プロローグ・出会い・その3
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体の右半分に黒にも近い色を放つ炎をまとう。
何かトリックがあれば別だが、明らかに人間技ではない。
「まさか……白金……、お前も……」
「ああ、ギタイだよ」
白金は日田の目を見て、ハッキリいい放った。
「そして、お前「も」と言うことは」
「っ!」
日田はここに来て、自分の失言に気付いた。
「……はぁ、ああ俺もギタイだよ。で、どうするんだ?掃除人どもに差し出すか?」
「いや、そんな事はしねぇ。日田、俺がお前の正体を確かめた理由はただ一つ。俺の仕事を手伝ってもらうためだ。」
白金は日田をビシッ!と指差し言った。
「仕事って……なんだよ?俺がギタイって言うのを秘密にしとくかわりに手伝えって……。俺もお前の正体しってんだぞ?俺が掃除人にお前の事を言ったらお前も道ずれだろ」
「あぁ……俺はそんなちゃちぃ事には捕らわれねぇ。何故なら俺は「調整人」だからだ」
「……調整人?あの調整人か?」
日田は白金に尋ねる。
「ああ。俺の家、「白金家」は「掃除人」達と密約を交わして調整人となったギタイの家系だ。」
「調整人」。
ギタイにして、ギタイを狩る。都市伝説のように語られる存在。
力を持ちすぎたギタイや、社会に影響を与えそうなギタイ。人間とギタイの均衡を保つため、影から掃除人を支える者たち。
掃除人達からは良いように扱われ、ギタイからは毛嫌いされる。
それが、調整人だ。
「で、そんな調整人が俺に仕事を手伝えって……。お前は家系がなんちゃらでそんな血生臭い仕事に慣れてるかもしれないけど、俺はただの一般高校生だぞ。大したことは出来ないし、したくない」
「………、それじゃあ、この名前を聞いた事があるか?」
白金の言った事は、日田の言葉とどこかずれていて、話を聞いていないかの様な物だった。
「しくらあざみ」
「!その名前は……」
「ああ、お前の父親の名前だろう。離婚して名字は違うだろうがな。」
日田の表情が曇り、そして歯をくいしばる。
「どうやらその反応、あまり会って感動の再開になる……と言うことは無さそうだな」
「当たり前だ……、あいつは俺の母さんを……っと、何でもねぇ、聞き流してくれ」
「んで、そいつは……俺の家族を殺した犯人だ」
「……!」
白金の声のトーンが、一つ落ちた気がした。