三つ巴・オーサカ-ブラック・ジェリーその2
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「うっおおおおっっつ!?!?!?」
日田の右肩、左腕、右足、額、脇腹、太もも……、とにかく、あらゆる場所に直径1センチ程の穴が空いた。
ボチュ、ボチュ、と、小石が泥沼に勢い良く落ちたような音が日田の全身から鳴り響き、次々に日田の体に穴が空いていく。
(こっ……、これはっ!?何者かの「攻撃」!?!?)
日田が辺りを見回すと、そこには体を空から降り注いだ雨粒に貫かれ、血を流しながら倒れていく人々の姿があった。
(俺を狙ったものじゃないのか?まさか無差別に……)
ここに来て、日田は才賀の思想がどれだけ素晴らしい物だったのかを痛感した。
(こんな地獄絵図……、早く止めなければ!)
ここまで大きな騒ぎになれば、数分すれば掃除人が到着するだろう。
しかし、今はその数分でさえ惜しい。
(それにもしかしたらこの能力を使った「ギタイ」は、ガブのボディーガードかもしれない……。一応確認しておいたほうが良いだろうし……)
幸い、未だ止む気配のない「鉄砲雨」は、能力を発動した日田の体にはほとんど無害であり、常人なら1秒も耐えられないこの過酷な環境を生き抜く事が出来た。
(この「鉄砲雨」の中で何事も無いように立っている人物……、それが恐らくこの能力の主だ……)
日田は体に大量の風穴を空けながらも、「鉄砲雨」を止めるため、足を踏み出した。
霧雨時雨の能力に共通した弱点は、「屋内では使えない」。と言うものだった。
屋内といっても、 特に重要だったのが「空が見えるか見えないか」。
顔を上げ、そこに晴天だろうが曇天であろうが、空が見えること、それが能力発動の最重要事項だった。
なぜそんな弱点が自分の能力に付いているのか……。時雨は何故かわからなかったが、別にこの弱点のせいで、今この戦いに負けるとは、全く考えていなかった。
(あの掃除人の武器はあの腰に下げた刀だろう……。飛び道具を持っている可能性もあるが、それならもう使っているはず……)
つまり、あの掃除人は逃げもしない限り、確実に近付いてくるはずなのだ。
そしてこの「鉄砲雨」は、弱点さえわかれば防ぐのはさほど難しくない。
(………そう言えば、私の目的、「調整人」の排除だったっけ。……まぁ、良いや。黒瀬すぐ殺して、玄ともっかい合流しよっと)




