プロローグ・出会い
二作目やで。
よろしくお願いします!
人間の形をした、人間を食べる新生物、ギタイ。
そう呼ばれる生物が確かに存在し、人々の生活に紛れ込んでいると言う周知の事実となった、近未来。
日本国は、国民をギタイから守るため、ギタイを専門とした「掃除店」を全国に配置する。
しかし、人間の力だけでは、ギタイの力を押さえる事が出来ないのも、また事実であった。
この物語は、力を付けすぎた、また、社会に大きな影響を与える危険性のあるギタイを狩る「ギタイ」。
「調整人」の物語である。
中国地方の田舎町にある、とある高校。
平坦に整ったグラウンドに、真っ赤に染まった夕暮れの太陽の光が射す。
現在、夏の夕方の6時半。下校のチャイムがなった。
電気が消され、太陽の光で少し赤く輝く教室内に残っている生徒は少ない。
勉強をしていた者、たまたま居合わせただけのもの。そして、特に放課後を過ごす予定もなく、寝ているもの。
「ん……。6時半か……」
机に突っ伏していた上半身をむくりと起こし、まだ眠気を引きずった目をこする。
「あー……帰ろ……」
少し気だるそうに立ち上がり、教室の扉に向かっていく。
この少年。名前を「日田・一」。この物語の主人公。高校2年生。
カラカラと扉を横にスライドし、教室から出ようとした時。
日田の目の前に、一人の男が立っていた。
日田と同じ制服。確か、少し顔を見たことがある。たしか同学年だ。
「お前が日田だな?すこし話があって来たんだが……。俺と一緒に、屋上まで来てくれないか?」
背丈はやや小柄だろうか。荒ぶるライオンの鬣の様にツンツンと上がった白髪が特徴的な、童顔の男。
やけに制服の襟が立っているが、日田は気にしないことにした。
「は、話?ここじゃだめなのか?」
「いや、まぁ……ここでもいいんだが……。お前はいいのか?」
白髪の男の歯切れが悪くなる。
「………嫌、止めとく。なんか真剣な話っぼいし、行くよ、屋上」
日田のその返事に安心したように、白髪の男はほっ、と息を吐いた。
「それじゃあ、行こうぜ。……そういや、自己紹介してなかったな。俺の名前は「白金・信」だ。よろしく」
そういうと白金は日田を先導するようにして、屋上へと歩き出した。