欲望
ひとしきり泣きじゃくったあと、瀧本さんの服を涙で濡らしてしまったことに気づいた。
「あ、服……ごめんなさい、私……」
「大丈夫ですよ。余計な心配はいりませんから。」
そういうと着替えるためか急に服を脱ぎ出した。思わず目を逸らしてしまう。
「なんで目を逸らすんですか?女性同士ですし。」
「ちょ……そうは言っても知り合ったばっかりですし……!」
顔を背けてはいたがちらりと視界の端に抜群のプロポーションが見えて思わず見てしまう。
「わ、綺麗な体……」
「ふふ、自慢なんです」
「……って、そうじゃなくて!早く着替えてください!女同士とはいえ目のやり場に困ります!」
「そんなこと言っても本当は見たいんじゃないですか?」
そう言って瀧本さんは四つん這いになって近づいてくる。
「わわ、近いです……!」
不意に瀧本さんは声色を変えて質問してきた。
「……本当は寂しいんでしょ?」
そうだ。別れたばかりで、しかもここ数ヶ月はセックスレスだった。その事を分かっているのかいないのか質問を続けた。
「……相手に私なんかどうですか?」
いたずらな笑みを浮かべる。
「…そんなこと言われたらほんとにしちゃいますよ……?」
「いいですよ?思う存分してください……?」
どこか引き込まれる笑み。潤った唇。美しい体のライン。こんなものを見せられたら女性でも欲情してしまう。
「う…っ」
セックスレスだったのも相まって自分の欲望を抑えきれずに押し倒してしまう。
「やっ…ふふ…いいですよ。来てください…?」
やさしい声色で受け入れてくれる。そのことが突き放された私にとって何よりも嬉しかった。こんな見ず知らずの人にこんなことをしてもいいのだろうかという気持ちはあったが目の前の人に甘えたい気持ちが強かった。
「んっ…」
瀧本さんの柔らかい唇に気持ちを抑えきれず本能 のままに自分の唇を重ねた。瀧本さんの漏れた声につられて自分も声が出てしまう。
「んんっ…んむ…っ」
強引に舌を押し込む。すると瀧本さんも舌を優しく絡めてきた。2人の唾液が口の中で行き交う。
元の彼氏なんかどうでも良くなって今は何より瀧本さんを求めていた。瀧本さんも私を求めていたようで一層舌の出し入れが激しくなった。
ひとしきりキスで求めあったあとその後のことまでした。女性との経験はなかったが瀧本さんが優しくリードしてくれた。どうやらレズビアンだったらしい。
「ねぇ、瀧本さん……」
「なんですか?」
「……付き合って、貰えませんか」
女性でもいいかというようなふざけた理由ではない。単純に瀧本さんに惹かれたのだ。
「いいですよ?」
「……ほんとですか?」
「花井さんとなら幸せになれそうですし。」
その言葉だけで嬉しくなる。
「名前で呼んでもいいですか?」
「いいですよ、玲奈さん」
「遥さんったら」
笑うだけで嬉しくなって、楽しくなって。そして私達はまたキスをした。




