くてずっと封印…………忘れていたのだ。

次回の更新は、仕事の都合上により一週間程間を空くかもしれません。

少々待たせますが、楽しみに待ってくださいませ。

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