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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
2章魔法大国マーリンへ行こう

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SS7-9、女婬夢族ジブリールの居場所~ジブリールの服を買うその2~

 《正義ジャッジメント》が数ある衣服の中で一際目を惹いたのは、見た事はあるが……………この世界ではあり得ない服だ。

 この世界では再現不可能な素材で出来ており、袖が一切なく肩から肩甲骨までかけて露出してる。これを見た事があるのは《正義ジャッジメント》が、まだ地球にいた時だ。

 確か……………〝タンクトップ〟という名前の服だったような気がする。夏に若い男性が良く着てたと記憶している。


「それがお気に召されたので?」

「えっ?あぁ済まない。珍しい服だと思い、見とれていた。ここら辺では見ない服だと思うがどうしたんだ?」

「とある獣人の……………猫人族ケットシーの商人から仕入れた品物になります。我々の間では有名な流れの商人でして、たまに来ては珍しい商品を格安で取り引きをさせて貰ってる次第です。はい」


 人間でなく猫人族ケットシーの商人か。それなら納得かもしれない。最近、流離いの猫人族ケットシーの商人が珍しい品物を扱ってると聞く。

 それも噂程度だが、どうやら地球から持ち込まれたような品物らしい。眉唾物の話と頭の片隅に入れていたが、まさかここで………………その品物に出会うとは思わなかった。


「店主殿、これを貰おうか」

「はいよ、毎度あり」


 受け取ってから触った後に気づいた。このタンクトップには【付与エンチャント】されている事に。

 おそらく買わないと【鑑定】出来ない仕組みなのだろう。【付与エンチャント】により、そこら辺の下手な鎧よりも数十倍防御が高く、様々な状態異常耐性を何重にも掛けられている。

 店主は気づいてないだろうが、これは謂わば国宝並みの防具でないか!見た目はタンクトップだけれども!


「さてと……………あっちは買い物は終わった頃か」


 この世界には時計は存在しない。定期的に魔道具である鐘がなり時間を知らせてくれる。だけど、中途半端な時間帯だと何となくでしか分からない。

 因みに、その鐘はグフィーラ王国の王都にあるらしく世界各国へと鐘の音が鳴り響くという。どういう原理なのか、今だに不明で同様な魔道具を作ろうとした輩は少なからずもいたらしいが悉く失敗に終わってるらしい。


「「あっ!」」


 《正義ジャッジメント》が店を出たところで、あちらも出て来たようだ。《正義ジャッジメント》は一着しか買わなかったので、アイテムボックスに支払った後仕舞った。

 その結果、《正義ジャッジメント》の両手は手ぶらで何も持っていない。一方、ジブリールは満面な笑顔で女性らしくいっぱい買ったのか両手に紙袋で塞がってる。金は、もちろん《正義ジャッジメント》持ちだ。今まで稼いで来た分、こんなの余裕で支払える。


「うふふふふ、どうですか?似合ってますか?」


 店内で試着したまま、出て来たらしい。《正義》が貸したジャージ姿でない。クルリと回って《正義》に見せてアピールをした。

 女性の服に詳しくないが、確か〝キャミソール〟という夏に着る女性用の薄着だったと記憶している。

 一見タンクトップに似ているが、肩紐が細く布生地が薄いせいかジブリールの体の線がハッキリと分かってしまう。

 女婬夢族サキュバスの衣装と比べるもなくマシだけど、ジャージよりは露出はある。まぁ中間といったところか。ギリギリ及第点だ。

 下はキャミソールに合わせ、スカートでなくズボンにしたようだ。デニム生地の短パンって感じだ。天真爛漫なジブリールには、逆に似合い過ぎてる。

 《正義ジャッジメント》には、目に毒だがデニムの短パンから覗く素足が輝いて良い仕事をしたとフルールに感謝しなくてはならない。


「まぁ似合ってるでないか。可愛いと俺は思うぞ」

「………………」

「おい、何か言ってくれ」


 これでは俺が恥ずかしい台詞を言っただけでないか!顔だけでなく体全体が熱くなってるのを感じる。ジブリールの顔を直接見る事が出来ないでいる。


「あっははははは、これは予想以上に恥ずかしいものです。普段から真面目な《ジ》……………か、カズヤさんから言われると………………こう、グッとくるものがありますね」


 ジブリールも恥ずかしいのか顔面真っ赤に染まり、指をクネクネと弄り視線が泳いでる。

 女婬夢族サキュバスなら、男性からの褒め言葉に馴れてると思いきやそうでなかったみたいだ。

 まぁ俺はジブリールしか女婬夢族サキュバスは知らないから一介に言えない。


「お前まで恥ずかしがるな!言ったこっちまで恥ずかしくなる」

「難しい事を言わないでください。褒め慣れていなんですから」


 ほら、衣服担当してるフルールと男性用衣服コーナーから態々店長が出て来て、こちらを見てニヤニヤと笑ってやがる。

 買う物は買ったし、《正義ジャッジメント》はジブリールの腕を引っ張りながら、そそくさと商人ギルドイナクス支店を後にするのであった。




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