SS7-2、女婬夢族ジブリールの居場所~魔神教会へ入る~
やっと本編とSS含め100話突破です。
読者の皆様ありがとうございます。
消えたNo6《恋人》のアルカナの代わりにジブリールの右手の甲に《恋人》のアルカナの模様が浮かび上がっていた。
「成功したようで良かったわ。失敗したら、どうしようかと」
「失敗する時ってどう……………なるの?」
「爆発するわね」
「爆発!」
「木っ端微塵ね」
「木っ端微塵!」
つまり、もしも失敗していたら………………我は死んでいた事になるのか?!ジブリールは、自分が死んでいたかもしれない事実に顔面蒼白となり、身震いしていた。
「その代わりに、強力な力を授かったのよ。安い代償ね」
安くないわよ!命より大事なものはないわよ。この授かった力とやらで、あんた達を殺そうかしら。
殺意を剥き出しにした途端、頭が割れる程の痛みが走り地面をゴロゴロと転がりまくった。
「ふん、我が主に殺意を向けるからだ」
「ハァハァ、あんた達もコイツに殺意を持った事ないの?」
「「ないな」」
「儂の命は我が主の物だ」
「我が主が死ねと申せば死ぬだけだわ」
コイツら狂ってやがる。もしかして、我は大変な組織に加入しちゃった?!逃げようにも、もう逃げられない。
「これ……………解除出来ないの?」
「知らんな」
「そんな事、考えた事ないわね」
タロットナンバーズの二人は、教祖のカナンに従順で今まで考えた事ないらしい。
この力を能えた本人に向き直ると、プイっとソッポを向いた。つまり、ないんですね。
「意識を集中すると良い。どんな事が出来るか分かる」
《愚者》の言う通りに瞳を閉じ、意識を集中する。普通なら数分間掛かるものだが、精神を操作する事に特化した魔族のことだけはある。ほんの数秒で頭に技術と魔法の詳細が浮かんできた。
No6《恋人》の技術と魔法
・【精気喰い】
異性の精気を喰い、己の力に加算させる。精気を喰い過ぎると相手は死ぬ場合がある。
精気を喰った分だけ、身体がボッキュッボンとどんな異性をも虜にする程に育つ事だろう。
発動条件:相手の身体の何処でも良いので触ること。
・【精気砲】
【精気喰い】にて喰った精気を任意の量を相手に放つ魔法。放った精気の分だけ、身体が元に戻る。
属性は、光と闇の混合。
・【魅了の操り人形】
異性を死ぬまで従順な下僕(魅了)にする。これに掛かった者は、100%以上の力が出せる様になり、筋肉が引きちぎれようと動き続ける。
痛みや屈辱等は、全て快楽へと変換させられる。つまりは、痛みを与えると感じるどころか、興奮させるだけである。
発動条件:相手にキスをする事。
・【精気収納箱】
【精気喰い】にて喰った精気を収納する精気専用アイテムボックス。
限界まで喰うと自動的に、ここへ精気を収納させられる。ここに精気が貯まってると、ここから【精気砲】を放つ事が出来る。
・【魅了の石化】
自分に惚れてる異性を石化させる。少しでも、自分に下心があれば、適用される。解除は、使用者の思うがままに出来る。
発動条件:【魅了の操り人形】を掛けなければならない。
・【絆強化】
絆を深めた相手に対してステータスを強化する。関係が深いだけ効果が増大する。
以上がNo6《恋人》の技術と魔法の一覧だ。
「何これ!すごく良いじゃない。我にぴったりよ」
「喜んでくれてるようで、なによりだ」
能力を確認する前と後では、ジブリールの態度は180度変わりルンルン気分でスキップをしてる。
No6《恋人》と女婬夢族は、とても相性が良い。これ程、相性が良い種族は他に見当たらない。
「魔神教会の総本山に移動する前に、そなたにはNo6《恋人》と名乗ってもらう」
ジブリールは、タロットカードの事なんか知る由もないが、これから《恋人》と名乗れて納得出来なかった。しかし、既にカリンから力を授かった代償としてカリンには逆らえない。逆らおうとすれば、体中に激痛が走る。
カリンがジブリールに名乗ってもらうと進言した名は、魔神教会の名前は世界各地に知れ渡っておるが、謎に満ちた組織であるため、信者は本名の代わりにコード名を名乗る決まりとなっている。
そのコード名は幹部の場合だと能力名と同名になる。全員で、タロットカードと同じ22名いるらしい。
幹部同士でもお互いに本名は知らないし、相棒か一緒に任務を受けない限り顔を知らない事もあったりする。
ポンっ
「御愁傷様と言っておこう。我が主がつける名は、どれも独特で個性的で……………素晴らしい名ばかりだ」
《愚者》が、我の肩を叩いて励ましてくれてるつもりだろうが、全然嬉しくない。
というよりも、魔神教会教祖であるカリンを何気にディスってないか。どれもという事は、カリンには名前のセンスが皆無と考えても良さそうだ。
そのせいで、コード名である《恋人》と呼ばれる度に我の精神がすり減ってしまう。それが力を得た代償と考えれば、少しばかり我慢も出来るってもんだ。




