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ギタイ -全テヲ飲ミ込ム者-  作者: もちのすけ三郎
プロローグ
11/42

迎撃の開始:burst

読んでいただきありがとうございます!

ここまでがプロローグやでぇ。

薄暗い部屋の中。会議用と思われる大きな丸いテーブルの上に、その縁をなぞるようにして、8台の携帯端末が置かれている。

そしてその隣で、ハンモックに揺られながら、文庫本を読む男性がいた。

この男。「大門・(だいもん・せん)」。

大門桜の父にして、娘の桜を守るボディーガードのリーダーでもある。

そしてこの薄暗い部屋に携帯端末が大量に置かれていると言う奇妙な状況。

これが、大門桜のボディーガード達の、普段の会議風景だった。

同じ対象を守るボディーガードと言っても、仕事の都合や私用などで1つの場所に集まるのが難しかったので、大門がこの形を提案し、採用されたのだった。

(……まぁ、集まって真面目に会議しても、聞いてなかったり寝たりする奴も居たからな……)

大門は文庫本に栞を挟むと、携帯端末達に向かって言った。

「速水が死んだ」

大門はそう言った瞬間、携帯端末の向こう側の空気が大きく揺れたのを感じた。

続いて感じたのは、こちら側の空気を揺らすほどの猛った感情。

怒り、悲しみ、復讐心……。全ての携帯端末から漏れ出す感情は全て違ったが、それでも、「速水を倒した奴に会いたい」と言う感情は、大なり小なり全てに感じられた。

「で……だれが最初に行くんだよ。たしか速水は中国地方の方、鳥取だったか……?そこに行ってたよな。それなりの遠出になるなら、1番近いところに居る奴が最初で良いんじゃねーの?」

旧型の端末から聞こえた声は、8つの声の中でも比較的落ち着いた男の声。

「だったらアタシが行くぜ大門!」

「いや、あんたは今北海道だろ。真逆じゃねーか」

荒々しく叫ぶ女の声を、落ち着いた男の声が静める。

「んじゃ誰が行くんだよ!」

だが、女の声の苛立ちはおさまっていなかった。激しい口調で大門に問う。ここで大門がまともな回答を出せなければ、彼女は自分が行くと行って聞かないだろう。

「そうだな……。確か才賀(さいが)、お前今鳥取の近くにいなかったか?」

大門が言うと、今まで静かだった携帯端末の1つから、声が漏れ出す。

「ええ、今兵庫にいます。……もしや」

「ああ、才賀、お前に任せた」

「了解しました。まぁ、頑張ってみますよ」

そう言うと、声が聞こえていた携帯端末の画面が暗くなり、通信が途絶える。

「……これで今日の会議は終了だ。通信を切るぞ」

「あっ!ちょっと待った!アタシは納得してなっ!」

「うーす、それじゃ……」

「あっ!ちょっ!……くっそ!分かったよ!せいぜい頑張りやがれっ!」

最後まで反抗していた女の声も消え、再び室内には静寂が訪れた。

きぃ、きぃ、と揺れるたびきしむハンモックの音が、静かに時の流れを刻んでいた。

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