黒い正義と流動する者その4
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才賀が白金を倒すため、行動を開始して5分。
そんな中、日田は相変わらず、注文した肉うどんをむさぼっていた。
「んー……。いやこれ普通に上手いな。これで540円はコスパがいいっすわ。」
そんな事を言いながら肉うどんを食べる。
ズルズル、ズルズル、とひたすらコシのある麺をすすり、大量にあった特盛の麺をあっという間に食べきってしまった。
「ふぅー……。食った食った。………さてと」
日田は小さくため息を付き、何か小さなゴミを探す様に後頭部辺りの髪の毛をかき分ける。
「あー……、あった。」
日田は自分の髪に付いていた「何か」を、埃をつまむように丁寧に捕まえ、自分の目の前にやった。
「で……、何なんだ?これは……」
日田の手の中にあったのは、どぶなどにいる「ひる」のような、細くてウネウネと動く、黒い(おそらく)生物。
「悪いが俺は「能力」上肌に触れる物の感触には敏感でなぁ。……お前、どこから来た?」
日田の問いに、黒鱗(黒い生物)はウネウネと体をくねらし、日田の指の間から必死に逃げようとする。
「うーん……どこから来た、じゃねぇな。お前を俺に引っ付けた「犯人」は誰だ」
「………」
唐突に発せられた、日田の言葉の「凄み」に、日田の言葉がわからない黒鱗も、思わず体の動きを止めた。
「ギッ……ギッ……ギィィィィ!!!」
「うおっ!」
日田の「凄み」に恐怖を感じた黒鱗は渾身の力で体を捻り、日田の手から脱出。近くの物陰に姿を消してしまった。
「あー……くそ。……まぁ良いか。黒鱗には俺の体の1部を引っ付けておいたから、どこに行こうが場所はわかる。まぁ、ゆっくり追跡すればいい」
日田は、おそらくあの「黒い生物(黒鱗)」は、自然に生息する生物ではなく、ギタイの能力によるもの。そう考えた。
(触れた触感も、鳴き声もおかしかったしな……。まぁ、ワンチャン新種の生物って可能性もあるけど……。まぁ、それならそれだ)
日田は、うどんの丼を返し、白金と合流しようと食堂から出る。
(もし本当にギタイの能力なら……、至近距離、おそらくこのサービスエリア内に少なくとも後1人、ギタイがいることになる)
そしてそれは限りなく高い確率で、「ガブ」のボディーガードであろう。
「とりあえず白金と合流だ……。白金の判断をあおがなければ……」
日田は周囲に注意を払いながら、行動を開始した。