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9食目、醤油と味噌

結構誤字脱字があったようで誤字報告ありがとうございます。自分では、中々気付きにくいものですね。

これからも誤字脱字あるかもしれませんが、よろしくお願いします。

「はい、お刺身で御座います。左からマグロの赤身、真鯛、ヒラメで御座います。お醤油にお付けして召し上がって下さい。お好みでワサビも付けて下さいませ」


 醤油が入った小皿を刺身皿の横にゆっくりと置いた。やはり、刺身の食べ方と言ったら醤油だろう。そこにワサビを付けるか醤油に混ぜるかは人の好みだ。


 ガタっ

「「ショウユだと!」」


 醤油が出された事に驚愕を隠せないでいる二人は席を立ちマジマジと醤油を見詰めている。カズトに関してはありふれた調味料の一つだが、アギトでは珍しいのだろうか?まぁ冒険中は見掛けはしなかったが………

 レストラン"カズト"を開業してから半年間、たまにお冷やの水やビール、人によってはグラスに驚かれる事は何度かあったが醤油を含め調味料で驚かれる事は初めてだ。そこは他国の文化や知識の違いだろう。


「まさか()()で我が国に伝わる古文書にしか記されてない幻の調味料に出会えるとはの」


 えぇぇぇ!醤油が幻かいな。醤油が幻ならこれも幻扱いになるかもしれないな。何か怖くなってきたな。

 カズトは苦笑しながら恐る恐る料理の説明に戻るが、その前にこの二人にプレゼントを差し上げよう。リピーターになってくれるかもしれないしな。


「そこまでお醤油が、お気に召されたなら後で差し上げますがどうしますか?」


 カズトの言葉が信じられないと風にパチクリと瞬きし、カズトを呆然と眺めている。その間にレイラが両腕に抱えて持って来たのは………一升瓶の醤油であった。


「これをお帰りの際にお渡しします」


「こ、こここここんなに良いのかや?」


「お、おおおおお金払えまんせんが」


(醤油ってそんなに高いもんなのか?ここまで動揺されると逆に怖くて聞けない)


 醤油を少しでも知ってれば、カズトの対応は本来ならあり得ない事である。一升瓶の醤油をアギトの貨幣で換算すると………城一つが楽々建てられる程だ。それをポンっと無償で差し出すと言われれば、誰だってあり得ないと思うだろう。


「はい、嘘は申し上げません。ただし、条件があります」


「じ、条件?」

「やはりタダではないだろう。そうだろう」


 勇者から条件と言われビクッと肩を揺らすお客様二人。別にそこまで緊張しなくても良いのにとカズトは思うのだが、それは無理な話だろう。


「そんなに難しい事ではありません。ただ、お店の宣伝して欲しいのです。例えば………料理は美味しいとか良いお店だったとかそんなとこで良いのです。後、あなた方がリピーター…………またこのお店をご利用してくだされば、それで結構です」


 カズトの出した条件に目を再びパチクリする二人。そんな条件で良いのかとカズトを凝視する。

 宣伝とリピーターのためだけに城を楽に買えるだけの財産を与えると言ってるもんだから。むしろ、まだ何か裏がありそうと勘ぐってもおかしくないだろう。


「あのぉ、何かおかしかったですか?」


 カズトはこちらを凝視したまま固まってる二人が気になり、つい尋ねてしまった。カズト自身は、別に不思議な事をやってる自覚ないのだが………そこは意味は多少違うがジェネレーションギャップみたいなもんだろう。


「「おかしいです」」


 二人の声がハモりカズトに対しツッコミ、グイグイとカズトの顔に近寄る。二人の息が頬に掛かり、後数㎝でキスが出来そうな距離で見詰められドキドキしてしまう。


「あの、お客様顔が近いです」


「「えっ!」」


 自分が置かれた状況に気がつき慌てて離れ席に着いた。カズトの指摘で顔が真っ赤かである。


「………ゴホンっ、いいですか。このショウユはそのビンの量で城を楽々買えてしまう代物なのです。そんな物があれば盗む者も現れましょう。

 だから、あんまり周囲には言わない方が良いですよ。それでも、私達にくれると言うのであれば、頂戴いたします」


 この世界ではそんなに価値があるとは………ただ異世界通販ショッピングで仕入れただけなのだが。一升瓶の醤油を仕入れた価格が三千円だ。それが三億円以上に化けたという事になる。計算するとざっと十万倍以上なった感じだ。

 うーん、教えてもらうととんでもないな。でもまぁ、差し上げると言った手前、説明してもらった後でやっぱり無しと言うのは男の意地として取り下げるのは恥ずかしすぎる。


「…………えぇ、構いません。差し上げます。ただ、道中に盗賊が現れるやもしれません。そのタメの魔道具を貸し与えましょう」


「それはありがとうございます。何とお礼を言ったら良いのか」


「先程提示した条件で、また来て頂ければそれで充分です。それよりも、冷めてしまいます」


 刺し身は新鮮で食べるのが一番だ。他のも冷めると味が落ちるからな。まだ、湯気は立ってるが温かい内に食した方が良かろう。


「こちらのスープは何ですか?何だか懐かしいようなホッとするような感じが致します」


「そちらは味噌汁でございます。具材は油揚げと豆腐です」


 味噌汁と聞いた途端、従者の手がガタガタと震え味噌汁のお椀を落とす前にお盆に置いた。また、こちらを睨むように見詰める。

 やはり、醤油と同じで味噌も伝説的な調味料だったか。やべぇ、またお説教の始まりか。



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