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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
2章魔法大国マーリンへ行こう

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SS5-7、猫又の行商~オババ様の品定め~

 下がっても良いと言われ立ち去ろうとライファンが立ち上がった瞬間、まだオババ様に渡し忘れていた品物がある事を思い出した。

 これはライファンですら見た事ない植物の実で〝カズトグラス〟を仕入れた矢先にこれを薦められた。『最も感謝してる者に渡したら喜ばれますよ。サービスにしときますので』と言われ、つい受け取ってしまった。

 商人たる者、無料タダやサービスの言葉に弱い。怪しい物は流石に無料でも受け取らないが、何故か受け取ってしまった。


「オババ様、これを忘れてましたにゃ」

「これは………………ふにゃ~、うぃ~ヒック」


 ライファンからオババ様は密閉された袋を受け取り何の疑いもなく開けてしまった。その中身は〝マタタビ〟の実で猫科動物が恍惚になってしまう。

 もちろん猫の特性を合わせ持った猫人族や猫妖族にも有効であり、今のオババ様みたく酔っ払いになる訳だ。


「ふにゃ~、我が孫が何人に見えるわい。いつの間に分身を出来るようになったんだい?」

「オババ様?それは酔っ払っているだけにゃいのか?」


 オババ様の様子から察した。この果実は恍惚作用があると。こんな危険物を持たせたカズトに内心恨み事を言った。今度、店に訪れた時に何か奢って貰おうと胸に誓った。


「オババ様、お水にゃ。これを飲んで落ち着くにゃ」

「ゴクゴク、ぷはぁ~。もう大丈夫だよ。それにしても我が孫がまさか〝マタタビ〟を持っているとは思いもしなかったよ。懐かしいよ、100年位前の勇者に貰ったもんだよ」


 100年前!それじゃぁ、今のオババ様は何歳なのにゃ?2~3年前に100歳と言ってにゃけど、計算が合わないにゃ。超気になるにゃ!人の素性を探りたくにゃるのは商人の悪いクセにゃ。けど、どうしても気になるにゃ。


「同性でも女の年を聞くのは禁句じゃよ。どうしても聞きたいなら命を落とす覚悟で聞くんじゃね」

「何を言ってるにゃ。オババ様の年を聞くにゃんてさらさらないにゃ」


 そんな命知らずの事するはずにゃいにゃ。我はまだ色々やりたい事あるし、死ななくないにゃ。死ぬくらいなら天寿を全うしてから死にたいにゃ。


「これを持ってるなんて、その勇者にワタシも興味が出て来たね」

「オババ様に興味を戴けるとは最悪にゃ」

「それはどういう意味だね?聞かせておくれよ」


 キセルをフゥーと吹きながら、ライファンに一睨みを効かせる。蛇に睨まれたカエルの如くビクビクと動けず、額から冷や汗が頬を伝い床にシトシトと落ちる。

 これはヤバいヤツだ。逃げようにも体が動かない。下手したら殺される。直接オババ様の顔を拝見出来ないが、恐らくめっちゃ怒ってらっしゃる。


「にゃにゃにゃにゃ、にゃんでもにゃいにゃ」

「フゥー、冗談は捨て置き……………マジでその勇者に会いたいねぇ。フォルが懇意にしてる"棍の勇者"に聞いてみるとするかねぇ」


 にゃぁ~、マジで会いに行くのにゃ?オババ様をカズトに会わせるとなるとは………………複雑な気分にゃ。まるで自分の親を紹介するみたいで……………今から恥ずかしくなってきたにゃ。何なのにゃ?この気持ちは…………?


 オババ様が口にした棍の勇者とは剣の勇者であるカズトと同じく召還され勇者となった者だ。ただ、召還された国は違う。ライファンがいる国、獣人国家アルカイナが召還した勇者が棍の勇者である。

 その棍の勇者は冒険者ハンターとして、はたまた不死鳥女王フォルスの従者として活躍をしている。まぁ本当に従者だけの関係なのか、それよりも深い関係なのかは明らかにされてない。因みに両者共に従者と主の関係と言い放っている。


「ほれ、行くぞぇ我が孫よ。フォルのところへ案内せい」

「にゃ!今からですにゃ?!」

「商人たる者早く移動せんとなんとする。商品もそうじゃが情報も鮮度命なのじゃよ」


 言いたい事は解るが、今行っても棍の勇者は冒険者ハンターとして任務に出掛けてるはずだ。

 ライファンは言おうとしたが、オババ様の余りの行動力に言うタイミングを逃してしまった。我の腕を掴み店を後にする。逆らおうとも力強く引かれるまま不死鳥女王フォルスの住居へと案内された。


「オババ様、何故ここにおるのじゃ?」

「居たら悪いのか?ちと、そなたに聞きたい事が出来て、こうして態々出向いた次第なのじゃよ」


 普段なら自ら腰を上げ、あの店兼住居からは出ないはずのオババ様が自分のところへ現れれば誰だって驚くものだ。

 隣にいるライファンに不死鳥女王フォルスが視線を向けるとソッポを向いた。ライファンはチラっチラっと視線で『我にどうしろと?』と訴えた。


「はぁ~、それで聞きたい事は何です?妾が教えられる事なら教え差し上げましょう」

「そなたの勇者に聞きたいあるのじゃよ。棍の勇者は今何処かの?」

「タケヒコですか?タケヒコは、今冒険者(ハンター)として任務に出掛けてる最中だと、詳しい事は妾にも分かりませぬ」

「そうか、なら戻るまでここで待たせて貰うかの」


 腰を下ろすオババ様を見詰める不死鳥女王フォルスとライファンはヒソヒソと耳元で『どうにかするのじゃ』とライファンに訴え掛けるが『無理にゃ。オババ様は居座ると言ったからには諦めるにゃ』と否定的で不死鳥女王フォルスは頭を抱え、早く健彦の帰って来るのを祈るであった。

分かりやすく章を付け加えたので、宜しくお願いします。

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