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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
2章魔法大国マーリンへ行こう

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73食目、魔法大国マーリン行きの護衛二日目~トランプとチョコケーキ

予約するの忘れた

 王様王妃様はサンドイッチとコーヒーを堪能してくれたようだ。

 サンドイッチで最も気に入ってくれたのか、やはりたまごサンドだった。また、朝食に出して欲しいとリクエストを貰った程だ。

 たまごとマヨネーズの絶妙なハーモニーが何と表現したら良いのか分からない程、美味だったらしい。これは二人共"マヨラー"になっちゃうかもしれない。

 後程、他の食材にマヨネーズを付けて提供するのも良いかもしれない。

 そこで日本にいた頃の俺の知り合いが『マヨネーズは万能調味料兼世界一の飲み物だ』と断言していたのを思い出した。まぁこいつは完璧にマヨラーだった。

 何にでもマヨネーズを掛けまくって喰っており、いつも毎日一回はマヨネーズの容器を加え"マヨチュッチュッ"をしている。こいつの血液はマヨネーズで出来てるのではないかと疑いたくなる程に。


 朝食を終え出発してから一時間が経過した頃、王様が馬車の移動に飽きたのか「何か出せ」と我が儘を言い出した。

 俺はアイテムボックスから54枚のカード━━━トランプを取り出す。日本の高校時代の同級生が『トランプは世界一の遊具おもちゃだ』と豪語していた。何故なら、トランプ一つだけで複数の遊びが出来るからだと。


「これはトランプと言います。全部で54枚のカードあり、様々なゲームで遊ぶのです。俺がオススメするのは"ババ抜き"はどうでしょうか?ルールは━━━」


 ババ抜きのルールを知らない者などいないだろう。

 ジョーカー1枚を加えた53枚で行い、同じ数が二枚揃ったら捨てる事を繰り返し最後にジョーカーが残った者が負けというシンプルなゲームだ。


「これで上がりじゃ。どうやら儂が1番のようだな。わっはははは」

「おめでとうございます、あなた…………あら、私が2番のようですわね。おっほほほほほ」


 この二人は似た者夫婦のようだ。昨日のオセロでも勝利をした時には高笑いしていた。機嫌を悪くしないよう俺は手加減というか態と負けている訳だ。態とじゃないところを見せつけるのに苦労する。

 それを知ってかレイラは苦笑いを浮かべ、俺の演技に付き合ってくれてる。うん、良く出来た自慢の嫁だ。


「他にないのか!」

「では、大富豪は━━━」

 俺が知り得るトランプの遊戯のルールを教えてあげた。

 大富豪、スピード、七並べ、ダウト、ポーカー、セブンブリッジ、戦争、一休さん等々ルールを紙に書き俺は抜ける。あれだけ教えてあげたら、マーリンに到着するまでは流石に飽きずにいられるだろう。俺が抜けた代わりにメイドの一人が加わる。



 俺は王様王妃様の間食として、洋菓子の一つを作ろうと考えている。恐らくていうか絶対に、これを嫌いな者はいないだろう。俺は"チョコレートケーキ"の作製に取り掛かる。

 しかし、チョコレートケーキの要であるチョコレートは残念ながらチョコが、この世界にはない。存在しないのだ。

 そこで俺は【異世界通販ショッピング】で数種類のチョコを買い湯煎でブレンドする。

 ①、湯煎したチョコにバターも入れ良く溶かす。そこに卵黄を入れ良くかき混ぜる。

 ②、①にココアパウダーを振るい良くかき混ぜる。

 ③、卵白にグラニュー糖を数回に分け、かき混ぜて作ったメレンゲを②に1/3程入れ軽く混ぜた後、薄力粉とベーキングパウダーを振るい入れ、ざっくりと混ぜる。

 ④、残りのメレンゲと細かく切り刻んだ板チョコを入れ、泡を潰さないよう混ぜる。

 ⑤、型に生地を流し込む。空気を抜きオーブンで40分程焼けば完成だ。


 うむ、我ながら良い出来ばいだ。日本にいた頃、料理人であった父に『専門外でもちゃんと勉強しろ。そうすれば、将来きっと役に立つ』と言われたものだ。その言葉のお陰で大抵のものは作れるようになった。

 パティシエの勉強しなくても、簡単なクッキーやゼリーなら素人でも作れたが、洋菓子ならケーキ・パイ・タルト・プディング・クレープ・シュークリーム等々専用な機材が必要なものもあり素人には到底出来ない。

 それに洋菓子と対極になるのが和菓子だ。和菓子は繊細で目で楽しみ、口でも楽しむ。これ程、優雅で可憐な菓子は存在しないと断言出来るとカズトは思う。

 洋菓子や和菓子だけではなく、他のジャンルの料理を極めるためカズトは様々な料理の専門家に弟子入りをし、修行した訳だ。カズトの父は、そこそこ名が知れた料理人という事もあり、そのコネを使い弟子入りを志願しまくった。

 普通なら生涯を費やしても時間が足りない。しかし、カズトは並外れた吸収力によって、ほぼ全ての料理の知識・技術を20代という若さで習得を終えたのだ。


 まぁ取り敢えず俺の過去は置いといて、渾身の出来映えと確信してる"チョコレートケーキ"を王様王妃様に提供する。


「お待たせ致しました。今回のお菓子は"チョコレートケーキ"でございます」


「何じゃ!この黒い岩みたいな物体は?!これを儂に食えと申すのか」

「こんなの毒としか思えませんわ」

 初見ではそう見えてもしょうがない。だって、チョコレートが存在しないのだから。


「おい、お前食べてみろ」

 普通は王族が何かしら食す前に毒味するのが当たり前の時代。王様が近くにいるメイドにチョコレートケーキを渡したのだ。


 パクっ

「う」

「う?」

「うまぁぁぁぁぁぁぁい!何これ、程好い苦味と甘味のコラボレーション。口の中でフワッと蕩けて、今まで味わった事のない菓子です」


 メイドの食レポに驚愕する王様王妃様。カズトは新しくチョコレートケーキを切り分け、提供する。


「「うまぁぁぁぁぁぁぁい」」

 王様王妃様にも絶賛だったのは言うまでもない。

 レイラはご両親の騒ぐあまり羞恥心で下を向きながらひっそりと食している。


「敵襲ぅぅぅぅぅ敵襲ぅぅぅぅぅ」

 と、王様王妃様がチョコレートケーキを食べてる最中に急に馬車が止まったのである。

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