プロローグ・出会い・その7
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ギタイの存在が正式に認められたのは、たかだが10年程前だが、ギタイははるか昔から世界に存在していたらしい。
その脅威を、人々は妖怪や異形の存在として語り継いで来ていた。
そして、必要以上に人間に害を与えるギタイを殺すことを生業にしていたギタイもいる。それが調整人の始まりだ。
……そんな事を、白金は焦る日田に向かって聞かせていた。
「どうだ。落ち着いたか?」
「落ち着くわけねーだろ!今の話のどこに落ち着く要素があった!すげー殺伐としてたけど!」
「落ち着くには昔話が良いかと思ったんだが……。」
「どういう思考回路してんだよオメーは……」
ガチャ。
「「!」」
二人が言い合っている内に、屋上の入り口ドアのドアノブが回される音が聞こえた。
普段なら気にも留めない小さな音だが、今の日田の耳にはとても大きな音に聞こえた。
そして現れたのは、スラッとした長身の男子生徒。
黒縁の眼鏡をかけ、あまり活力の無い目。同じくあまり筋肉の付いていない腕や足は、一見運動は得意ではない様に見える。
「何の用ですか白金くん……。と言いたい所ですが、大体分かります。」
「そりゃ話が早くて結構だ。速水」
「代々腕利きの調整人を育成する「白金家」……。私達「ガブ」の活動が大きくなれば必ず動き出すと予想し、この学校に僕が派遣されたと言う訳……。」
「おー……。やけにベラベラ喋るな。自分達の方が上手だったとでも言いたいのか?」
「……」
「………」
白金と速水との間に激しい火花が散る。
「まぁいい……。殺すぜ。お前をな。……日田、俺が接近して攻撃するから、適当に隙見つけて追撃してくれ。」
白金はそれだけ言うと、再び右半身に炎をまとい、速水に突撃する。
「おいっ!ちょまっ!」
日田の静止は、白金の耳には届かない。
こうして、日田の初めての戦闘は、日田には何の準備もなしに始まってしまったのだ。