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ギタイ -全テヲ飲ミ込ム者-  作者: もちのすけ三郎
ブラック・サービス
27/42

黒い正義と流動する者・終

読んでいただきありがとうございます!

(見られた!!)

トイレのドアが開き、そこから顔を覗かせた少年と目があった時、日田の中によぎった感情は、こんな血生臭い光景を見せてすまないと言う懺悔と、どうやってごまかそうかと言う思いだった。

(あーー……、どうする。俺の能力で何とかして気絶させる事も出来るかもしれないけど……、さすがにこんな小さな子供を攻撃する事なんて出来ないし……)

そして、体の一部分を液状にし、飛ばして目隠しにしようとしても、あいにく液状になった部分は半透明だ。おそらく倒れた白金の体は見えてしまう。

日田が八方塞がりになり、どうしようも無くなっていた時、何と、少年が口を開いた。

「あーっと、何で言えば良いか……。俺の名前は黒鱗。さっきその白金(おとこ)に倒された奴に従ってた……、まぁ、使い魔みてーなもんだ」

その声は、まだ声変わりを迎えていない可愛らしいものだったが、しかし口調は年齢と全く合わない。気だるげな物だった。

そのギャップに日田が戸惑っている間に、黒鱗と名乗る少年は、口を開く。

「取り敢えず、説明から入るぜ……。まぁ、黙って聞いてくれやい」

そう言うと、黒鱗はつらつらと話を始めた。

日田が来る前に、このトイレの室内で何が起こっていたのか。そして、自分(こくりん)、「才賀」が何者なのか。

それらを聞き終えた日田は、自分に引っ付いていた「黒い物」の正体と、既に「ガブ」は刺客を放っていた事を理解し、黒鱗の次の言葉に備えた。

「そして俺は……、君達に付いていかせてもらいたい。もちろん、それの対価となる物は提供する。「ガブ」のボディーガードの能力の詳細……。俺の知っている範囲でだかな」

その言葉にいち早く反応したのは、日田ではなく床に倒れていた白金だった。

「……良いぜ、ついてこい。利用出来る物は何でも利用する……。それぐらいじゃねーと、この任務はこなせねぇからな」

日田の止血が功をそうしたのか、白金は起き上がると黒鱗の方を見てはっきり言い放った。

「……感謝するぜ、白金。もちろん「ガブ」との戦闘にも協力させてもらう。俺は別に「ガブ」についていた訳じゃねーからな」

「……しかし、その体はどうする?見ず知らずの少年を巻き込む訳にはいかないだろうよ」

「いや、どうやらこの少年も、結構「訳あり」っぽいぜ……。体乗っ取った時、記憶が流れ込んできた。」

そう言うと黒鱗は、少年が元々着ていた紺色のジーンズのポケットを探り、そこから小さな紙切れを取り出した。

「良く分からんがこの紙に、こいつの家の住所が書いてあった……。ざっくり言えば、こいつの家は東京にある」

「まぁ、確かにここは兵庫で東京とは遠いけどさ……、旅行って可能性もあるだろう?」

日田の言葉に、黒鱗は大きく首を横に降った。

「まぁ、それが普通何だが……、こいつはどうやら「誘拐」されて来たみたいだぜ……、ここまでよ。それで今はたまたまトイレタイムで、ここに来たってわけだ」

奇妙な偶然だった。こんな小さなサービスエリアに、2つも殺伐とした戦闘、事件が進行していたのだ。

「なら……、ちょうど良いな。今大門桜は東京にいるらしい。講演会だの「ガブ」の活動だの、仕事はまだあるだろうから、東京で大門桜を殺す次いでに、その子供も返してやれば良いだろ」

「………」

日田は、そう言えばこの旅の最終目的地を、今になってようやく聞いたと思った。

そんな重要な事も聞かず、家から出てしまうなんて、自分でもあの時は中々パニックになっていたんだなぁと、日田は少し考えた。

「さて……、それじゃあ行くか。もうここに用は無い……。くそ、ただ飯を、食いに来ただけだったのに……」

白金はすこしよろめきながらも、一人で歩けるようだった。

ぶつぶつと文句を言っている所からも、危険な状態でないのは確かだった。



こうして、新たな仲間を加え、日田達は東京に向かう事になったのだった。


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