スリー・マンと液状男(ザ・ジェル)
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何の変哲もない、田舎の高校の屋上は、熱気が充満する戦場へと変わっていた。
「おらっ!!」
白金が、猛々しく燃える炎球を放つ。
「しっ!」
速水はそれを身をかがませてかわし、そのまま床を蹴り態勢を低く保ちながら白金との距離を詰める。
すると、白金の右半身で燃える炎が、一層大きくなり、近付く敵を焼き付くさんと構える。
「ざらぁっ!!」
白金の右腕が、身を低くしていた速水にハンマーの様に振り下ろされる。
だが、白金の右腕は、速水に届く事はなかった。
白金の右腕と速水の間に、のっぺりとしたマネキンの様な顔をした人形が体をねじ込んで、速水を炎から守っていたのだ。
「「隙」だぜ……。白金」
その人形の影から、速水の拳が飛び出した。
「!!」
完全に死角となっていた場所からの攻撃に、白金は防御ができずもろに顔面に喰らってしまう。
「がっ……!!」
白金は少し吹っ飛ばされるが、直ぐに体勢を立て直し、追撃に備える。
(今の白い「人形」……。速水の能力だろうな)
今さらだがギタイには、人間を補食しやすくするためか、どこか「超能力」とも言える力が宿っている。
「「スリー・マン」。僕の能力の名前です。覚えておくといい。」
「その余裕寂々な態度、イラつくねぇ……」
白金は3発の炎球を作り出し、速水に向かって放つ。
(奴の能力の全貌が分からない今……、取り敢えず様子見から入る……)
炎球が飛んで来ているのを見た速水の体がゆったりと揺れる。
すると、まるで蝶の脱皮の様に、背中から先程白金の炎をガードした物と同じ、身長175センチくらいで全身真っ白の、男性型の人形が現れた。
そして人形は飛んでくる3つの炎球を打ち落とすため、ビュッと言う風切り音と共に、高速のジャブを放つ。
3つの炎球全てに人形のジャブはヒットし、炎球は散々になり、消滅する。
「!」
だが、白金の炎はそう簡単には消えない。
人形の真っ白な手を黒く焦がしながら、炎は人形に燃え移っていた。
「「炎」には気安くさわるものじゃないぜ、速水。一般常識……。火傷するんだからよ!!」