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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
2章魔法大国マーリンへ行こう

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78食目、魔法大国マーリン行き四日目~操りし人形~

 騎士達にも朝食を振る舞い、歩き出してからそろそろ昼間に差し掛かるであろう時間帯に突然襲撃に合った。

 格好からして何処かの盗賊団らしいとビィト隊長から連絡が来た。この程度なら楽々騎士隊が殲滅するだろう。だが、今回は違った。楽に見えた戦闘だが、苦戦してるらしく攻め切れてない。


「何か変だな?確かめて見るか」

 騎士隊達と盗賊の戦闘に違和感を感じたカズトは【鑑定】をする事にした。そうすると、驚くべき事が分かる。


 ・名前:死の人形(デス・ドール)×250


 ・レベル:80~150


 ・魔道具


 ・契約者:魔神教会所属No12《吊るされた男(ハングドマン)》リザ・テミス


 魔道具の人形。契約者となる者が起動すると、死者の魂を内に取り込む。取り込んだ魂の生前の姿となり、仕草・口調・戦闘力等々同じくなる。魔道具なのにレベルがあるのはそのためである。

 死を恐れない兵士として重宝された時代もあったが死者の魂を利用するため、非人道的とみなれ所持・使用・製造は全国で固く禁じられている。破った場合、死刑になる場合もある。



 魔道具なのも驚きだが、俺が一番驚いたのは契約者の名前だ。ご丁寧に名前だけではなく、その所属まで記されている。所属先にカズトは心当たりがあった。

 カズトが魔王を討伐するために冒険してた時に、何度も聞いた名である。何回も襲撃にあい、妨害工作にあったものだ。その時は下っぱばかりで幹部らしき者は姿も名前すら不明であった。

 あったが、ここに来て幹部の一人━━━名前だけでも分かったのだ。これは大きい収穫だ。幹部にはナンバーとタロットの名前がコードネームで割り振られる。


「くっははははは、今度こそ捕まえてやるからな。待っていろ、魔神教会」

 でも、それは二の次だ。第一に優先すべきはレストラン〝カズト〟の経営だ。依頼として舞い込んだり、情報が入ったりしたら捕縛・討伐はやるが、それ以外は基本的に傍観希望である。

 俺の周囲に迷惑を掛けたりしたら別だ。その時は容赦なく、死ぬよりツラい目にあってもらうだけだ。

 それはそうと、今は目の前の人形を倒すだけだ。


「ビィト、それは人間じゃねぇ。人形だ、しかも死の人形(デス・ドール)だ。この名前を知ってるよな」

「何ですって!なら、木っ端微塵に破壊しましょう」

 ビィトという男は人形を見ると、破壊衝動が起こってしまう。なので、ビィトには人形は禁句・禁忌とされ騎士隊の舎内には人形という人形はなく、もちろん鎧・兜の人形にも反応してしまう。

 その破壊衝動の切っ掛けを作ったのが死の人形(デス・ドール)だそうだ。ビィトは、その事に関して多くを語りたがらないので、死の人形(デス・ドール)の間に何があったのから誰も知らない。


「うおりゃぁぁぁうおりゃぁぁぁぁぁ、壊れろ壊れろ。この木偶の棒らがぁぁぁぁぁ」

 まるで蟻と台風の戦いだ。ビィトが生み出した風に触れる途端、死の人形(デス・ドール)達は木っ端微塵になり木片へと成り変わる。部下達とカズトの出る幕は無かった。



 ━━━━カズト達がいる場所から1.5km離れた丘の上━━━


「たくよ、勇者の腕を試せって言われたのに他のヤツらが倒しちゃってどうするのよ」

 この世界にはないはずの望遠鏡を胡座をかきながら覗く黒髪三つ編みの女。何処かの民族衣装ぽい服装に身を包み悪態をつく。任務が失敗してイライラしてる様だ。


「そんなにイライラすると、素敵な笑顔が台無しだぞ。《吊るされた男(ハングドマン)》よ」

 黒髪三つ編みの女に話を掛けるのは、真っ黒いローブとフードを深く被り、死神を思わせる仮面で素顔が分からない。そして、特に特徴的なのは身長以上ある漆黒の大鎌だ。


「そんな姿で言われても、ただ気持ち悪いだけといつも言ってるだろうがよ。記憶力ないのか、《死神グリム・リッパー》。それに、お前が手伝わなかったのが失敗の要因だと、俺の思うけどよ。そこんところどうなのよ?」

 《死神グリム・リッパー》の男に《吊られたハングドマン》の女が望遠鏡でカズトの様子を覗き見ながら問いかける。


「儂が手伝ったら任務が台無しになっていたと思うぞ。まぁ、殺しても良いなら手伝うけどねぇ」

「たくよ、何でこんなヤツとオレが組まされるのか、とことん訳わかんね」

「そりゃぁ━━━」

「「お互いに死なないから」」

 《死神グリム・リッパー》と《吊るされた男(ハングドマン)》の声が重なり合い、この二人が組んでる理由の半分を言う。


「さてと、ここでの用事は済んだし早く《ザ・スター》と《戦車チャリオット》のところに行くよ。《教皇ハイエロファント》と《隠者ハーミット》も向かったと連絡が入った」

「はいよ。ところで、今度デートしない?」

「誰がお前みたいなインテリ野郎と出掛けなきゃなんねぇんだ。まずは、そんなダサいお面を外して言いやがれ」

「ダサいって酷くない!」

 《吊るされた男(ハングドマン)》が悪舌をつくと、カズトが二人の気配に気づく前に、その場から最初から誰もいなかったように去って行った。

次回は11月9日更新

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