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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
2章魔法大国マーリンへ行こう

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74食目、魔法大国マーリン行きの護衛二日目~魔物を召喚せし者~

 馬車の中まで響くビィトの声にカズトは飛び出した。そこで見た光景は驚愕の一言である。

 総勢40匹の猪型モンスター:デュアルボアが馬車を取り囲んでいのだ。直ぐ様、カズトは【鑑定】を行う。鑑定結果は次の通りだ。


 ・モンスター名:デュアルボア

 ・Lv:70~100

 ・属性:土

 ・顔を二つ持つ猪。動くものを敵と見なし突進してくる。その破壊力は城の城壁にヒビを入れる程である。

 大きさは食用豚の5倍で、高級肉として美味らしい。爪や牙は優秀な素材として出回っている。


 こんな風に鑑定結果が出た訳だ。今更だが、この世界にはLvが存在し、もちろんステータスもある。モンスターをランク付けすると次の通りである。


 ・Lv1~50:D級

 ・Lv51~100:C級

 ・Lv101~200:B級

 ・Lv201~500:A級

 ・Lv501以上:S級

 冒険者のランクもこれに準ずる。


 騎士隊に入隊するには最低でもC級の上位でないと話にならない。だから、本来なら遠征に向かう連中には楽勝のデュアルボアだが、問題はその数だ。

 流石に40匹は多過ぎる。普段ならいくら群れても5匹程度のモンスターだ。くわえてこちらは戦闘出来る者は十名程度で、普通なら死傷者が出てもおかしくない状況だ。

 だが、今は勇者であるカズトがいる。カズトならこの状況を楽に打破出来る。と、自分から言い出したかったが先に「お主の活躍を見てみたい」と王様から言われてしまった。


「カズト殿済まない。流石にここまで多いと、部下のサポートへ回るのに精一杯だ」

「いえいえ、久しぶりに暴れたいと思ってましたから(久しぶりにアレを使うか)」


 カズトは光の聖剣エックスカリバーを鞘に納刀状態で腰の左側に履く。鞘を左手に右手を柄に添え、一頭のデュアルボアの前で抜刀術の構えを取る。


 カズトが構えを取ったのが合図になってしまったかのように━━━

『ブモォォォォォォ』

『ブモォォォォォォ』

『ブモォォォォォォ』

『ブモォォォォォォ』

 一斉に四方向を囲むよう走り出した。青龍隊だけなら対応不可能だっただろう。二人を除いて死を覚悟している。


「何が何でも陛下達を護れぇぇぇぇ」

「「「「イエッサー」」」」

 ビィトが一体を、他の二体を部下が抑える陣形を組むが、他のデュアルボアも突進してくる。風魔法や風に由来するスキルを放つが勢いをつけ、しかも土属性のデュアルボアには"風"は相性が悪く止まる気配がしない。

 後、数秒でぶつかる寸前でカズトが動いた。数cm程鞘からエックスカリバーを抜くと、誰もがカズトなら倒せると淡い希望を抱く。

 が、瞬いた瞬間にそこにはカズトの姿はなく、誰もがカズトの姿を探す。そして誰かが言った「あそこにいるぞ」と。

 カズトがいた場所は、まさにカズトへ迫っていた先頭にいるデュアルボアの後方━━━背中越しにいた。


「光の聖剣エックスカリバー剣技………【居合・神の瞬き】」

 シャキーンと鞘に納刀するのと同時にデュアルボアは縦に真っ二つにキレイに切断され絶命した。それも一頭だけではなく、40頭全部だ。

 掛かった時間:0.6秒、この世界にはストップウォッチなんて代物は存在する訳はなく、もし存在していたら伝説の一つとして数えられていた事だろう。


「流石はか、カズト殿だ。あの一瞬で全部を倒されるとは!まさに"神の瞬き"だな(動視力には自信ありましたが、いやはや自信なくしちゃいますな)」


 一瞬とか最速とかのこの世界の言い回しで"神の瞬き"というのがある。由来としては『神が瞬きする間にやれたら、それが最速である』と、この世界の神話の一説に書かれてるらしい。

 まぁそれは兎も角、今はこの状況を打破した勇者━━━いや、英雄の元に全員が集まりカズトを胴上げをする。


「そおぉれ、英雄殿いきますぞ。ヤッホーイ」

「「「「ヤッホーイ」」」」

「ちょっ!止め………うわっ」

 青龍隊の変なテンションで胴上げをされるカズト。する側は兎も角、される側はたまったもんじゃない。意外と怖く最後は地面に落とされるのが約束である。


 ドスン

「痛ぇぇぇぇな。俺に文句でもあるのか!」

「あっはははははは、カズト文句言わないの。ふひぃ、みんなカズトに感謝してるのだから。ぶっくすすすす」

「笑うのか、慰めるのかどちらかにしろ」

 レイラに文句を言い追い掛け廻す鬼ごっこが開始された。だが、さっきからカズトは違和感を覚えてる。その違和感が何なのか喉から出そうで出ない。



 ━━━━馬車から2km程離れた丘の上━━━━


「きゃっはははははは、俺の召喚獣オモチャが神の瞬きみたく破壊されるとは」


 背中まで届く赤髪に丸眼鏡をしてるチャラ男ぽい男が望遠鏡を覗きながら高笑いしてる。


「はぁ~、勇者にあんな弱いの当てて《教皇ハイエロファント》あなたバッカじゃないの?ワタシなら瞬殺わよ」


 《教皇ハイエロファント》と呼んだ男に毒舌を吐く少々露出が多目なくノ一衣装を着る短髪黒髪の女が同じく望遠鏡でカズトがいる箇所を覗き見る。


「バカはお前だ《隠者ハーミット》。《愚者ザ・フール》のダンナが説明していただろう。最初は弱いのを当て様子を観察しろってな。あれで死んだらそれまでのヤツってことだ。それよりも、ステータスは【鑑定】出来たのか?」


 まさか40頭のデュアルボアが瞬殺されるとは、《教皇ハイエロファント》の男も思っていなかった。が、まだ遊べる事が出来ると思い内心意気揚々である。


「出来る訳ないわよ。あんな化け物、相当高度な【鑑定妨害】使ってるのよ。分かってて聞いてるでしょ!バッカじゃないの。

 ほら、次の目的地に行くよ。クズの《ザ・スター》とキュートで可愛いワタシの妹《戦車チャリオット》と合流しなきゃならないんだから」


 気配を感じカズトが《教皇ハイエロファント》と《隠者ハーミット》がいた丘の方向を振り向いた時には、もう誰もいなかった。

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